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009 バカ(後輩)と妹(反抗期)と談笑獣(関西男)

「という訳でやってきましたよ春華ちゃん!」


「ゴメン、意味わかんないんだけど」


 それには俺も同意する。いきなり知らない二年の男と俺を連れてこられても状況を理解出来ないよな。おい、俺を睨むなよ。俺のせいじゃないからな。


「いやぁ、いきなりゴメンな! まずは自己紹介からやな。俺は西原銀次、銀ちゃんって呼んでくれ」


 もはや強制。春華もめんどくさそうな顔してるじゃねぇか、可哀想に。だから俺を睨むなって。悪いのはここにいるハイテンション娘とおしゃべりモンスターなんだよ。


「それで、お兄ちゃんまでなんでここにいるの? 学校にいる時くらい顔見たくないんですけど」


「俺だって好きでここにいるわけじゃないっての。この二人が心配だったからついてきただけだ」


「なにそれ。やっぱお兄ちゃんって暇人なんだね、可哀想に」


 こいっつは本当に口が悪いな! しかもさっき俺がお前に思ったことをそのまま言い返された感じで腹立つー!


「相川、ちょおこっち来て」


「なんだよ」


 有希が春華と雑談し始める中、西原が少し離れたところから手招きしている。なんなんだよ一体。


「春華ちゃん、いつもお前さんにはあんな感じなん?」


「そうだな。なんか遅めの反抗期っぽくてさ」


「マジか。ツンツン通り越してドリルやろ、あの言葉責めは」


「ねぇ、そこの二人。人の事をドリルとか言ってるけど、何? バカにしてる?」


 はい聞こえてましたー! 前にもこんな事あったけど、離れて会話する意味ないだろこれ。この痴態に有希も思わず苦笑い。食堂のあの一件を思い出したか。


「フッ、バカにはしてへんよ。そのドリルレベルのツンツンさが、可愛いと思ってしまったんや」


 かっこつけてるけど言ってる事がアホすぎる。けど何故か春華の顔が少し赤い。嘘だろ、まさか……っ!! まさかなのか!


「ふ、ふーん……西原さんにそんな事言われても全然嬉しくないですけど」


 嘘つけ。口元緩んで言う言葉じゃないぞそれは。まぁ、西原も普通にかっこいいからな。このグイグイ来る感じがなかったらもっとモテてるだろうに。前にクラスの女子も言ってたし。


「おやおやぁ? 春華ちゃん、なんか嬉しそうですね!」


「うるさい。誤解されるから変な事言わない!」


「いひゃいいひゃい! ひょめんなひゃいー!」


 空気の読めない有希は両頬を抓られながら謝る。うん、それはお前が悪い。それにしても、春華がまさかこのおしゃべりモンスターの言葉に照れるとは。何が起こるかわからないもんだな。


「相川、いや柊夜。俺はお前と出会うことができて良かった!春華ちゃんという天使に巡り会えたからな! 」


「なんだよ大げさだな。それに西原お前、時雨会長が好みじゃなかったか?」


「確かにそうやけど、それとこれとは別やな。あの人はもはや雲の上の存在すぎて、憧れしか抱かれへんわ」


 会長はアイドルか何かなのか? それに春華は天使の皮を被った悪魔だぞ。今からでも遅くない、正気に戻るんだ西は───「お兄ちゃん、変な事考えてるでしょ?」───お前はエスパーかよ。


「それと春華ちゃん、敬語とか使わんでもええよ」


「……ふん」


 これは思わぬ弱点発見だな。おそらく春華は西原を意識し始めているはずだ。何かあったら西原の名前でも出してみるか、うっしっし。

 いきなりの突撃訪問はなんとか杞憂に終わり、思わぬ展開もあったりしたが、こうして一人、知り合いが増えた。よし、青春してるじゃん、俺!


「……帰ったら絶対コ◯ス」


 ちなみに、この後家で俺と父さんがボロカスにされたのは内緒だ。父さんはマジで巻き込まれただけだから可哀想だけどな。母さん、マジでそろそろ止めてくれぇ……

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