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絶対に堕としてやる 〜邪魔をするなら親友でも容赦しない〜  作者: もふもふな何か
絶対に幸せにする 〜だからこれからもずっと一緒に〜
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if 19

投稿します。

前置きしていたとはいえここまで遅くなるとは。

いや、理由は分かってるんです。

全てはマザー・ミランダが悪いということで。


「そういえば、新年度から栞里の後輩が来るんだっけ?」


「うん、小さい頃からの親友なんだ。この近くに住んでるんだよ?」


「へ〜」


気のない返事を返してしまうが、俺にはあまり関係ない話なので許してほしい。会えば栞里の親友として良い交友関係を築いていきたいが、今はそれよりも換気だ。急いで服を着る。


「もう、弘くん。忙しないよ」


裸でベッドに横たわっている栞里に一言言いたくなる。


「栞里が呑気過ぎるんだよ。また小母さんが帰って来たらどうするんだ」


「え〜 でももうお母さんにはバレてると思うし、少しくらいならいいと思うけど。あっ、どうせならお父さんにも会ってく?」


勘弁してくれ。小母さんが遅い日は、栞里はよく自分の部屋でしたがる。いつも弘くんを感じていたいから、と言われるのが嬉しくてやっているが、流石に両親への挨拶は高校を卒業するまで待ってほしい。栞里の言う通りなら小母さんにはバレてると思うが、もし小父さんへの挨拶に悪い影響が出たらどうするつもりなんだ。


「ほら、窓開けるから早く服着て」


栞里を促し服を着させた後、窓を開けて換気する。膨れっ面の栞里が唸り声を上げて俺を見る。


「なんでそんな不機嫌そうなんだよ」


ベッドを椅子代わりにして座っている栞里の隣に腰掛ける。


「だって弘くん、直ぐに片付けちゃうし、なんだか私の部屋に居たくないみたいに思っちゃって」


俺の肩に頭を預けてきた栞里の肩を抱き寄せて言う。


「違う、栞里が部屋でも俺を感じたいって言うのは嬉しいし、俺のものを部屋に残せるならそうしたいさ」


出来ることなら一緒に住みたいくらいだ。


「でも、俺達はまだ高校生だろ? 自立出来るようになるまでは、ちゃんと親御さんに気を遣わないと」


「うん。分かってる」


栞里も俺の背に手を回し、抱き合うかたちになる。


「でも、弘くんが居ないと寂しいの。今日は帰ってほしくないな」


栞里の言葉にドキドキする。嬉しさと愛おしさが込み上げてくる、が。


「栞里、今度は誰に教わったの?」


腕のなかの栞里がビクッっと震える。そのまま抱き締める力を強くする。


「ちょ、痛いよ弘くん。ごめん、言うから離して」


力を緩めて次の言葉を待つ。


「うう、ごめんね。えっとね、美雪(みゆき)ちゃんから」


またか、と嘆息する。高校で新しい友達と上手くやっているのは良いことだが、この手の知識が増えるのは困った。中学のときと比べると当然だが、今のほうが皆の異性に対する関心は高い。男子ばかりかと思いきや女子のほうも似たようなものらしく、友達を通して栞里にそういう知識がどんどん蓄えられる。正直に言うと嬉しいのだが、心臓に悪い。


「嫌だった?」


不安そうに聞いてくる栞里に本心を返す。


「嫌じゃないから困るんだ。俺だってずっと栞里と居たい。帰りたくないし、帰したくもない。俺か栞里の家で一緒に暮らしたい」


俺の腕のなかにいる栞里。可能ならずっとこのままでいたい。


「でも、卒業までは待ってほしい。だからあんまり誘惑しないでくれ。我慢が出来なくなる」


言い終わったあと、栞里からキスされる。唇を離したあとに栞里から、


「うん、待ってる。意地悪してごめんね。でも、言葉は美雪ちゃんから教わったけど、ちゃんと私からの本心だからね? 卒業したら一緒に住もうね」


と言われる。そういうとこだぞ。

誘惑してくる栞里に後ろ髪を引かれる思いをしながら帰る準備をする。


「それじゃあ、今日はもう帰るよ」


玄関前で挨拶をする。


「うん。またね弘くん」


休み中とはいえ毎日会えるわけじゃない。お互い別の予定もあるし、次に会えるのはいつになるやら。こうなると早く学校が始まってほしい。

そんなことを思いながら栞里とお別れのキスをする。

あっ、こら。舌を入れるな。


  ♪〜♫〜♬〜


起きてからの日課で階段を降りた後に玄関の鍵を開ける。いつものように朝食を取り、歯を磨き顔を洗う。1年経ってすっかり慣れたネクタイを締めてブレザーを羽織り、朝の準備を終わらせて2人を待つ。


