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投稿します。


「お前、いい加減にしろよ」


二学期に入ってからも未だに俺は志保と関わりを持っている。栞里と一緒に帰っているはずなのに志保がしれっと合流してきた。栞里との約束、とまではいかないにしても、こいつを突き放すためにかなり雑に扱っているはずなんだが。


「え〜 なにが?」


「俺は栞里と2人で帰ってるんだ。お前も友達との付き合いとかあるだろ」


「栞姉えとも友達だし」


「同級生の友達とかいるだろ」


「そっちは充分付き合いあるし、今日はいいかな」


「それに、部活はどうした。一応テニス部なんだろ」


「幽霊部員だからね。居なくても問題ないよ」


「運動部で幽霊が許されるって、どんだけ弱いんだテニス部」


「浅沼先輩以外はパッとしないですからね」


「まあいい。ハッキリ言って栞里との時間の邪魔だ。どっか行け」


「私も、ちょっと弘くんとの時間を大切にしたいかなって思うの。悪いけど遠慮してくれないかな」


普段なら絶対に人に対してそんな物言いはしないはずの栞里までこの対応。よほど腹に据えかねているようだ。


「栞姉えまで。じゃあ今日はやめとく、じゃあね〜」


志保が進路方向を変えて歩いてく。栞里に言われたら直ぐに下がるんだよな、俺の言うことは聞かないくせに。


「助かったよ栞里。俺じゃあ何言っても聞かないから」


「いいよ。私も最近の志保ちゃんには怒ってるんだから。私の弘くんなのに」


栞里が怒って独占欲を出してくれることに嬉しさと自分の不甲斐なさを感じる。


「やっぱり志保ちゃん。弘くんのことが好きなんだよきっと」


「そんなこと、ないとは、言えないのかなぁ」


「そうだよ。私がいるのに」


珍しく栞里のほうから腕を組んできた。


「でも、俺が好きなのは栞里だけだよ」


「うん。知ってる」


栞里と話しながら家の玄関を開ける。家に入りながら、どうすれば隣にいる栞里に心配を掛けさせないで済むかと頭を悩ませた。


  ♪〜♫〜♬〜


栞里が帰ったあと、どうすれば志保を突き放せるかを考える。栞里があそこまで態度に出るのは相当なことだ。今のところ栞里の言うことは聞いてるが、毎度追い返すのに栞里の手を借りるわけにはいかない。俺の言うことを聞かないのはこれまででよくわかっている。どうするかと考え、女の扱いとして参考になるかは兎も角、経験はありそうな龍に連絡した。


「お前、ぶっとばすぞ」


電話で経緯を説明するとこれである。まあ、寄ってくる女からの対処法を教えてくれ。何故俺に掛けたのか。経験ありそうだからと話せば怒りもするか。


「すまん、悪いとは思ってるんだが切羽詰まっててな。栞里にこれ以上心配を掛けないためにも何かいい案があったら頼む」


「ったく、そういうのはお前の領分だろうが。え〜っと、志保がお前に付き纏っていて、お前はそれをなんとかしたいと」


「ああ」


「なんで付き纏われるんだ?」


「確認はしてないけど、栞里が言うには多分俺に好意があるんじゃないかって」


「あっそ。浮気はすんなよ」


「しないよ。なんかいい方法はない?」


「志保がお前を好きだったとして、あいつも振られるのはわかってんだろ。だから告白はしない」


そうだとしたらなんだか中学のときの俺みたいだな。栞里に告白しても振られるからまずは仲良くなってからって。懐かしいな。


「このままの状態が嫌だってんならお前から振ってやれよ」


「いや、でも本当に俺が好きかどうかも分からないのに振るって」


「じゃあ聞け。本人に直接な。2人っきりになったら本音も聞けるもんだぜ」


「経験あるの?」


「ああ。お前の予想通り似たような経験がある。彼女がいるってんのにぐいぐい来るやつがいてよ。そのくせそっから何もして来ねえ。理由を問い質してもハッキリしなくてよ。で、あまりにも鬱陶しいからちょっと個別で話し合いをしたんだけどな、そうしたら俺が好きだって白状しやがった。やっぱ会話は面と向かってやらないとダメだな」


言葉の節々に不審な響きがある。が、面と向かって言うという点には共感できるところがある。


「聞いて本当に好意とか無いって言われたらどうするか。いや、それも本音を聞き出してからだな」


栞里に誤解を与えないように連絡をとって外で志保と話せばいいか。


「ありがとう龍。助かったよ」


「おう、あんまり栞里に心配掛けんじゃねえぞ」


栞里に電話し、志保の本音を聞くために2人っきりで会うことを伝える。不機嫌さが見え隠れしたが外で会うこと。場所も伝えて終わったら連絡することで了承してもらった。

志保に電話を掛ける。


「はい、なんですか先輩」


「今週末、暇な日があるか?」


「えっ、先輩、栞姉えがいるのに私とデートとか最低」


「デートじゃねえよ。お前も栞里が怒ってるの分かってるだろ」


「まあ、栞姉えには悪いと思ってるけど」


「だから週末に外でじっくり話そう。本音でだ。栞里が居ると話しづらいなら俺だけで聞くぞ」


「やっぱデートじゃん」


「怒るぞ。栞里にも連絡してある。場所も決めて伝えてある。あとはお前が来るかどうかだ」


「来なかったら?」


「予定がある場合は仕方がないがそうじゃない場合はもう口を利かん。栞里に悪い」


「わかりました。どこですか?」


「急に素直になったな」


「これ以上は本当に口を利いてくれなくなりそうですし」


ようやくこっちの本気が分かってきたか。


「ああ、今回は本気だ。もし今話せるならここで話してくれてもいいぞ」


「いえ、これは直接話しがしたいので。2人きりで話しましょう」


志保に場所と時間を伝えて電話を切った。



この次あたりから理不尽なことが起きるかもしれませんが、まずは弘和視点で話を終わらせます。その後に別の視点で書いて補完出来ればなと思っています。


定例文ではありますが、これを読んでくれる方、評価してくれる方、本当にありがとうございます。

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