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プロローグ~ ありきたりの高校生活から

俺の名前は二野列男。高校3年生だ。




平凡な名前。趣味はゲームだけど下手。


成績はオール2。


運動オンチに近いけど、保険体育のおかげでなんとか2。




「何やっているの!朝学習に遅刻するでしょ!早く学校に行きなさい!」


「はいはい、わかってるよ」




朝にこっそりと性剣伝説3をゲーム部屋でプレイしていたが


無音で片付けて、学校に向かった。






学校は遠く、家から1時間半もかかる。


偏差値は平均より低いのになぜか朝の8時に朝学習がある。


進学校にするために教頭が学年主任と結託して張り切っているらしい。


急に偏差値が上がった学校はあるにはあるが、


朝学習なんてムチャな方法で成績を上げようなんて、


パワープレイ・・脳筋にもほどがある。ムチャしやがって・・・




「登校時間が長すぎてつまらねぇ・・・」




家でもゲームが無いと楽しめないが、登校中も楽しめない。


校則でゲーム持ち込み禁止だからだ。


ゲーム以外に趣味の無い僕は毎日つまらない1時間半を過ごすのだ。




市内の満員電車で釣り革に捕まってうとうとしながら、学校に到着した。








クラスの自分の席に座れたのは8時25分。


朝学習の回収まであと5分しかない。


よりによって数学のテスト。


最初から諦めの俺はいつもどうりに選択肢を適当に選び、


文章問題は数字だけ適当に書いて提出した。






そして、8時40分に先生がやって来た。


級長の号令「おはようございます」




先生が教壇につくと、


朝の時間は先生の中身の無い雑談ぐらいで特に何も無く終わった。




そして、朝の時間の終わりに先生が一言、


「今日は体育だから、すぐに着替えて外に行くんだぞ。


体育の先生に前も言われたから、だらだらするなよ!


特に列男周辺の男達。」




僕の名前だけ名指しで言われた。


でも、もはや当たり前過ぎて屈辱でもなんでもない。






オール2の成績で、体育は1に近い。


100m走のベストタイムは高3でも17秒。


運動オンチまで行かないが、余裕で下位だ。


女子の平均ぐらいで勝てるのはデブだけ。


そんな僕もヒョロガリで腹はぽこっと出ているのだが。






「劣男はいつもどうりに遅くてキモイなー!!」


「顔も青白くて、にきびで汚いし、すべて劣ってるもんな!」




いつもどうりの男子の冷やかし。


すべて平均未満なので、列男ではなくて、劣男(劣る男の意味)と言われている。





「あんた男子のクセに遅いわねー。男らしく走りなさいよ。」



準備運動で男女混合で100mを走っていたら、


女子にも抜かれた。


まぁ、その女子こそが僕が告白したい子なのだが、、


タイムは2秒ぐらい早くて、勝てそうも無い。




彼女の名前は "結城玲子"


成績優秀、スポーツも特殊教科もすべて平均より高い。


顔も少しボーイッシュで短髪だけどかわいく、僕とは真逆のオールラウンダーだ。


何かで勝ったら告白しようと心に決めているのだが、


僕の人生ではそれは1つも叶いそうに無かった。




「列男、タイムは17秒30.前より遅くなってるぞ。」


記録係りから伝えられた先生から当たり前のようにそう告げられて


今日の100mの記録会は終わった。


遅くなったのは少し太ったせいにした。





その後、社会の授業が昼の15時の6時限目で


今日の一日が終わった。


念仏の朗読ような授業で眠くなる効果しかない。




「成績に関係無いし、先生をクビにすればいいのに・・・」


内心そう思っていた。むしろ、自分が学校をクビ(退学)したかった。


しかし、僕には不登校して親と先生に怒られる勇気すら無かったし、


ゲームを取り上げられたく無かった。




そして、僕が仮眠したままにいつもの放課後の時間がやってきた。






「痛いっ!」


やってきた先生に耳をつねられて、僕は目を覚ました。


いつものゴミを見るような目で睨んでいる。




先生は足早に教壇につくと


「よろしくお願いします。」


級長の号令。




放課後の時間が開始された。






「えー、先生は最近思うんだが、みんなたるんでるぞ。


夏にクラス対抗の徒競走があるが、タイムは4クラスで一番遅いようだ。


成績も1学期の中間テストで4クラスでうちがビリ。


特に最近の列男な。」




先生は今日の僕の朝学習をみんなの前で晒した。


0点。そう大きな文字で書いてある。


数学の先生の小言も空白の答案用紙の真ん中に小さな文字で書いてある。






「列男はクラスでビリでは無いが、やる気が無さ過ぎる。


今日は数学の先生にさんざん言われたぞ。


わからなくてもやれるだけやる。それが人生で大事だぞ。」




「わからなくて書けなくて・・」




先生に聞こえないぐらいの小声で言うと、


となりの席のチャラチャラした男子生徒が


急に立ち上がった。




「先生!劣男くんは今日5分で答案を書いて出しました!