「お〜い、弘〜 起きてっか〜」


玄関から龍の声が届く。廊下を歩く音が聞こえ、リビングの扉が開かれる。


「よう弘、元気してたか?」


「おはよう龍。まあ、こっちは元気だよ。そっちは?」


ソファーに座らせて話しをする。連絡はとっていたが実際に会うのは久し振りな気がする。


「部活ばっかで遊びに行けなかったこと以外は普通だな」


「うちのテニス部ってそんなに活気あったっけ? 結構サボってる奴多そうだけど」


確かうちのテニス部は弱小で龍以外は大した成績を収めていなかったような。部員も幽霊が多いって聞いてたのに。


「ああ、ほとんどの奴はやる気ねえのばっかりだ。でも、だからって俺がサボる理由にはならないだろ?」


「お〜 格好いいこと言うじゃん」


「だろ?」


真面目に部活に勤しんでいる龍と暫く話し合う。


「そろそろ栞里が来るころか?」


「そうだね。あっ、そういえば今日から栞里の後輩が入学してくるんだけど、多分一緒に来ると思う。親友なんだってさ」


「あ? 親友だって? それってもしかして志保のことか?」


「えっと、どうだろ。そんな名前だったような気もするけど」


あの時はあんまり話しを聞いてなかったから、よく思い出せない。


「まあ、来れば分かるよな」


「そうだね。ちなみに龍はその志保って子のこと、結構知ってるの?」


「おう。中学のときに会ってな、可愛いやつだよ」


「へ〜 そうなんだ。もしかして、付き合ってたりする?」


「う〜ん、そういう訳じゃないな。俺は結構気に入ってるんだけど、ちょっと問題があってな」


「弘く〜ん、来たよ〜」


玄関から栞里の声が聞こえる。到着したようだ。鞄を持って龍と玄関に向かう。


「おはよう栞里」


玄関で扉を少し開けた状態で顔だけ出している栞里に挨拶する。


「おはよう弘くん。龍くんもおはよう」


「おう。また1年宜しくな」


挨拶をした後、顔だけ出した状態の栞里に聞く。


「で、なんでそんな体勢なわけ?」


「ふっふっふ、紹介します。今日から通うことになる私の親友」


栞里が扉を開けるとうちの制服を着た女子が立っていた。人目を引きそうな可愛い子だ。


「お久し振りです、弘和さん。村瀬志保です。これから宜しくお願いします」


「久し振り? えっと、糸巻弘和だ。すまん、前に会ったことあったっけ?」


村瀬は俺を知っているようだが、俺に覚えはない。龍の言った通り、かなり可愛い子だから、会ってたら顔くらいは覚えてそうなんだけど。


「よう、やっぱり志保じゃねえか。これからも宜しくな」


「ちぇっ、やっぱり浅沼先輩だった。宜しくしたくありません。邪魔です」


考えていると龍が村瀬に挨拶する。俺のときとは違って砕けた口調で話している。それに、龍のことを邪険に扱っている。


「志保ちゃん、もう2人と知り合いだったの? それに弘和さんって、随分親しげたよね?」


栞里が会話に入ってくる。不機嫌そうな声に、自分は想われてるなぁと喜びを感じつつ、俺もいつ会ったか分かってないので村瀬に聞く。


「それは俺も気になるな。思い出せなくて悪いんだけど、何処で会ったっけ?」


「何処でって、学校で会ったじゃないですか。弘和さんが私を追って声を掛けてくれた時、本当に嬉しかったんですよ」


「えっ、俺から?」


そんな覚えはないんだけど。栞里の機嫌がどんどん悪くなっていくのを感じながらいつ会ったかと考える。


「ふふっ、まあ、今の私は昔とは結構印象が変わりましたからね。分からないのも無理はないですよ」


印象が変わったということは、俺と会った時は、その、なんだ。あまりパッとしない地味な子だったんだろうか。そう思った時、ふと思い出した。クラスに馴染めてない1年を利用したことがあったなと。


