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国造りを始めよう

 第六話 『国造りを始めよう』




 大正108年 6月1日 0時37分

 オワリコマキーン歴 100年1月1日 15時(1日目)



 シゾーカのバトルフィールドはゴミが取り除かれ、きれいになっていた。


 きれいになったと言っても『荒れ地』が『整地』になった程度だ。


 シゾーカの面々が『ガチャ』でワイワイやっている間に大工たちが黙々と作業をしていたのだ。今、彼らは仕事を終え、自分たちの『大工小屋』に戻っている。


 現在バトルフィールドの中に初期設定で設置されている施設は、『王城』『G(ゴールド)タンク』『G(ゴールド)鉱山』『大工小屋』×2の五つである。


『王城レベル1』は1×2マスで構成された縦穴式住居のテントで、見た目ボロボロだ。


 王城には専用のガーディアンがセットで付いてくる。


 レベル1のガーディアン『戦士』二名。彼らは城の周囲1マスの中でしか活動はできない上に、攻撃は同じマスに入ってきた者のみが対象となるが、ガーディアンにはボーナスとして全てのダメージに『ー3』の修正が付く。

 

『G鉱山レベル1』1は1×2マスの一見すると単なる洞穴で、鉱夫たちが交代でスコップと蝋燭の燭台を持って、バケツを使って毎時200G(ゴールド)を無休で掘り出し続ける施設である。


『Gタンクレベル1』レベル1は1マス(幅5メートル×奥行5メートル×高さ2メートル)の大きな木箱だ。

 その木箱に鉱夫たちが掘り出したGが貯められていくのだが、レベル1では最大5000Gまでしか貯められない。


 全ての施設は王城のレベルを超えてレベルアップはできない。

 王城のレベルアップ毎に設置できる施設が増えていく。


「サトル様、まずは城壁をレベル0.5、レベル1と二段階のレベルを上げて、いち早く王城をレベル2にすることですわ」

 青と金のビキニアーマーを着た姫騎士、桜姫(オウキ)が言ってきた。


 フィールドは広いと言っても所詮5メートル×50マスの250メートル四方しかないミニチュアな世界であり、バーチャルな感覚ではあるが、ここで生活もできる。どの国も同じ大きさの土地と同じ広さのバトルフィールドしかない。

『ホカイドゥ』でも『オーキナ・ワン』でも『シゾーカ』でも同じ面積だ。


 バトルフィールドの中には様々な建物がこれから乱立することになるのだが、その建造物に物理的に入ることはできない。

 しかし『王城』『武将宿舎』『兵士訓練所』などの建物には、それぞれ関連する幻影空間が設定されており、幻影空間内に居住スペースや市場などの施設に合った空間が形成される。

 移動は『コマンド移動』で建物から建物へ直接移動する。

 幻影空間の内容や空間の広さなどは、レベル1から7までの建設レベルに比例する。


「何だこりゃ?」


 王城に来たサトルが「何だこりゃ?」と言うのもうなずける。

『王城』とは名ばかりで、単なる大きいテントだからだ。


 確かに外から見える王城は、むかぁし教科書で見た三角錐の藁葺き屋根でできた『縦穴式住居』っぽかった。


 その中は真ん中に柱が一本立っており、地面が一段掘り下げてあるだけの土間だ。それは紛れもない縦穴式住居だった。


『王城レベル1』だと他の施設もレベル1以上には作れないので、自ずと『武将宿舎』もレベル1で、縦穴式住居である。


 ただし王城は『城』と言うだけあって、1マス×2マスを目一杯使った楕円形の大きな縦穴式住居だ。


「執務室も何も、食堂も王の謁見場も一緒くたじゃん。……笑える。下に敷いてあるのはゴザ?」


「現在ロボ子が大工たちに『城壁』を増産させておる。王城をレベル2に上げるまで、もう少しの辛抱だ」


 サトルの右肩にちょこんと座っているSDダイブルガーが、だいぶ聞き慣れてきた野太い声で励ました。


「主君、現在この国の戦力はここに居る四人だけですので、一刻も早く『王城』をレベル2にして、『兵士訓練所』を建てることを進言いたしますですわ。できてば(わたくし)たちが休める『武将宿舎』も、早急に建てて欲しいですわ」


