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流星県天馬市役所都市計画髁のお仕事

 第二話 『流星県天馬市役所都市計画髁のお仕事』


 大正108年5月26日 8時00分

 市役所都市計画髁@天馬市




「おはようございまぁす」

 

 朝八時、いつものように僕はボソッと挨拶しながら市役所の都市計画髁に出勤してきた。


 僕と偶然同じ苗字の【神野(じんの) 哲也(てつや)(20)】が、いつものようにウワサ好きな二人の女性スタッフと楽しげに朝のお喋りをしていて、いつものように僕を見ると急に声を潜めて三人でこっちを見てクスクス笑う。


 毎朝僕は何を言われているのだろうか?


 僕が君たちに何をしたって言うんだ?


 気にしても仕様がないけれど、ただただキツいっす。



 市役所は通路に沿って色々な課が区切られていて、都市計画髁は正面玄関を入ってロビーの左側にある。

 

 都市計画髁には七つの席があり、僕の席は通路側なので課に入ってすぐに座れる。


 六つが三・三で向かい合って並び、一番奥に六席を監視するように一席が配置されている。

 その一席は、犬の耳のように黒い髪の毛が耳の周り(頭の側面だけ)にある【ワンワンハゲ】の【谷課長】の席だ。


 僕の隣にはさっきの【神野(じんの) 哲也(てつや)】が居る。

 年下で後輩なのに,都市計画髁では二年先輩だからか、やたらに上からの物言いをして突っかかってくる面倒臭いヤツだ。


 正直、何なんだコイツ? って感じ。


 他には『兎に角我関せず』なおじさんとオツボネサマ、そしてウワサ好きな二人の女性スタッフが居て、その七人が都市計画課だ。


 仕事は書類作成・書類整理などに始まり、カウンターにお見えになった市民の方(お客さん)の御用を聞いたり、けっこう色々ある。

 特に僕は席が通路側だからお客さんが来たら直ぐに対応しなければならず、ちょっと損だなって思う。


 多分みんなそれがイヤだから新人は通路側なんだろうな。


「あの、すみません。公図のコピー撮って欲しいのですが」


「あ、はい。お伺いいたします」


 が早速お客さんだ。受付カウンターで待っている。

 今日も仕事を頑張ろう。ダイブルガーのためだ。


「おい、悟。水上(みなかみ)地区の立ち退きはどうだ?」


 ワンワンハゲの谷課長が、わざわざ僕を課長の席まで呼びつけて聞いてきた。

 出来ていないことを知ってて言ってきているのだ。それもわざわざ他の職員が見ている前での公開処刑だ。


「なかなか思うようにはいかないですね」


「ったく、いつまで掛かっているんだ? グズだな。だいたいお前は…………」


 いつものことだが、あの物言いは理不尽過ぎてめちゃめちゃムカつく。

 どうせまた市長に呼び出されてお叱りを受けてきたんだろうよ。その腹癒せに部下を痛め付けるパワハラ上司があのクソワンワンだ。


 谷課長が言っているそれは、七年前から

 バイパスを通す企画が進行していて、そのための土地の買収をしているのだ。


 バイパスの完成は流星(りゅうせい)県知事が音頭を取って進めている、天馬(てんま)市と隣の蛇小尾仁(じゃこびに)市を貫通するバイパスを作る一大プロジェクトである。


 今年に入って隣りの蛇小尾仁(じゃこびに)市からは道が出来ていて、そこに繋がる水上(みなかみ)地区の買収が予定より大幅に遅れているので、天馬(てんま)市長はかなり焦っている。


 他の地区であれば買収出来ないところは『最悪迂回する』と言う手もあるのだが、水上(みなかみ)地区の場合は隣りから道が来てしまっているので、それは出来ない。


 住民もそれが判っていて、買収金額を吊り上げるために愚図っていると言う訳だ。


 市長はさっさとバイパスを完成させたいのだが、お金は予算以上には出せない。

 その無理を押し通すために都市計画髁の課長にガンガン圧力を掛け、それを課長が僕にガンガン圧力を掛けてくると言う図式である。


 そんな大事な仕事を、配属されて二ヶ月経ってない新人に押し付けるのは、どう考えても間違っている。

 間違っているよね?