「覚えてないですか? メガネを掛けた暗くて地味な1年に友達のつくり方を教えてあげたことを」


「ああ、言われて思い出したよ。あの時の子か。確かに、随分印象が変わったね。全然分からなかったよ」


メガネをやめたからだろうか。いや、多分本人の気持ちが前に向いたからだろう。朧気に残るあの時の暗い姿はもう無い。


「あの時は本当にありがとうございました。弘和さんのお蔭で、私はこんなにも明るくなれました」


「いや、それは村瀬の努力の結果だよ。俺に感謝なんてしなくていい」


結果的に村瀬の為になったようだが、俺はこいつを利用しただけ。そんなので感謝なんてされる訳にはいかない。


「志保って呼んでください。弘和さんには、村瀬なんて他人行儀で呼ばれたくありません」


「えっ、いや、でもなぁ」


なんか面倒なことになってきたぞ。栞里の目付きもなんか恐くなってきた。


「ねえ志保ちゃん。前に弘くんとは会ったことがないって言ってなかった? なんで嘘ついたの?」


「だって言ったら栞姉え、私の邪魔するじゃん」


顔だけを栞里に向けて答える。


「邪魔って、どういう意味かな?」


こういうことだよと栞里に言った後、顔を戻して背筋を正し、真っ直ぐに俺を見る村瀬。


「弘和さん。貴方のことが好きです、大好きです!! 栞姉えと別れて、私と付き合って下さいっ!!」


「「はっ⁉」」


俺と栞里の声が被った。付き合ってって、いや、栞里と別れろとか。


「無理」


無理だろ、何言ってんだこいつ。


「そうだよっ!! 何言ってるの志保ちゃん!! 怒るよっ!!」


栞里も今のこいつの告白は聞き捨てならなかったらしい。村瀬の肩を掴んで自分の方に振り向かせて怒っている。


「だって好きなんだもんっ!! 栞姉えから奪ってでも弘和さんが好きなんだから仕方がないでしょ!!」


村瀬も栞里の肩を掴んで怒鳴り返す。

当事者の筈なのに蚊帳の外にされ、呆気に取られている俺を尻目に睨み合う2人に龍が、


「おい、そろそろ時間ヤバいぞ。初日で遅刻はしたくないだろ。歩きながらやってくれよ」


と水を差してくれたお蔭で一旦落ち着くことが出来た。


  ♪〜♫〜♬〜


「だからっ!! 弘くんはダメって言ってるでしょ!!」


「嫌だ。弘和さんがいい」


「私の彼氏なのっ!! 弘くんだって嫌だって言ってるじゃない!!」


「それで私が諦めるのは別の問題じゃん」


言い合う、いや、村瀬の方も俺と同じくさっきまでと違いもう落ち着いているのか、怒っている栞里に対して静かに返している。怒りながらも横に並んで歩いている2人に器用だなと、どうでもいいことを思いながら栞里達の後ろを少し離れて歩く。


「なっ? 問題あっただろ?」


隣に来た龍が俺に言ってくる。そういえばそんな会話してたっけ。


「龍は知ってたんだ。村瀬がその、俺のことを好きだって」


「おう、3年生になる少し前だったか、本人から直接な。お前と付き合う為に協力してくれたら栞里と付き合えるぞって言われたけど、ちゃんと断ったぞ」


そんなに前から。俺と栞里が付き合い始めた頃か。そのときから村瀬は動いていたらしい。

俺に会うより先に龍に会っていたのは自分の味方をしてもらうためだろう。


「知ってたんなら教えてくれても良かったんじゃない? 栞里と拗れなくて済んだかもしれないのに」


「どう言えって言うんだよ。女版のお前みたいやつがお前を手に入れようとしているって言えとでも? 止めてくれよ。お前と栞里のことは全面的に応援してるけど、結構複雑なところもあるんだからさ」


複雑、か。言われてみて考える。もし、栞里と付き合っていたのが龍で、俺は龍と競い合って負けて、応援するようになったら。やっとの思いでそれを受け入れて、応援しようと思った後に、別れさせるのに協力しろと言われたら。