 長い金髪をフワッとさせながら水着の・・・いや、ビキニアーマーの桜姫が言う。若くてハキハキしている元気な()だ。


『編成』で選ばれた武将はプレイヤーと一緒にコマンド移動するので、『執務室コーナー』にはサトルと一緒に転送された『星六 羽衣天使 アイリ』『星五 姫騎士 桜姫』『星四 幻術師(イリュージョニスト) テンコ』の三人も居る。


 殺風景な縦穴式住居の中に器量の良い女の子が三人も居ると実に華やかだ。


 しかもその内二人は裸同然な美少女だから、今までの人生の中でモテた試しのないサトルの脳内はパニック状態だ。

 見えている画像を『名前を付けて保存』しまくりである。


 そう言えばまだテンコの声を聞いたことが無い。


 テンコはベルベットのような光沢のある柔らかそうな布のローブを纏っていて、頭には鍔の広い三角のとんがり帽子を被っている。

 色は青黒い感じで、光が当たる部分は群青色のような深い青が浮かび、影になっている部分は水に溶いた墨のように鈍い光りを放つ黒い色になっている。


 手には自分の身長である161センチよりも頭一つ長い、2メートルの柏ノ木のメイジスタッフだ。テンコの頭を越す辺りで芸術的なカーヴを描いている。


 絵に描いたような魔法使いの格好だ。


「テンコ?幻術師(イリュージョニスト)って何ができるの?」


 国王が全身黒尽くめの女に聞くと、彼女はサトルをじっっっと見つめて、ニヤっと笑って首を傾げた。


「え?何?」


 結局何だかさっぱり解らなかったし、テンコの声も聞けなかった。


「サトルさまぁ?アチきはぁ、歌って踊ることが大好きなのでぇ、歌って踊れる場所が欲しいでありんすぅ」


 地上20センチほどを浮遊しているアイリがサトルにおねだりをする。


「その格好で歌って踊るのか・・・」


 思わずゴクリと生唾を飲み込んでしまうヒョロ長もじゃメガネであった。


「と、取り敢えず大工が『城壁』を沢山造る間は何時間か掛かるようだから、待つしかないみたいだね。夕飯とか出るのかな?」


  奥の方に目をやると、何人かのスタッフがパタパタと動いていて、夕飯の準備をしてくれている。


  藁葺きの壁から少し離れて穴が掘ってあり、そこに薪をくべて火を起こしている。

  上から吊った鍋を温める仕様になっている。


「藁葺きの下で火を炊くのって、火事にならない?」


「さぁな、我には判りかねぬ」


  ダイブルガーに家庭的なことなど判るはずもない。


  その答えはロボ子ちゃんが知っていた。


「『ファイル』『オープン』『竪穴式住居』『調理』……ウーカッカッッカ……藁葺き屋根は雨を吸った藁の中に虫が湧きやすくなるので、建物内で火をたき、下から藁を燻すことによって防虫効果が生まれます。……と言うことですので、テント内で火を炊くことが正解のようです」


  正に先人の知恵と言うやつで、実に合理的だ。が、建物内はけっこう煙いのも事実だ。

 

 その時、

「やぁみんなぁぁ、オワリコマキーンの世界には慣れてきたかぁぁぁい?芸能の神ディオニっっっソスからぁ、ステッキなお知らせだよぉぉぉん」


  ディオニソスのチャラい声が響いた。


「何だ?」


  四人と一体(?)は顔を見合わせたが、もちろんさっぱり分からない。


「あと3時間後、今晩じゅぅぅ8時からぁあ、この試験に参加している国王たち全員集合で『かめぇぇん舞踏会』を開催しちゃいまぁす。『いっっっどう』コマぁンドにぃ『舞踏会場』を追加しておいたからぁ、じかぁん厳守で来るように。ちぃなぁみぃにぃい、俺様のイベントに遅刻欠席した国は、俺様権限で即消滅だよぉん。神様なめんなよ」


