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008 おしゃべりモンスター ドンナモンヤ


「なぁなぁ、戸崎と付き合ってるってホンマか?」


「へ?」


 騒がしかった昼休みが終え、午後の授業も終わって放課後。唯月達は委員会でいないので、一人さびしく帰ろうとしていた俺に話しかけてくる男。よりにもよってコイツに目をつけられたか


「今日の昼休み、お前さんと戸崎がイチャイチャしてるの見てもうたんよ。あの戸崎と普通に会話できるって事は相川、お前は戸崎の彼女なんやろ?」


 西原(さいはら) 銀次(ぎんじ)。クラスでは銀ちゃんと呼ばれ、その親しみやすい性格でクラスのムードメーカーとしてみんなから慕われている。俺も嫌いじゃないが、このグイグイ来る感じには少しついていけないんだよな。それにあのやり取りをイチャイチャしてると思えるところがすごいな


「そんなわけないだろ。アイツとは昔からの幼なじみなだけだっての」


 現にこの前告白したらフラれたしな。クッ……心の古傷が痛む!!


「ほほう、幼なじみか。それはまた凄いなぁ。あんな美人と幼なじみやったら、毎日幸せやんか。羨ましいな、このこの」


 羨ましい、か。告白してフラれてるって言ったらどんな顔するんだろうか。見てみたい気もするが、話がややこしくなりそうなのでやめておいた方がいいな。


「けど俺は時雨会長の方が好みやけどな。あのクールビューティな雰囲気が最高やわ」


「時雨会長……あぁ、あの人か。時雨会長も四女神の一人なのか?」


「当たり前やろ! あの人が入ってなかったら抗議モンやで! 時雨会長目当てで生徒会入ってる奴もおるみたいやしな! 四女神の中でも男女両方にファンクラブも存在するねんで? どうや、凄い人やろ!」


「お、おう……そりゃあ凄いな、うん」


 俺はお前の変わりように凄みを感じてるけどな。けど、そんなに人気なのか、あの会長。確かに何回か見た事あるけど、俺は沙也加の方が好きだな……って何言ってんだよ俺は。これじゃあまだアイツの事諦めてないみたいじゃねぇかよ。


「あ、やっぱりここにいた! 柊夜せんぱーい!」


 げ、このタイミングでお前かよ有希ィ……! 西原(おしゃべりモンスター)がいるからまた騒ぐだろうが。


「おぉ、なんや相川! めっちゃ可愛い後輩ちゃんやんけ! お前さんも男やなぁ ! 下の名前で呼び合うてるってことは、付き合ってんのか!?」


「あーもう、うるさいっての。それで、わざわざ探しに来てまで何の用だよ」


「えとえと、いつも教室でボッチだから相手してあげてって、春華ちゃんが言っていたので」


 またお前か春華ァ!! ついでに俺はボッチじゃないからな! この前も行ったはずだぞマジで! くそっ、この前ささやかな復讐でケーキに罠を仕込んでいた事に対する仕返しか……! 精神攻撃とは味なことを!


「春華ちゃん! また新しい子の名前が出てきたな! 実は年下好きなんか?」


「春華は俺の妹。こいつとは昨日知り合ったばかりでただの先輩後輩の関係だ」


「まぁ、せやろな」


 おい、そこで納得するなら最初から聞くなよおしゃべりモンスターめ! やっぱりコイツにはついていけないぜ……


「あ、初めまして。私、涼風 有希って言います」


「有希ちゃんか。俺は西原 銀次。気軽に銀ちゃんって呼んでもええよ」


 なんか自己紹介初めてるし……この二人が意気投合したら色々と面倒くさいな。嫌いじゃないけどこのテンションの高さにはついていけない。


「なぁ有希ちゃん。相川の妹さんってどんな子なん?」


「なんで俺じゃなくて有希に聞くんだよ」


「だってお前さんに聞いても教えてくれそうにないから]


大正解。お前みたいなおしゃべりモンスターと会話を交わすだけでも疲れるんだよこっちは。そんなに休み無しで喋って喉乾かないのか……?


「それなら今から春華ちゃんのとこに行きましょうよ! まだ教室にいると思うので!」


「よっしゃ、それやったら善は急げやな!」


「は? ちょ、おい! お前らマジかよ───行っちまった」


 やっぱりあの二人が一緒にいたら面倒くさかった。なんか心配だから見に行くか……。確かアイツは、四組って言ってたな。西原のやつ、春華にあの調子で話しかけたら大変な事になるぞ。俺も絶対、怒られるよなぁ……







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