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絶対に堕としてやる 〜邪魔をするなら親友でも容赦しない〜  作者: もふもふな何か
絶対に幸せにする 〜だからこれからもずっと一緒に〜
28/43

if 15

栞里救済ルート、投稿開始します。

本編15話からの分岐となります。


「なんて言うのかな。お前は栞里に対して真っ直ぐ、本気で向かっていった。でも俺は卑怯なことをして、安全に栞里を手に入れようとした。そんで俺のなかで、お前には勝てないって思ったんだよ」


いや、龍は見ていないだけで俺も卑怯な手を使っている。周囲に与える影響を考えると、龍とは比べ物にならないほど汚い手を使って邪魔をしたこともある。


「それに、俺達振られただろ。あの時振られて、その後謝られて、もう一度考えさせてくれって言われた時に思ったんだ。もう一度振られたらどうしようって」


そして一息つき、


「怖いんだよ。また振られちまったらどうしようって。立ち直れなくなるって。もう怖くて進めないんだ。だからもういいや」


「・・・そっか」


「お前は凄いよ、弘。また振られるかもしれないのに、栞里を追いかけるなんてさ。だから、俺はお前を応援する」


龍が栞里を諦めた。俺は正直、安堵した。龍が本気で栞里に向かっていけば、俺に勝ち目は無いのではないかという不安がいつもあった。

これは間違いなく俺に追い風が吹いている。龍が沈んでいるうちに、栞里を手に入れる。

龍をそっとしておくのが、1番正しい方法だ。


「本当にそれでいいのか?」


だけど、俺の思いとは裏腹に、口から出た言葉は龍を引き留めようとするものだった。

自分でも分からない。何故こんなことをしたのか。龍に栞里を諦めてほしくないと思っているのか。いいや、そんな訳はない。龍は親友だが、栞里のことは別だ。邪魔者、敵。今もそう思っている。


「ああ、俺は諦めるよ」


これは正しくない。後で絶対に後悔する。あの時龍を放っておけば、直ぐに栞里と付き合えたかもしれないのにと。


「じゃあ栞里は俺がもらう。お前はそれを黙って見てるだけなら、直ぐに栞里と付き合える」


「・・・そうだな」


だが俺は構わず、龍を煽る。止めるべきなのに、止まらない。内から出る何かが我慢出来ない。


「それでいいのか? ずっとお前は見てるだけなのか?」


「おい弘、お前、何が言いてえんだよ」


龍の声に力が篭もる。


「このままじゃあお前、負け犬になるぞ」


龍の手が伸び、服を掴まれる。


「おいテメェ、いい加減にしろよ」


遠巻きに見ていた皆がざわつき始める。

恭弥(きょうや)(みちる)が俺達の間に割って入った。


「おいお前ら、何してんだよ」


「おい、電車内では止めろって」


車内で争い始めた俺達を咎める。


「うるせえよ、こいつが喧嘩売ってきたんだろうが」


怒った龍はそれを聞き入れず、服を掴んだまま恭弥達を押しのけ、俺を睨み付ける。


「どういうつもりだ」


龍は吐き出すように続ける。


「俺が居ないほうがお前はラッキーなんじゃねえのかよ。栞里と付き合えるんだぞ」


ああ、本当にそう思っている。馬鹿なことをした。


「折角俺が引いてやるんだからそれでいいじゃねえか」


嘘つけ、と心のなかで思った。ああ、そうか。分かった。俺がこんなことをする理由。俺はこいつが栞里を諦めるわけがないと思っている。


「舐めるなよ。そんな嘘なんて通用しねえんだよ」


俺も龍の服に掴みかかる。互いに首元を引っ張り合いながら、俺の感じた違和感の正体を伝える。


「はっ? 何言ってんだよ。俺は別にそんなこと」


一気に龍の掴んでいた力が弱まる。恭弥達も強引に間に入ることを躊躇っている。一息に全部言ってやろうとしたところで、


「2人とも、止めてよっ!!」


栞里が俺達の間に入ってきた。


「私が原因なのは分かるよ。けど、ここは他のお客さんも居るんだよ。だからここでは止めて」


恭弥達ならいざ知らず、栞里に言われるとぐうの音も出ない。俺も、龍も、互いに手を離し、無言で海までの時間を過ごした。


  ♪〜♫〜♬〜


海に着いたが何処か皆心から楽しめていない。電車内での件が尾を引いているのだろう。ここまで来た皆には悪いと思う。少しでもスッキリした気持ちになってもらうよう、長引かせず、皆の前でハッキリさせよう。

