表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
絶対に堕としてやる 〜邪魔をするなら親友でも容赦しない〜  作者: もふもふな何か
絶対に諦めない 〜これが俺の幸せだ〜
39/43

if 29 浅沼龍之介

投稿します。

でも終わりませんでした、すいません。

予定とは違って落ちる手前、みたいなところまでです。


(来やがったか)


どうせなら引き籠もりにでもなってればよかったのによ。もし、弘が俺に復讐するつもりだったら。


(俺ならやるからな)


弘がどう動くのか。遅刻してもう1限が終わるし、休み時間に何か動きがあるのかもしれない。


  ♪〜♫〜♬〜


「よう龍。遅刻とは珍しいな」


休み時間に入ると早速弘が話し掛けてきた。


「弘かよ。よく俺に話し掛けられたな」


なるべく強気で、余裕があるように返す。いくら何でも教室で仕掛けてはこないだろう。それに、先週から栞里を連れて皆にアピールしてたからな。今の弘は皆から負け犬のように思われているだろうし、居心地も悪いだろう。


「志保から聞いたぞ。全部お前の演技だったんだな、このクズ野郎」


「なっ、何を・・・」


弘が言った意味が分からなかった。なんで志保が出てくるんだよ。なんで知っているんだ。いや、なんで志保が弘にバラしてんだよ。


(なんでだよっ⁉ 巫山戯んな、裏切ったのかよっ!?)


俺が栞里を手に入れたあの日、志保はそろそろ協力関係は終わりにすると言った。志保が弘を手に入れる算段がついたら、そこで俺達の関係は終わり。後は只の先輩、後輩として当たらず触らず過ごしていく筈だった。俺は栞里を手に入れ、志保とも関係が切れる。志保だって、俺との繋がりが無くなれば弘にバレることも無い。お互いにとって間違いなく最高の流れの筈だ。


(何でだよ、どうしてそうなる? 弘にバラして、自分がやったって白状してどうするんだよ)


弘が欲しいんなら栞里を嵌めたってことは言わないほうがいい。それくらいは分かる。それなのに何で。


「栞里と登校して遅刻したのか?」


考えていると弘から栞里について聞かれる。


「えっ・・・ そ、そうだ、栞里だ。お前、栞里に何したんだよっ!!」


それを聞いてつい弘の胸倉を掴み上げてしまう。志保から聞いたんなら、いや、聞いて無くてもこいつが栞里に何かした可能性は充分にある。


「栞里のやつ、家にも来ねえし、連絡だってつかねえ。お前が何かしたんじゃないのかよっ!!」


もしこいつが逆上して栞里に手を出していたら。そうだ、そうだよな。今のこいつには栞里に手を出す理由が充分過ぎる程にある。


(クソっ!! 馬鹿かよ俺はっ!! 栞里を1人っきりにするのは危ないって、少し考えれば分かるだろうがっ!!)


もしこいつが栞里に何かしたんなら、今度はブチのめすだけじゃすまないぞ。クラスのやつらが見ている前でも関係ない。前はお前のものだったが、今は俺のものだ。俺の栞里に手を出したらどうなるか教えてやるよ。


「知るかよ。離せよクズ野郎。栞里にやったことを皆にバラされたいのかよ」


だがそんな気概は弘の言葉で砕かれてしまった。もし俺のやったことが全部バレてしまったら、批難されるのは俺のほうだ。俺を脅してきた弘に気後れし、手を離してしまった。

その後、弘は教室を出て行った。


(クソっ、何で俺がっ⁉ 弘に脅されるなんて、巫山戯んじゃねえぞっ‼)


俺も教室を出る。弘は栞里のクラスから出てきて、俺達のクラスとは反対の方向に歩いて行った。俺も教室のなかに入り、栞里が居るか聞くと体調不良で休んだと返ってきた。


(休みとか、連絡くらいしろよ)


連絡1つ入れてこない栞里に少し憤りを感じたが、何処に居るかが分かって一先ずは安心だ。


(お前は俺のものなんだからよ、心配掛けさせやがって。治ったら叱りつけてやる)


