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ダイブルガー、登場!?』

 第三話 『ダイブルガー、登場!?』




 大正108年 6月1日 0時0分

 神野悟の夢(?)@夢と現実の(はざま)



「起きろサトル。これしきの攻撃で気絶してい場合ではないぞ」


 聞いたことの無い野太い声が悟を呼んでいる。

 それは意識を失っている悟には、遠くの方から聞こえてくるような感じだった。


「警告、警告、警告、イクシーズ本星より戦闘個体多数出現。『き・・・カカ・『香車』と思われます」

 この声は知っていた。それどころか、悟は言われたセリフも一字一句知っている言葉だった。


 それはダイブルガー第四十四話『決戦 前篇』で、ダイブルガーチームがいよいよ敵イクシーズ本星にワープアウトした時に、ナビゲーターアンドロイドの【ロボ子ちゃん】が言った言葉だ。

 声もロボ子ちゃんそのもののように聞こえた。


「ロボ子ちゃん?」


 悟が意識を取り戻し、うっすらと目を開けると、そこは彼が夢にまで見たダイブルガーのコックピットだったのだ。

 このダイブルガーオタクが見間違う筈がない。


「何だ!?ダイブルガーのコックピットに居る?ロボ子ちゃんも居る」

 トレードマークの太い黒縁メガネが外れて飛んでいくくらい激しく小躍りしている悟に、

「気が付いたかサトル?」

  先ほどの野太い声がまた聞こえた。


「誰?」


 悟が誰何すると声が答えた。


「我は『異世界よりこの宇宙を救う為にやって来た』と言う設定で創られた【鉄巨神(きょしん)ダイブルガー】である。この度縁ありて、本物の神に成るべく生まれ落ちたのである」


 自称ダイブルガーが答えた。声はコックピット全体から聞こえてくるようだ。


「警告、警告、警告、イクシーズ第一波、高速突撃自爆型生物【香車】接近中。数、……ウーカッカ・ウー・ウーッ……三百万。距離……十万キロメートル」


 ロボ子ちゃん特有の金属的な甲高い声がコックピットに響く。


 ロボ子ちゃんは戦闘時、ダイブルガーのコックピットに接続されて、メインパイロットである【(ほのお) (もえる)】のサポートをするアンドロイドだ。


 アンドロイドと言っても見た目は生身の人間そのもので、髪の毛は水色で『三月(みつき)鼠』みたいな2つのお団子頭をしていて、彼女の趣味で白黒ベースのメイド服を着ている。

 身体的特徴は、特に耳にそれっぽいメカが付いているような事も無い、十八歳の少女そのものである。


 ただし、大正70年代に大ヒットした映画【スターウォーク】に登場する金ぴかロボット【G3-PO】のように、上から糸で操られているような感じで、動きがカクカクしているので、非常に残念だ。


 処理能力が少し遅く、会話の途中でブート音が混じったりするのが可愛いと人気を博したキャラで、三十年経った今でも根強い人気があるのだ。


 宇宙での十万キロメートルはそんなに遠くない。木星の全長も十四万キロだったし、普通に漂っているゴミが、実は時速二千キロで飛んでたりする場所だからだ。

 対象物が無さすぎてスピード感が狂うのだ。


 宇宙生物イクシーズは、蟻に似た社会性を持った生き物で、一匹の女王を中心に色々な役割を持ったイクシーズがコミュニティを形成している。


 彼らは女王以外は皆短命で、代わりに沢山の卵から次々に新しい兵隊が生まれてくる。

 なので、どれだけ兵隊を殺されてもイクシーズは意に介さない。

 逆に言えば女王を殺せば、そのコミュニティは滅んでしまうリスクも背負っている。


【香車】は、人間がその真っ直ぐ突撃して自爆してくる特性を見て、将棋の駒の『香車』に見立てて名付けた名前だ。

 他にも【歩】【桂馬】【飛車】【角】【銀将】【金将】【王将】が居る。


「香車三百万が接近中と言うことは、今は第四十四話Aパートの七分経ったところだな。

 この時の(もえる)のセリフはこうだ。


「グレートブルガーベース(つなぐ)、マイクロブラックホール砲、撃てぇ」


 やっとこの状況を飲み込んだ悟が、本放送と同じセリフを叫ぶ。


「OK(もえる)一発ぶちかますぜ」


 グレートブルガーベースのパイロット【(つなぐ)】が悟のオーダーに応える。

 全長二キロの超弩級戦艦兼基地の【グレートブルガーベース】の主砲から小指の先ほどの【マイクロブラックホール】が発射された。


  ブラックホールなので宇宙においては全く目視はできないが、ダイブルガーの前方二万キロ辺りで爆縮を起こして重力崩壊がおき、ブラックホールが形成される。


 すると、その周囲一万キロに突っ込んできた【香車】は片っ端からマイクロブラックホールに吸い込まれていく。マイクロとは言え、ブラックホールが形成されたあの辺りには当分近づけない。


