表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/11

007 俺の昼飯時がこんなに騒がしいわけがない


「よ、よう沙也加。久しぶりだナァ」


「わわっ、なんか凄いことになってます……!」


 思わず咄嗟に挨拶をしてしまった。マズい、どもって片言に……あと涼風、慌てすぎだろ!


「……あなた、誰?」


「は、はい! 私、涼風 有希と言います! 柊夜先輩とは学園の先輩として色々教えてもらっています!」


 おい、お前とは今日あったばかりだぞ有希。しかもそんな先輩らしいことは一切してないんだけどな。みろ、沙也加も疑いの目でお前を見てるぞ。


「ふぅん……()()先輩、ね。随分と仲が良いみたいね、その子と。」


「おい見ろよ、修羅場だぜ修羅場!」


「キャー! 初めて見たわ!」


 おい、なに楽しんでんだ野次馬連中! こっちは大変な状況なんだぞ! 俺もお前らの立場なら楽しんでるけどな! 突然の沙也加の登場により、食堂はいつもよりも騒がしくなる。俺はただ平穏に昼飯を食べに来ただけなのに……やっぱ有希の誘い、断っとけば良かったかもしれない。結果論でしかないけどな


「せせ先輩、どうするんですか。なんかとんでもない事になってますよ」


「そりゃお前、沙也加が来たからに決まってるだろ」


「二人とも、ひそひそ話してるつもりみたいだけど、丸聞こえよ!」


「あだっ!」


「あうっ!」


 パシンパシン、と頭を叩かれる俺と有希。こいつ、初対面の有希にも容赦ねぇ……!! 流石にグーパンじゃないだけ優しいけど、やっぱ怖いわ沙也加さん


「それより柊夜、なんか言いたいこととかないの?」


「……へ?」


「だから、私に言いたいことがないかって聞いてるの!」


 なんだ? 俺が沙也加に言いたいこと? この前の件に関してちゃんと謝れ、とかかな。うーん、分からん。どうしたらいいんだ? 早く言わないとまた怒られるし……くそ、こうなったらヤケだ


「言いたいことはない! けど、これだけは言わせてくれ。この前はゴメン!」


「……バカ」


 沙也加はそう言って食堂を出ていく。またやってしまったのか俺は。沙也加のあの蔑んだ顔……キツい、キツすぎる。


「柊夜先輩、大丈夫ですか? 顔色悪いですよ」


「だ、大丈夫だ。もとから血色が良くないってよく言われるから」


「そうですか。とにかく、何があったか知りませんが、無理はしない方がいいですよ先輩!」


「あ、あぁ……」


 沙也加のせいで昼休みも残りわずかになってしまったので、急いでカレーを搔き込む。有希はいつの間にか食べ終えていた。いつの間に食べたんだコイツ……


 これからどうしようか。沙也加との溝は深まるばかりで、一向に良くならない。とりあえず、なるようになるしか無いのか……





 食堂で柊夜と別れ、教室に戻った私は一人、悶々としていた。なんなのよ柊夜、いきなり真剣な顔になって謝って来るなんて。その顔がカッコイイと思ってしまった自分が憎い


「柊夜のクセに……バカ」


 私は食堂で買った焼きそばパンを口にした。柊夜と話をしていたせいで少し冷めていたが、柊夜に嫌われていたわけじゃないと思ったら、不思議と美味しく感じることができた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