そう決めた後、そこで一旦栞里のことには区切りを付けて志保を探すことにする。俺より早く教室を出て行った弘が何処へ行ったのかは気になるが、俺は早く志保を捕まえないと。電話を掛ける。繋がらない。チッ、こいつもかよ。

仕方がない。直接は会いたくなかったが、志保のクラスへ行く。勘繰られるのが嫌だったし、何よりもう志保には会いたくなかった。栞里を手に入れられたのは志保のお蔭であることは間違いないが、あんな恐いやつとは関わりたくない。だが、弘にバラしたことは問い詰めなければならない。もしかすると最初から俺を裏切るつもりだったのか。もしそうなら、例え志保でも容赦しない。

志保のクラスに着いた。教室に入って志保の姿を探すが見当たらない。近くのやつに声を掛け、志保の行き場所を聞くと、風邪で休んだと担任を通して言われたと教えてくれた。


(クソっ!!)


何が風邪だ。あいつがそんなもんに罹るわけ無いだろ。どうせ俺にバレたことを察して逃げたんだろう。許せねえ。

教室に戻ると弘はまだ戻ってなかった。志保も休みなら、目先の問題は弘だ。頭を切り替えて対応を考える。


(どうする? やっぱり栞里がいないとダメか? いや、でも今の弘には・・・)


元々は弘を黙らせる為に栞里に協力してもらう筈だっだ。弘の前で栞里との仲を見せつけて心を折る。立ち直って栞里を奪われないよう、学校中の笑い者にしてでも2度と立ち上がれない程に叩きのめすことまで考えていた。

だが今の弘には多分通用しないだろう。もう弘は俺が栞里を寝取ったことを知っている筈だ。どこまで話したかは分からないが、もし全部を話しているのなら、間違いなく俺に復讐するつもりだろう。


(どうする? どうすればいい?)


考えても良い案が浮かんでこない。悩んでいる間に休憩時間が終わる。だが弘を警戒して身構えていても、弘は来なかった。


  ♪〜♫〜♬〜


弘が来なかった後、先生が入ってきた際に修平が弘の早退を伝える。どうやら俺が来る前に言伝を頼んで帰ったらしい。

栞里が居ない、志保も居ない。おまけに弘まで居なくなりやがった。


(なんか、嫌な予感がするな)


そう思い、学校が終わった後は直ぐに栞里の家に走った。家の前に着くと車が停まっているのが見える。小父さんか小母さんが居るんだろう。インターホンを押すのを躊躇ってしまう。


(どう話せばいい?)


栞里の家に来ていたときは家族が居ない時間帯を狙っていた。小父さん達が出たとして、数年振りに会うことになる。栞里が休んで心配で家まで見舞いに来た、っていうのは怪しいんじゃねえか。栞里が弘と別れて俺と付き合ったことを言っているんなら何も不思議じゃないだろうが、どうなっているのか分からねえ。


(俺から付き合ってることを言うか?)


この際、俺と付き合ってることを伝えてしまうのも手かもしれないな。俺と栞里が付き合ってるのは事実だ。栞里に確認を取ってもらえば嘘じゃないって分かる。それなら、これからは堂々と栞里の家に入ることが出来る。


(へへっ、なら、これは予行練習みたいなもんだな)


そう考えると、これはチャンスなのではないか。栞里を心配する彼氏として自然に小父さん達と会えて、俺に好印象をアピールすることが出来る。そのまま交流を深めて、来たるべきときに栞里との結婚を祝福してもらう。


(そして、こうなっちまえばもう弘が何をしようが関係ない)


もし弘が邪魔してきても、それはもう俺達家族の問題だ。俺が栞里にしたことをバラしても、俺と栞里が口裏を合わせて否定すればそれは弘の妄言になる。後はキレた弘が直接的な暴力を振るわないかを警戒するだけでいい。

ふと湧いた考えだが、これは良い計画なのではないか。弘を遠ざけつつ、俺が栞里の家族に認められる。そして栞里と結婚して幸せな家庭を。


(そうとなれば早速挨拶しないとな)