龍を呼び付けて皆の前に出る。龍は嫌がったが腕を掴んで引っ張って連れてくる。栞里の見ている前では振り払ったりはしないようだ。

皆に見えるように大体中央辺りに行く。龍を連れて出てきたことで何かすると感じとったのだろう。遊んでる皆の手が止まる。よし、本日二度目の告白だ。龍を離し、向かい合う。


「おい、次はなんなんだよ」


電車内の時とは違い少し及び腰の龍。先の俺の言葉に何か感じるものがあったのだろうか。


「さっきのことをハッキリさせるぞ」


「おい、まだ言ってんのかよ」


「栞里、来てくれ」


俺は栞里に声を掛ける。不安そうな顔をしているが、言う通りに俺の側まで来てくれた。


「どうしたの? 私が言えたことじゃないんだけど、2人には喧嘩してほしくないよ」


「ごめん。もうちょっとで終わるから」


栞里に伝えた後、龍に言う。


「龍、本当に栞里を諦めるのか?」


「あ? 何度も言ってんだろ」


「俺は絶対に諦めない。何度振られても絶対に」


皆の前で二度目の告白。しかもこの辺だと少ないとはいえまた一般の人が居るところでの告白。栞里は駅の時と同じく顔を赤くし、皆は何処か呆れた顔をした。


「・・・そうだな。お前のそんなところに勝てないって思ったんだよ」


「だからお前の栞里を諦めたってのが分からない。無理だろ」


「ひ、弘くん」


海に遊びに来たんだからだから当然水着を着ている。

淡いブルーのフリルビキニ。栞里ならもう少し大人っぽくしてもいいと思うのだが、可愛いので良し。


「どうしたら栞里を諦められる? 俺に勝てる勝てないじゃなくて、お前は心から栞里を諦めたのかよ?」


俺に勝てないと思った。それはもしかしたら正しいのかもしれない。また振られるのが怖い。それは正しいだろう。だがそれは結局栞里に受け入れてもらえるかどうかという話で、龍が栞里を好きな気持ちは変わっていない。なら、振られるから諦めるというのは信じることが出来ない。