 でも課長を筆頭に誰もやりたがらないから、

「じゃ、お前頑張れよ。期待してるぞ」

 なぁんて言って事情を何も知らない僕に押し付けたと言う訳だ。しかも丸投げ。


 今目の前で偉そうに命令しているこの人は、前任者たちが七年掛かって出来なかったものを、都市計画髁に来て二ヶ月の僕にできると本気で思っているのだろうか?

 本気だったらかなりアレなヤツだが、まぁそんな訳は無い。


「…………分かったな。分かったらさっさと席に戻って仕事しろ」


「……はい」


 僕の場合は法律なども含めて、何から何までの勉強をまずしないといけないから、けっこう大変なのだ。

 押し付けられた物でも仕事だから一応頑張っているけど、毎日これじゃテンション上がらないよ。


「また言われちゃいましたねぇ、センパイ」


 そしてもう一つの憂鬱のタネがコイツ、【神野(じんの) 哲也(てつや)】だ。


「センパイが来てからあの理不尽大王のイライラが全部センパイの所にいくから助かるよ。メンタルの弱い俺だったらあんなに毎日毎日の小言は耐えられないね」


「哲也君やめてあげなさいよ。悟さん落ち込んでるじゃん」


 優しげな皮を被ってトドメに傷口に塩を塗り込んで来る、向かいの女子職員が会話に加わる。


 ああ、異世界とかにパーッと行けないかなぁ。

 誰か僕を召喚してくれよ。

 

 このあと本当に異世界に行く事になるとは、この時は露とも知らなかった。

 もっとも異世界(むこう)での記憶は、こっちに戻った瞬間まったく思い出せなくなってしまうので、例え異世界から帰って来た瞬間ですら、「誰か僕を異世界に召喚してくれないかなぁ」なんて考えてしまうだろうけどね。



 そんなこんなで今日も何とか仕事終わったぁ。


 そして今日も誰も召喚してくれなかったなぁ。


 そんな事を思いながら、いつものように諸々の準備をして、ビール片手にダイブルガー鑑賞だ。

 今日は最終回までの四話を観るぞ。




ずっと出したかったけど、温存しすぎて出しそびれ過ぎてしまっていた『ロボ子ちゃん』を最初から登場させてみた。


初期設定「アニメ版 ダイブルガー」


名前:『巨神(きょしん)ロボ・ダイブルガー』 アニメ版

時代:1988年4月(大正77年)~1989年(大正78年)3月まで

法律:-

政治:日本の政治

言語:日本語

その他:大正77年~放送が開始されたロボットアニメ。


別の次元宇宙から来た『英雄神・ダイブルガー』が、主人公『(ほのお) (もえる)』の元に現れ、「この宇宙を救え!」と唐突に無茶振りするところから物語は始まった。


敵は『宇宙生物イクシーズ』

蟻のような社会性を持つ生物で、女王を殺さない限りいくらでも増える。


イクシーズは女王の卵を星に植え付けることによってその星を巣として繁殖し、新たに繁殖可能な星を探す旅に出るのである。


ダイブルガーは精神体である自分を具現化するために、スカイタワー(昭和63年には無かったが、大正77年には存在したのだ)とその周辺の建物などを吸収して自分の身体を造り出した。


その大きさはロボットアニメ的にもかなり大きい部類に入る。

身長六三四メートル。

体重四万一千トン。



武器は以下の通り


腕がロケット噴射で飛んでいって敵を貫通して自動で戻ってくる『ダイブルパンチ』


同じく両腕がロケット噴射で飛んでいく『ダブルダイブルパンチ』バラバラに飛んでいくこともできるが、両手を組んで破壊力を高めることもできる。


右足に爆発的なエネルギーを集めて空高く飛び上がり、降下しながら全身が発火、そのまま体当たりして敵を叩き割る必殺技『ダイブルキック』


眼から怪光線を発する『ダイレーザー』


オプションマシン『ドリルブルガー』を右腕に装着する『ドリルブルガーパンチ』




オプションマシン『ブルガーシールド』を左腕に装着して強大な防御力を得る攻防一体の技『ブルガーバッシュ』


背中からバットを取り出して、お腹から出るエネルギー光球を打って攻撃する『ダイ葬ムラん(ホームラン)


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