(なんか、惨めだな)


お前じゃ勝てないと突きつけられて、お零れを貰おうとする。情けない生き方だ。龍が嫌がるのも分かるし、俺にそんなことを態々言いたくもないだろう。

余計なことは言わず、感謝だけ伝える。


「ありがとう、俺達の味方でいてくれて」


「おう」


「それにしても、どうするかなあの子」


今の話はこれで終わりと話題を変えて、目の前の問題について話をする。


「どうもこうも、お前が頑張って諦めさせるしかないだろ」


「いや、俺はもう断ったし」


「さっきも言ったろ、女版のお前みたいなやつだって。諦めが悪いんだよ」


「俺みたいなやつ、って表現は引っかかるけど、なんで俺なんだ? アドバイスして中学生生活は良くなったかもしれないけど、それだけでそんなに好きになるか?」


「いや、なんか違うっぽい」


「ん? 違うって?」


「前によ、1年使って俺の邪魔したことあるじゃん?」


「ああ、良く覚えてたな」


そしてその邪魔に使ったのが村瀬というわけだ。


「志保から聞いたんだよ。それで、そん時に好きな人を手に入れる為に汚い手を使えるお前が好きになったんだと」


「はっ? 意味が分からないんだけど」


なんだそれ。あいつ頭おかしいんじゃねえのか。


「まあ、要は好きな人の為にどんなことでも出来て、一途にその人を想える気持ちを持ったお前が好きになったんだと」


そう言い直されるとなんかむず痒く感じる。

しかし、好意を持たれることは嬉しいが、俺には栞里がいる。他の何にも替えられない大切な人が既にいるから、その想いには応えられない。


「でも、俺は栞里がいるし、それだと栞里を好きな俺が好きだってことにならないか?」


栞里を好きな俺を好き。なら栞里と別れるような俺なら、村瀬の好きな俺ではなくなると思うんだけど。


「俺も言ったぞ、矛盾してねえかって。そしたらあいつ、その想いが私に向けば問題ないって言いやがった」


それは中々に攻撃的な考えだな。どうやって栞里への好意を自分に向かせる気なのか。


「強いよな、あいつも」


「それは、強いって言えるのか?」


寧ろ危ないって感じがするんだけど。


「強いだろ。あいつ、何度振られたってお前に好きだって伝えていくつもりだぞ」


「何度も・・・」


今も栞里からの文句を聞き流している村瀬を見る。


「あんな事をして栞里に嫌われるかもしれないのに。それにお前にだって。それでも伝えていくんだってさ」


そう考えると、確かに強いと言えるのかもしれない。それにその考えはあの時の俺に似ている。


「まるでお前を見ているようでさ。本当、凄いやつだよ」


どこか眩しそうに村瀬を見る龍に、ふと、聞いてしまう。


「龍は、俺達にどうなってほしいの?」


龍は俺に視線を合わせ、笑って言う。


「そんなの決まっているだろ? これからも栞里と幸せにな。応援してるぜ、親友」



志保のキャラが違うと感じると思われると思うのでこの場を借りて説明を。

本編でもありましたが志保は志保なりに栞里の幸せを願っています。

本編で龍が寝取り役に成れたのはあくまでも栞里に対する好意を持っていたからです。

見ず知らずの誰かにその役をやらせても栞里が幸せになれず、壊れてしまうかもしれないと思っています。

本編では最後に栞里を壊してしまいましたが、それをしたのは弘和との日々があったからこそ。

あの状態の龍が居なかった場合は弘和と同じく諦めずに迫っていき、もし弘和が二股するクズなら母親と同じ末路になっていました。


次で弘和視点の話は終了です。

その次に別視点1つ入れて栞里救済ルートは完了とさせていただきます。

まだ更新が遅いのは確定しているので、良ければ気長に待ってくれると嬉しいです。


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― 新着の感想 ―
[一言] まぁ結局はifで栞里は失敗したけどな
[良い点] 志保自身は特にブレは無いですよね。 結果は色々変わりましたが、根底としては、動かせそうなら動かす、動かなければ放置、みたいな感じでしょうかね? 本文の方が、どれだけ気持ちを中途半端にしてた…
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