「もし、栞里がお前が好きだ、付き合ってほしいって告白した時、お前はそれを断れるのか? 諦めたから、もういいって」


「っ、当たり前だろ? そんなダサい真似なんて出来るかよ」


信じられない。だから確かめる。


「そうか。本当に諦めたんだな」


「そうだよ。さっきからそう言ってんじゃねえか」


栞里に嫌われないことを願う。


「じゃあ俺は安心して栞里を奪えるな」


栞里の腰に手を回し、抱き寄せる。


「きゃ、ち、ちょっと弘くん」


素肌で触れた栞里の体に心臓の音が跳ね上がるのを感じる。抵抗する栞里を無視し、痛くしないように、だけど強く力を込めて抱き締める。


「好きだ。何度でも言う。俺は誰よりもお前が好きだ。お前が思うより、龍がお前を想うより、俺はお前のことを」


勢いに任せて言いたいことを全部言おうとしたが、それは叶わなかった。

俺と栞里の肩を掴まれ強引に引き離される。栞里を傷付けないように手を離し、引き離した龍を見て言う。


「どうしたんだよ龍」


顔を怒りに染め上げ、俺を睨み付ける龍。返答は言葉ではなく、拳だった。


「巫山戯んなよテメェ」


頬を殴られ、少しよろめきながらも龍に答える。


「お前のほうが、巫山戯てんだろうがっ!!」


龍に殴り返す。互いに殴られ、睨み合う。


「ちょっ、ちょっと止めてよっ!! 2人とも止めて!!」


栞里が俺達の間に割って入る。だが今回はそれでも止まらない。止めさせない。


「栞里が好きなら、堂々と好きだって言ってみろよ」


裏で妨害しようとしていた自分を棚上げし、龍に詰問する。


「このままで良いのかよ。本当に諦めんのかよ」


俺に手を出した時点で、答えは分かっている。


「・・・わけねぇだろ」


拳を握りしめ、一瞬栞里の方を見つめ、また俺を睨む。


「諦められるわけねえだろっ!! ずっと、ずっと好きだったんだぞっ!! ああそうだよ、待ってたさ。栞里から告白してくれるのを待ってたんだよっ!!」


傷付くのが怖くて逃げた龍。自分から迫るのが怖くて、栞里から手を差し出されるのを待つだけだった龍。その本音。


「悪いのかよっ!! もしかしたら、本当は俺のことをって、そう思っちゃ悪いのかよっ!!」


「悪いに決まってんだろうがっ!!」


そして俺はそれを悪いと切って捨てる。


「全然諦めてねえじゃねえかっ!! 何が応援するだっ!! この構ってちゃんめっ!!」


「んだとこの中二病野郎っ!! さっきから好きだ好きだと恥ずかしげもなく言いやがってよぉ!!」


俺も龍も、どんどん熱が上がっていく。栞里に龍は全然諦めていない、隙を窺っているだけだと忠告できればそれで良かったのに、関係ないことまで言い合っている。


「だから、喧嘩は止めてって、言ってるでしょっ!!」


栞里に突き飛ばされる。呆然として力が入らず、そのまま倒れて尻もちをつく。龍も呆気に取られて言葉を失った。


「今日は遊びに来たんでしょっ!! 話しなら帰りに聞いて上げるから、もう止めてっ!!」


栞里は踵をかえし、(みお)達の所へ走って行った。


  ♪〜♫〜♬〜


あの後、険悪ではなくなったが何処か微妙な空気のまま終わり、駅のホームで解散。何時もの道を3人で帰る。何も言わず、ただ歩き続ける。

そのまま何時もの分かれ道に差し掛かる。


「このままじゃあ、また微妙な空気で二学期が始まりそうだから、言っておく。俺は栞里が好きだ。龍に負けたくない。龍や他の誰かに取られたくない」


恐らく最早クラスの全員が知っているであろう俺の気持ち。


「分かってるよ。ちゃんと頭冷やして考えた。正直に言う。俺も栞里が好きだ。弘と同じように、弘にも、誰にも取られたくない」


龍も素直に自分の気持ちを口にする。


「だから栞里、弘だけじゃなく、俺もちゃんと見てくれないか? 前はもういいって言ったけど、やっぱり俺はお前が好きなんだ」


「うん。分かった。ちゃんと見て、考える。2人のこと、絶対に答えを出すから」


改めての龍の告白。栞里も、俺と龍。両方の告白を受けて、しっかり答えを出すと言ってくれた。これで、俺と龍は正々堂々、栞里を取り合う関係になったわけだ。


「ありがとな。あと、弘」


「どうした?」


「あの時のことを謝っておく。栞里と手をつないで帰った時に、お前から電話があったんだ。もう不審者は居なくて、電話には出れる状況だったんだ」


知ってる。見ていたから。


「でも、栞里いい感じで帰れてて、邪魔されたくなくて、お前からの電話を無視しちまった。すまん」 


龍が素直に謝ってきた。俺に対しても誠意を見せてくれたということなのだろうか。なら、俺も謝らないとな。


「その件だけど、俺からも謝らせてくれ。実はあの時偶然お前らが一緒に歩いているのを見たんだ。それで、わざと1年にそれを教えたんだ。お前らが噂になって互いに距離をとるように」


言う必要のないこと。だけど敵とはいえ親友だ。親友が誠意を見せてくれたなら、俺もそれを返さないと。


「えっ、お前、そんなことしてたの?」


「嘘っ、びっくりしちゃった。全然気付かなかったよ」


「ごめん。あの時、裏切られたと思って、絶対に邪魔してやるって思ったんだ」


「そっか、ごめんな。嘘ついちまって」


「いいよ。俺も裏で貶めるようなことをして、ごめん」


お互いに謝り、これからも友達だ。嘘は付かないと言って龍は帰って行った。心なしか、スッキリした表情だったと思う。俺も、状況は寧ろピンチになったというのに、どこか心が軽くなったような気がする。

龍と別れ、そして栞里の家に着く。


「じゃあ、またね弘くん」


「ああ、またな。っと、そうだった。栞里」


「ん、どうしたの」


「二学期でも休み中でも、こんなふうに栞里に迫っていくから、覚悟してくれよ」


また栞里を抱き寄せる。ワンピース越しでも、外の暑さではなく、栞里の温かさを感じた。


「わっ、ちょっと弘くんやめて。恥ずかしいよ」


栞里に言われて、直ぐに離す。


「龍に嘘は付かないけど、栞里と2人になれるこの道は俺にとってチャンスだからな。どんどん利用させてもらう」


「うぅ、弘くん。卑怯だよぅ」


また顔を赤くして、栞里はそう言った。



先ずは栞里救済ルートから始めます。

更新も遅く、話数も長くないと思いますが、良ければ読んでくれると嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 色々想像は膨らみますが、ここからの展開楽しみにしてます!
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