さっきまで感じていた不安はもうない。それどころか抑えきれない程の高揚が湧いてくる。漸くだ。時間が掛かったが、やっと俺の目的が達成出来る。

インターホンを押す。


「はい、三島です」


男の声。もう記憶にないが、多分小父さんだろう。


「あの、俺、浅沼です。栞里が、体調不良で休んだって聞いて」


「・・・龍之介くんか、久し振りだね」


「はい、お久し振りです」


どうやら小父さんは俺を覚えていたようだ。


「何の用だい?」


「えっと・・・ 実は俺、栞里と付き合ってて」


「は?」


やっちまった。ちゃんと説明しないと。


「えっ、いや、その、最近なんですけど、俺達、付き合ってて」


クソっ、上手く説明出来ない。


「・・・栞里は、弘和くんと交際していたと思うんだが」


チッ、弘のやつ、もう挨拶済みってか。ムカつく野郎だぜ。


「えっと、前はそうだったんですけど、色々あって、今は俺と付き合ってるんですよ」


「はぁ・・・ 龍之介くん、済まないが今は立て込んでてね。折角来てもらって悪いが、今日は帰ってくれないか?」


「えっ、でも、栞里は」


「ただの風邪だよ。暫くすれば良くなるさ」


「えっと、なら、安心です。はい」


「もういいかな? さっきも言ったけど今は忙しくてね」


「あ〜 はい、大丈夫です。えっと、日を改めて、また来ます」


小父さんとの会話が終わる。なんか、すげえ感じが悪かったな。せめて本当に忙しくて対応出来なかっただけだと思っておこう。あれが小父さんの普通だってのは嫌過ぎる。

まあ、予想とは大分違ったが、取り敢えず俺が栞里と付き合ってるということは伝えられた。後は栞里に確認してもらえれば、小父さん達も俺が栞里の恋人だと分かってもらえるだろう。

一応、栞里は大丈夫そうだし、一先ずは安心だと気を取り直す。


(となると後はやっぱり)


志保のことが気掛かりだ。弘を止めてもまだあいつが残っている。きっと俺じゃ想像出来ないような計画があるんだろう。だが、何でこんなことをしたのかは分からないが、もう少しなんだ。もう少しで俺の目的が完全に達成されるんだ。例え志保が邪魔してきても、これだけは譲れない。


  ♪〜♫〜♬〜


次の日になっても、栞里と連絡が着かない。ただの風邪じゃなかったのかよ。やっぱり弘が何か、いや、でも小父さんは風邪だって言ってたし。


(いや、待てよ・・・)


昨日までは弘が栞里に何かをしたのではないかと疑っていたが、志保がやった可能性があるな。何かの目的で栞里が俺と連絡出来ないようにしたと考えられないか。その何か、は分からないが、兎に角志保が噛んでいる可能性は充分にある。


(早く何とかしねえと)


学校へ行くと今日も栞里、志保、弘が居ない。1限が終わっても、誰も来ることはなかった。


(どういうことだよ、おいっ!?)


巫山戯んな、何がどうなってやがる。何で誰も居ねえんだよ。


(俺も帰るか?)


栞里がもし今日も休みなら、もしかしたら1人で家に居るかもしれねえ。なら、誰にも邪魔されずに栞里と2人っきりになれる。そんで本当に体調が悪いんなら、俺が看病してやらねえとな。

良し、そうと決まれば早速行くか、と思い、踏み留まる。今の時間帯だとまだ小父さんとかが居るかもしれねえ。大体の仕事に行く人はもう家から出ているだろうが、栞里の両親は基本帰ってくるのが遅い。もしかしたら仕事の時間帯が違うのかもしれねえ。もし会えば昨日みたいに邪険にされるかもしれねえな。なら少し待って、小父さん達が仕事に行ってから家に行くのがいいか。そんで帰って来たときに俺が居ても、栞里を看病していた、と言えば邪険にはされないだろう。俺のアピールにも繋がるし、良し、そうしよう。


(なら、帰って来たときの為になんかお見舞いとして買っておいたほうがいいか?)


