ミーエ
第十五話『ミーエ』
大正108年 6月 1日 3時 17分
オワリコマキーン歴1000年 1月 4日 8時 00分 (4日目)
@ミーエ
ミーエには巨大建築物【イッセジ・ン・グー】がある。
イッセジ・ン・グーの特典として、この荘厳なオーラを放つ土地や建物を城として使用できる。
ただし城レベルが上がってもガーディアン兵士の数は増えるが、見た目は変わらない。
イッセジ・ン・グーにはとても広い謁見の間があり、自ずとそこに集まって色々話し合いが行われるようになった。
【ミーエ国王 ミミ】はコントロールパネルを見ながら、三基の『G鉱山レベル3』が生産するゴールドが貯まる様子をモニターしていた。
予定ではあと10時間で『城レベル4』のレベルアップ工事に取り掛れるだけのゴールドが貯まるのだ。
「ミミ様、先ほど隣国シゾーカの間者が我が国を偵察に来ておりました」
報告を入れに来たのはミーエの星五武将、【伊賀忍者 アリ】だ。
アリは全身黒い布で体を包んでいて、いかにもな忍者だ。ただ額に真っ赤でド派手な『A』の文字が貼り付けてあって、闇に紛れたいのか目立ちたいのかどっちか判らない。
「あーしのことはミミちゃんって呼んでって言ってるでしょ。ってことは、この国にゴールドが貯まっているを知られちゃったね。攻めて来ると思う?」
「拙者の調べではシゾーカは城レベル3になったばかり、たくさんの施設を建設するために、大量のゴールドが必要でしょうな」
「やっぱりそうよね。でも、うちのカベ様の防御を破れる敵もそうそう居ないでしょうから、今回は防御に徹してやり過ごそうか」
ピンク色が大好きなミーエ国王ミミは、全身ピンクでフリフリだ。
自称『産まれながらにしてアイドル』のミミは、この国では尚更その傾向が強く、兎に角みんなでミミをチヤホヤするのがミーエのルール
だ。
「オレの出番か?」
試合になりそうな雰囲気を嗅ぎつけて、ミーエの武闘派武将、星四【ライカンスロープ(ゴリラ) ショージ】が城のロビーにやって来た。
ショージは普通に2メートルを超す見上げるような大男で、何時も裾をわざと破ったジーンズ生地の短パンを履いていて、それをサスペンダーで吊っている。
彼が着ている物はそれだけだ。つまり上半身は裸なのだ。
彼自慢のモリモリに盛り上がった鎧のような筋肉を見せつけるべく、常に裸なのだ。
ショージはゴリラのライカンスロープで、自分の意思で変身できるのだが、変身する際身体が更に1.2倍ほど大きくなるので、服が破れてしまうから服は着ないと本人は言っているが、本当はただ身体を見せたいだけと言うのが理由なのは、傍から見ている人にはバレバレだ。
「ショージ、あーたの力は試合で存分に使って貰うけど、今は暑苦しいからどっか行っててくれない?あーし筋肉ウザくて嫌いなの」
ミミ国王は言いたい放題だ。
彼女の言葉に軽くショックを受けた様子のショージだったが、すごすごと帰って行った。
「ねぇ、メアリー、メアリーは居ないのぉ?」
フカフカのソファーベッドに寝っ転がりながら、爪のお手入れを城付きの侍女にさせているミミちゃんは、星四武将【土人形師 メアリー】を呼び付けて言った。
呼ばれてきたメアリーはどことなく少年っぽい感じのオーバーオールを着た少女だった。
土いじりをしていたようで、身体中に土汚れが付いている。
「ねぇメアリー、今度あーしの像を造って欲しいの。もちろんカベ様があーしを優しく包んでくれてる、かっけー像だよ。この城には至る所にそれが必要なハズよ。そう思うでしょ?」
カベ様とはこの国の神、【壁の神 カベ】のことである。
「わかったわ。ミミちゃんのために気合い入ったのを作るね。任せて」
メアリーは親指をグッと立てて作業に戻って行った。
「早くゴールド貯まんないかな?カベ様、もうちょっと神ポイント使ってゴールド鉱山のスピードアップして良い?」
ミミが甘えた感じで問い掛けると、ミミちゃんの後ろの壁から人間大の壁が剥がれて動き出した。
「ミミちゃんがそうしたいならそうすれば良いよ」
壁に手足が生えて、人間で言う腹にあたる部分に顔が描いてある【カベ様】は、ニコニコ笑い