 重力崩壊とは、仮に家があったとして、その家を囲むように外側に家を建てる、更にその家を囲むように外側に家を建てる、更にその外側に・更にその外側に・更にその外に……という、マトリョーシカのような無限大の家があったとして、その一番外側の家が強大な重力によってぐしゃっと押し潰されたとする。


 その下の家もぐしゃっと潰れ、その下の家もぐしゃっと潰れ、その下の家も潰れ永遠に続く家が、無限に潰れ続ける。それが重力崩壊のイメージだ。


 光も、時間さえも捕らえて放さず、押し潰してねじ曲げる、計り知れない強大な力を持っているのだ。

 アニメではちょいちょい捕らえられてから脱出するシーンがあるが、「いやー、無理じゃね?」って思うのは言ってはいけないことだよね。


 その重力崩壊は一般的には惑星がどんどん肥大化していって、どんどん自重を増やし、それに伴ってどんどん重力が増していき、巨大化の果てに自分の重力に押し潰されて超新星爆発を起こすか、ブラックホール化することになるのだが、マイクロブラックホールはダイブルガーが平行宇宙から来た巨大な神と言う設定だから、神の力で造られていると言う・・・ぶっちゃけご都合主義な兵器だ。


 相手が直進して自爆するしか脳がない【香車】であれば、前方にマイクロブラックホールを展開しておけばある程度は防げる。


 しかし相手の数は十億。このままブラックホールの陰に隠れているだけでは絶対に勝てない。


 遅からずテレポーターの【桂馬】や、トリッキーで変則的な高速機動を誇る【角】が大挙してやってくるのは、火を見るより明らかなので、前進あるのみだ。


【女王】一体につき一億の個体でコロニーが構成されていて、【女王】が殺されるとコロニーごと滅ぶ。生まれた兵隊たちは二週間もすれば息絶えてしまうからだ。

 簡単に言えば、十体の【女王】を倒せばダイブルガー側の勝ちなのだ。


 幸いにも悟はこの話しを熟知していて、おおよその【女王】の位置も倒し方も知っている。


 それこそ擦り切れるほど観たのだ。と言ってもLD(レーザーディスク)は擦り切れないが。


「流石だな、悟よ。他の信者たちより圧倒的に良い反応だぞ。その調子だ。もっと見せてくれ」


 再び自称ダイブルガーの野太い声が響いた。


「え?信者?何の話し?ちょっと邪魔しないでよ。本当にダイブルガー?」


「我は本物だ。現在はパートナーを探す試験中なのだ。我の事は気にせず続けるがよいぞ」


「グレートブルガーベース、ドッキングフォーメーション」


 原作の主人公【(ほのお) (もえる)】が叫ぶのと同じように、悟が叫ぶ。


 それに応えてナビゲーターアンドロイドのロボ子ちゃんが、ダイブルガーとグレートブルガーベースの合体シークエンスに入る。


「OKマスター、『ファイル』『オープン』『プログラムファイル』『オープン』『テンションチェエグゼ』起動・・・テンションチェック開始」


 ロボ子ちゃんは大正77年当時、最新OSの【MADOWS(マドーズ)3.1】を搭載して、プルダウンメニューでプログラムが起動できる『最新の』起動方法をアンドロイドで再現した為に、起動が異常に遅くなったと言う、愛すべきキャラだ。


 ダイブルガーがパーフェクトブルガーになるためには、各パイロットたちの気合いが一定以上無いと成功しない。


 ダイブルガー:悟「燃える!!」


 ドリルブルガー:心「心!!」


 ブルガーシールド:アスニー「明日に!!」


 グレートブルガーベース:繋つなぐ「繋ぐ!!」


 ダイブルガーAパーツ:ミライ「未来!!」


 ダイブルガーBパーツ:(まもる)「守る!!」


 六人の意思とテンションがチェックされ、


「合体オッケー、合体オッケー、ドッキングスタート」


 ドッキングのための演算でオーバーヒート気味のロボ子ちゃんの目がビカビカ光る。


「起動確認、グレートブルガーベース、スタンドアップ」


 全長二キロの超弩級戦艦兼基地のグレートブルガーベースが、ロボ子ちゃんの起動キーを受けてゆっくりと変形を始めた。

 周囲で香車たちがひっきりなしに自爆しているが、奴らは曲がってこれないので合体する時間くらいは稼げる。


 人型(ひとがた)に変形したグレートブルガーベースの胸が開き、ダイブルガーが大の字になって格納されると、頭部に当たる部分のシャッターが左右にシャキンと開き、名前の由来であるブルドックのような潰れた鼻と小さな垂れ耳が付いた、ダイブルガーの顔が現れた。最後に牙の付いた鋼鉄のマスクがジャキンと下から出て来て完成だ。