そうだな、なんか病人でも食えそうなものでも買って行くか。それなら、昼前に栞里の家に行くか。


「おい浅沼」


「んあ?」


考えていると俺の席まで来た修平に声が掛けられる。


「お前、弘和と何があったんだよ?」


何が、ねえ。


「見たまんまだよ。栞里と付き合うことになったから、あいつがイジケてるだけだ」


「三島さんは弘和の彼女なんだぞ」


「はあ? 俺の彼女だっての。栞里だって、そう言ってただろ?」


栞里との仲を見せびらかしているときに、俺との関係を疑問に思ったやつらは結構いた。だが他ならぬ栞里のほうから弘と別れた、俺と付き合っていると言われれば、皆引き下がった。それはこいつもの筈だったんだが。


「確かに言ってたが、昨日の弘和を見るとなんか違う気がしてな。俺だけじゃない、皆そう思っている」


皆、という言葉にクラスのなかを見渡すと、何人かのやつらがこっちを見てやがる。栞里を手に入れてから、こいつらは俺に対して余所余所しくなりやがった。どいつもこいつも遠巻きに俺を見やがって。昨日まではあまり関係を悪化させるのは得策じゃないと思っていたが、そのせいで弘に隙を突かれたし、考えてみると俺はこいつらからどう思われようが、栞里が居れば後はどうでもいい。そう思うと、こっちを見ているやつらが鬱陶しくなってくる。


「確かに弘と栞里が付き合ってたのは知ってるさ。でも、今は俺と栞里が付き合ってんのが真実だろうが。なんだよお前ら、言いたいことでもあんのか?」


修平みたいな例外はいるが、他のやつらはそれで押し黙る。どうせこいつらにとっては他人事。ならいちいち構うんじゃねえよ。


「お前、弘和と三島さんに何をしたんだ?」


「はあ? 何もしてねえよ。ただ栞里の相談に乗ってる内にお互いに意識するようになって、付き合うようになっただけだ」


「・・・弘和に悪いとは思わないのか?」


「何でだよ。栞里を繋ぎ止められなかったあいつが悪いんだろ」


「クズめ」


そう言って修平は教室から出て行った。


(あっそ。どうでもいいんだよお前らなんて)


栞里を手に入れた今、後はどうでもいい。このまま栞里と俺がずっと一緒に居られれば、それでいい。

だから早く志保を何とかしないといけないのだが。


(相変わらず連絡も繋がらないし、何処に住んでるのかも分からねえ)


栞里の家の近所だとは思うのだが、何処かは分からない。誰かに聞くにしても、今の俺が志保の住所を聞いて廻るのはよくない。俺は別にどうでもいいが、それで栞里に勘繰られるのは勘弁だ。


(ん? いや、今更か?)


もし志保が栞里に何かしたんなら、もう勘繰られるどころじゃない。もしかしたら自分がやったことを隠して、俺が嘘を付いて栞里を嵌めたって言ってるかもしれねえ。

もし栞里がそれを聞いて、俺に会いたくないから連絡が着かなくなった、ってことは考えられる。それに、もしそれを聞いた栞里が両親にそのことを伝えていたら。それなら小父さんのあの態度にも納得がいく。


(冗談じゃねえぞっ、巫山戯んなよっ!?)


もしそうなら栞里と結婚どころじゃねえ。そうなれば一緒に居ることは疎か、下手したら2度と栞里と会えなくなるかもしれねえ。

急いで席を立ち、教室を出る。


(早く志保を捕まえないと)


形振り構ってる暇はない。早くあいつの家を聞き出さないと。



期間が開くと怠けてしまいますね。

保健室に行ってもなかなか治りません。

大体一週間前後を目標に更新するよう心掛けているのですが、次は龍之介視点が終わったら投稿します。


自分のことだからまた遅くなると思いますが、良ければ次も読んでくれると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 凄い焦らされてる感じです(笑) 楽しみにしてます! 犯罪者の、捕まるまでのムーヴ感が凄いですねw 視野狭窄だとか、思い込みだとか、大丈夫と不安が綯い交ぜになってる感じだとか…あ、犯罪者だ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