遅れてきました。」




数秒だけ止まるクラスの時間。




先生が話し出した。


「今度から回収係が答案用紙を確認して


先生が来る直前までやらせるようにチェックしてね。列男のようなのもいるから。


主任の数学の先生がうるさいから、先生も困るんだよ。」




「わかりました。」


回収係の生徒がそう返事をして、今日の放課後のイベントは終わった。






「良かったな!劣男。今度からチェックして貰えるようだな。真面目にやれよ!」


先生に言いつけたチャラ男はバンバンと僕の肩を強めに叩くと、


校門で待っている他校の女といっしょに帰っていった。




今日はいつもよりも良いところ無しだった。




帰りの時間に悲しくて、僕は電車で座って泣いた。


人に見られていたが、涙で頭が痛く重かった。


いつもどうりにいっしょに帰る友達も誰もいなかった。






「よし!ゲームゲーム!!」


僕は帰宅するといつもどうりに


現実逃避のためのゲームにのめり込んだ。




話題の性剣伝説3は朝の時間の10分すらやりたくなるぐらいの


ミリオンヒット当然のゲームである。




性なる剣でむちむちの妖精を仲間にしながら、


レベルアップして強く硬く、攻撃力や防御力を上げながら


すごいアイテムや魔法を手に入れて、世界を救うゲームだ。


ちょっとだけ性なるゲームなので、15歳以上推奨だ。






クリア直前になって、


世界を救うための願いを女神に聞かれた。


この願いでシナリオが分岐するらしい。




しかし、どうもおかしい。


女神の願いが学校のオタクノクラスメイトが話していたのよりも


違う項目が混ざっているのだ。






願い1 「あなたは自分を投げ打ってでも世界を救いたいと思いますか?」




願い2 「あなたは世界を捨てて、永遠の寿命を手に入れたいですか?」




願い3 「あなたは現実の自分もこの世界の自分ぐらいだったらと思いますか?」






3がおかしい。


こんな願いは無いはずだ。


だけど、未クリアだから確証は無い。




女神に正解の願いを叶えて貰えば


ぼよよん魔王を倒せる硬度の性なる剣に強く硬く進化するはずだ。




だから、ファンタジーの王道の常識で考えれば1が正解だと思う。






しかし、今日はいつも以上にすごく悲しい日だった。


だから、もしかしたら・・・? というわずかな気持ちで


3を選んでみた。





「契約は成立しました。」

女神は一言だけ返事をした。





なぜか数秒の間・・・





女神はさらに続けた。




「あなたはこの世界を救うだけの力がありません。


私が授けた性なる剣が無ければ、"邪気眼の中二魔導師"も倒せなかったでしょう。


なので、私が復活させる中二魔導師に強くしてもらってから、この世界に戻ってきてください。


いまから中二魔導師を現実世界に召喚します。」




「ほぇ?」




僕はわけが分からなく返事をした。




"邪気眼の中二魔導師"は魔王の幹部のボスだ。


だけど、最後の四天王なので、ほぼ大ボスに近い。




邪気眼で幻術魔法を使うのが得意だが、


ほぼ全種類の魔法を使う大魔導師だ。


弱るとマジックポットでMP、ハイポーションでHPを回復したりもする。




そんなボスが現実世界に召喚される?????


わけがわからないよ・・・







呆気に取られていると


画面が急に暗くなった。




そして、すぐに太陽の光のような猛烈な発光!



「うわっ!」






目をつぶって床に伏せること数十秒。


光が収まったようだ。




チカチカする目を開いてゆっくり起き上がると


サングラスの紫のローブの人物がテレビの前にいる。






「女神が復活させてくれたかと思ったら


俺を倒したのがこんな弱そうな奴か。


現実世界ではチンカスだな。」




ローブの人物はそうつぶやいて


僕の顔をまじまじと見つめている。





「まぁ、お前の人生を第2の人生のように

変えてやるから、よろしくな!」



「はぁ!?」





そうして、僕と邪気眼の中二魔導師の長い現世界生活が


開始されたのだった。

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