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エピローグ
夜空を見上げている。三日月がキレよく輝き、時折り、流れ星がかすめ通る。澄みきったいい夜だ。
「あっ・・・」
ドラゴンが月を横切った・・・気がした。目を凝らしてよく見る。翼が月光にひらめき、虹色の光の粒をこぼしている。間違いない。あのなつかしい影が、夜の気流に弧を描いている。たしかに、小さなドラゴンだ。瞬く星ぼしの間を縫うように、空を渡っていく。
「まだ残ってたのか・・・」
めらっ、と一瞬、ほの赤い輝き。ささやかな炎を吐いたのだ。思わず身を起こした。
「えっ・・・?」
オレに挨拶をしている。やがて小さな影は、都の方角に向けて飛び去った。
「ひょっとして・・・」
ふと思い出す。ジュビーと出会った、あの日のことを。オレは死んだドラゴンの腹を割き、取り出した卵を抱いてうたた寝をしていた。それを、あのおてんば娘に見咎められたんだっけ。その卵を、ジュビーとふたりでオアシスに運んだのだ。
「卵から孵ったあいつだ・・・」
ネロスの手に渡り、孵化し、炎の中から王様ドラゴンに助け出された子供のドラゴン。あのドラゴンが生きていたのだ・・・きっとそうだ・・・
おしまい