「仮面舞踏会って・・・映画でしか見たこと無いけど、どうすりゃ良いんだ?」


「仮面舞踏会ですので、ドレスコードをチェックして相応の格好をして出席するのが普通ですわ」


  騎士であり姫である桜姫がレクチャーしてくれた。


「いい忘れていたけどぉぉお」


「うわっっまだ話し終わってなかったのかよ」


  気を抜いていた所に再びディオニソスの声がして、びっくりした。


「かめぇん舞踏会にはぁ、かぁぁならずだれかをエスコートしてくること。ドレスコードをまぁもぉぉぉること。ドレスコードに合う服は『プレゼント』に贈ってある。受け取ってくれたまぁぁい」


  言われて『コントロールパネル』の『プレゼント』を開くと、あった、男性用のタキシードと女性用のドレス、そして目の回りを隠す仮面が二つ。


 さて、誰を連れていこうか?

  と一瞬思ったが、どう考えても桜姫(オウキ)しか居ないよな。

名前:試験のルール

時代:-

法律:試合の勝利条件


1試合は3時間

攻撃側が相手の施設の60%以上を壊せば勝利

大将(神プレイヤー)が倒れると負け。


勝った側は負けた国に貯まっているお金の半分と200神ポイントを強制的に奪取する。

(負けた国の所持ポイントが200以下だった場合は持っているポイント全部)


大将が倒された国は試合終了後消滅する。

その時は貯まっているお金すべてと、

神器を持っていれば神器をランダムで1つ。

神ポイントは負けた神が持っていた全てポイントと、

運営から神撃破ボーナス500を運営から受け取る。


神レベルが上がると、レベル×100神ポイントを運営から受けとる。



戦闘時プレイヤーがオワリコマキーンに居る場合には、必ず最初から参戦しないといけない。


戦闘時にコントロールパネルより『降参』を選択して、戦闘を回避または脱出することができる。

その場合、Gタンクにある持ち金全てと500神ポイントを相手国に支払わなければならない。

500神ポイント以上所持していない場合、『降参』の選択ボタンはコントロールパネル上に出てこない。


王城レベル=神レベル=神魔法レベルである。


神魔法は一試合中三回使用できる。


使用できる神魔法は、神レベル以下である。


神魔法には発動のために『発動条件』や『発動媒体』を必要とするものもあり、条件が厳しいものほど強力な何かが起こる。




地球の1時間はオワリコマキーンの1日

地球時間:大正108年6月1日0時0分~6月30日24時0分の30日間、

オワリコマキーン時間では720日間になる。


試験の勝利条件


初期1000神ポイントから始まるポイントが0になると国ごと神プレイヤーが消滅する。

試験は46人で受けているので、試験の世界内で初期ポイントは46000神ポイントしかない。


神ポイントを使ってキャラ枠やアイテムやガチャチケットを買うことにも使うので、プレイヤーを倒しても大量にもらえる訳ではない。


720日後合格できるプレイヤーは3人以下決まっている。

3人以上生き残っている場合は・・・・

その他:フィールドは50×50マス

1マスは5メートル四方


全ての戦闘はこのフィールド内で行われ、

このフィールドからはどんな物体も・爆発も・魔法も通り抜けることはない。


各神候補者たちが憑依するプレイヤーが納める国は、この戦闘フィールドと視界に入る周囲5キロメートルほどしかない。


初期設定ではフィールド内に

『王城』×1

G(ゴールド)タンク』×1

G(ゴールド)鉱山』×1

『一般住宅』×1

『大工小屋』×1

が設置してある状態からスタートする。

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