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投稿します。
この話から高校編が開始します。
「そういえば明日から栞里の後輩が来るんだっけ?」
「うん。小さい頃からの親友なんだ。弘くんのことも相談させてもらったんだよ」
ベッドから降りてテーブルに置いてあるお茶を取る。一本目の蓋を開け飲み、飲みながらもう一本を栞里に渡す。
「ありがとう。弘くんの後輩にもなるんだから、ちゃんと面倒見てあげてね。まあ、私よりずっとしっかりしてる子なんだけど」
栞里も蓋を開けてお茶を飲む。
「でも中学のときにも居たんだったらそのときに紹介してくれても良かったんじゃない?」
「志保ちゃんから止められてたんだよ。あの時は1年のなかで色々あって弘くんはちょっと受けが良くないからって」
「受けが悪いって、あ〜 龍のことか」
あの頃、龍のファンクラブが出来たときに出てた話だが、俺は龍の恋敵として話が回っていたらしく、龍に好意を持つ子には応援、敬愛する子からは敵意の感情で見られていたそうだ。あの時1年を使ったときの話が出回るのを避けるため極力下級生とは関わらないようにしていたのが功を奏したらしい。
「そうそう。龍くんのファンクラブ、凄い人気だったもんね。私も龍くんと色々あったから1人じゃ下級生の近くに行けなかったし」
テーブルにペットボトルを置き、服を着ながら栞里が当時のことを話す。俺も服を着よう。
「その後輩ちゃんはファンクラブに入ってたの?」
「ううん。私が相談してた影響もあるけど、龍くんにそういう感情は無かったみたい。どっちかと言うと弘くん派だったらしいよ」
「へ〜 俺にね〜」
「あっ、浮気しちゃダメだからね」
「しないしない。俺は栞里一筋だよ」
部屋の扉を開けた栞里を抱き寄せてキスをする。
「んっ。冗談だよ、ちゃんと信じてるから」
階段を降りて玄関を開ける。もう大分日が落ちてるな。
「じゃあね弘くん。また明日」
「ああ、また明日、待っているよ」
最後に栞里とキスをし、栞里は家に帰っていく。
♪〜♫〜♬〜
翌朝、起きてからの日課で階段を降りた後に玄関の鍵を開ける。いつものように朝食を取り、歯を磨き顔を洗う。1年経ってすっかり慣れたネクタイを締めてブレザーを羽織る。朝の準備が終わり栞里を待つ。
少しして玄関の扉が開き、
「弘く〜ん。来たよ〜」
栞里の呼び声に応え玄関に行く。
「おはよう栞里」
「おはよう弘くん。今日から2年生だね」
「また1年宜しくな」
玄関を開けると外にもう一人女子生徒が待っていた。俺の姿を捉えると頭を下げて挨拶してきた。
「始めまして。今日から先輩の後輩として通うことになりました。村瀬志保です。栞姉え共々宜しく」
丁寧な態度とは裏腹にどこか軽い印象を受ける後輩。栞里の親友って聞いていたが、あまり栞里と仲良くなりそうなタイプには見えないけど。
「糸巻弘和だ。栞里から俺のことを色々聞いているかもしれないけど、これから宜しく」
「ええ、色々聞いてますよ。私のことも宜しくお願いしま〜す」
後輩、村瀬だったか。村瀬が手を差し出してくる。
「その手は?」
「握手よ握手。栞姉えの彼氏なら私にとっても友達みたいなものでしょ?」
そんなものか、と手を出しかけて、止める。
「いや、栞里の親友だとしてもそれは違うだろ。栞里にも悪いし、止めておく」
差し出した自分の手を見ながら村瀬が言う。
「へ〜 糸巻先輩ってちゃんと栞姉えのこと思ってるんだ」
「ね? 言ったでしょ。弘くんはそんなことはしないって」
栞里が村瀬の言葉に嬉しそうに返す。この様子だと俺は謀られたらしい。
「ごめんね。志保ちゃんがどうしても直接判断したいって聞かなくて」
「当然でしょ。栞姉えから話は聞いてたけど私は会ったの始めてだし、栞姉えが思っているような人じゃないかもしれないじゃん」
少し先輩に対する言葉使いが悪いが村瀬は自分で人を判断しようとしたらしい。確かに栞里の言うようにしっかりした子のようだ。
「いや、この位なら大丈夫だよ。じゃあ、村瀬は俺をどう評価してくれるんた?」
「志保でいいですよ、名字はあんまり好きじゃないんで。まあ、評価としては保留ですね。たった1回で分かるわけ無いんで。これから判断していきますよ」
どうやらこれからも篩に掛けられるようだ。
「もう志保ちゃん。あんまり弘くんを疑わないでよ」
「は〜い、努力しま〜す」
やる気のない努力宣言でやっぱりまだ掛かるなと思いながら、そろそろ家を出ようと2人に言う。
「そういえば栞姉えっていつも糸巻先輩の家に上がってるの? や〜らし」
「ちょっと志保ちゃん!! なんてこと言うの」
「中学のときは俺が栞里の家に迎えに行ってたんだけど、高校は俺の家が通り道だから逆になったんだ。それで家は父さんがいつも朝早くて俺しか居ないから、どうせなら入って待ってもらってるんだ」
村瀬、いや、志保を入れた3人で登校する。
「へ〜 じゃあ私もしばらくは先輩と一緒に登校しようかな?」
「むっ、志保ちゃん。それはちょっとどういうことかな?」
「だってまだ先輩の判断終わってないし。それじゃあ栞姉え、先輩、じゃあね〜」
昇降口まで来ると志保は1年の教室に歩いていった。
俺達も教室に行くかと2年の教室に向かう。クラス分けは終わっているので栞里と別れ、1組に入っていくと龍が居たので声を掛ける。
「よう。おはよう龍」
「おっす弘。栞里とは離れちまったな」
俺と龍は1組、栞里は2組と離れてしまった。
「まあ、栞里とはいつでも会えるし、文句を言っても仕方がない。それよりも、これからまた1年宜しくな」
「俺も頼むぜ、また勉強教えてくれや」
「部活が忙しいのは分かるが勉強は極力自分でしろ」
龍はテニスでかなりの腕らしく、よく試合でも上位に入っている。
「ははは、浅沼もテニスばかりじゃ馬鹿になるからな。ちゃんと勉強しろよ」
教室に入ってきた修平が龍を茶化す。その後俺に朝の出来事を聞いてくる。
「そんで弘和、朝一緒に登校してきたあのかわいい子は誰だよ」
どうやら修平の本題は志保のことらしい。
「別に、栞里の友達で後輩になった子がうちに入学したから、一緒に案内しただけだよ」
「三島さんだけでは飽き足らず後輩にも手を出すか。弘和、お前も浅沼と同類だったとは。見損なったぞ」
「うるせえよもやし野郎。ちゃんと別れてから新しく付き合ったんだから問題ねえ」
横から龍の意見が出るが修平は呆れたと言わんばかりに溜め息を吐く。
「はあ。今の彼女で何人目だ?」
「・・・4人目」
「このクズめ」
「うるせえ」
なんでこうなったんだろうか。確かに龍は中学時代から女子との交流が多かったが、まさか高校でもそうだとは。ちょっと度が過ぎないかと止めるように俺からも言いたいところだが、もしかしたら龍がこうなった原因が俺と栞里なのではという負い目から今も注意出来ないでいる。
今のところ弘和達が2年生の内に終わらせる予定です。
高校編に入り少し話が暗くなっていきますが、これを読んでくれた方、評価してくれた方、本当にありがとうございます。