「ドリルブルガー・ブルガーシールド、・・・ウーカッカッッカ・・ドッキング」


 ロボ子ちゃんの金属的な甲高い声が響き、神の力で巨大化していくドリルブルガーとブルガーシールド。


 ドリルブルガーには赤髪でショートカットの元気な女の子【(こころ)】がパイロットである。


 ドリルブルガーとブルガーシールドのコックピットにはバイクがセットされていて、身体にピッタリフィットした、身体のラインがバッチリ出るパイロットスーツでバイクに跨がって操縦するのだ。


 心のパイロットスーツは下がミニスカートになっているので、バイクに跨がるとパンツが丸見えになる。

 心が操縦しているシーンでは、必ずバイクの後方で下から上に見上げる、エッチなアングルからのシーンが挿入される。


 もう一人のヒロイン【アスニー】のパイロットスーツは、胸が大きいのでファスナーが上まで閉まらず、結果胸元が大きく開いているため、操縦シーンはバイク正面のバストアップアングルが多く挿入される。


「あーっ、き、きたー。あはっ、あぁぁぁぁ」


 ドリルブルガーに乗るミニスカヒロイン【(こころ)】とブルガーシールドに乗るおっぱいヒロイン【アスニー】が、巨大化に伴って脳内で発生した大量のエンドルフィンがA-10神経を刺激し、歓喜の声をあげる。


【鉄巨神(きょしん)ダイブルガー】の見せ場の一つだ。


「完成、パーフェクトダイブルガー」


 完全に(もえる)に成りきっている悟が、ポーズを決めながら叫ぶ。

 しかし残念なことに悟は、未だにねずみ色の上下のスウェットのままだ。


「ロボ子ちゃん、僕は知っている。女王はここだ!ここを目指して魂のドリルダイブルキックで跳ぶぞ」


 ひょろモジャメガネの悟が正面のモニターに地図と一緒に女王の座標を示す。


「OKマスター、パーフェクトブルガー、フルパワーチャージスタートです」


「うおぉぉぉぉ、も・え・る・ぜぇぇぇ」


 悟が(もえる)と同じセリフを、同じテンションで叫ぶ。


「俺の心が真っ赤に燃えるぅぅぅ。アイツを倒せと轟き叫ぶぅぅぅ。ひっっっさぁぁつ、た・ま・し・い・の・ドリルダイブルキィィィィック」


 パーフェクトダイブルガーの半物質エンジンが唸りを上げると、全身が真っ赤に燃え、一つの火の玉になった!


 マイクロブラックホールの向こう側は十億のイクシーズが宇宙を埋め尽くしている。

 その一角の【女王】の一匹に向かって、火の玉と化した鉄巨神が敵も光弾も、全てを薙ぎ倒しながら十万キロを一直線に進む。


「良いぞ悟よ、お前に決定だ!」


 自称ダイブルガーの野太い声が響いたその刹那、世界は暗転した。



初期設定ですので本編とは異なった部分があります。



役職:汎用型ナビゲーターアンドロイド

名前:ロボ子ちゃん

別名:ロボ子ちゃん

年齢:18歳の設定

性別:女

誕生日:-

血液型:-

身長:153センチ

体重:ひ・み・つ(187キロ)

性格:極めて真面目

昔のコンピューターだから、とにかく融通が効かない。

人の世話をするのが好き。だからメイド服を着ている。

でもドジっ娘

個性:1988年当時最新のOS『MADOWS(マドーズ)3.1』を搭載している。


当時は最新だったが、今は『MADOWS(マドーズ)10(テン)』の時代なので、いちいち「『ファイル』『オープン』『プログラムファイル』『オープン』『○○エグゼ』『オープン』」と言わないとプログラム等を起動できない。


顔や皮膚などは人間そのものだが、動きはサンダーバードの人形のようにカクカクしている。


能力・スキル:家事全般


索敵


戦闘


諸々の計算

見た目:黒髪のオカッパ頭


白黒ベースのメイド服を着ている。


その他:自分のことは「ロボ子」とよぶ。

悟のことは「マスター」

ダイブルガーのことは「グランドマスター」と呼ぶ。


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