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黄昏diversion  作者: ぷぷ。
黄昏前のプロローグ
1/10

男は燃えた

 意識が灼けつくようだ。

 身体中ただの一片も静かな場所はない。

 吐く息は白く。

 瞳は真っ赤に充血して。

 血の涙を流すのは、如何故か。


 脳内に声が響いてる。

 思考が煮立つ熱の言葉。


 ――覚醒しろ、覚醒しろ、覚醒しろ。


 一定のリズムで加える声の圧は、俺を真上から潰そうとした。


 熱は言う。

 超えなければ死ぬぞ。

 熱は言う。

 抗わなければ死ぬぞ。

 熱は言う。

 受け入れなければ死ぬぞ。


 そうなりたくなければ――覚醒しろと。


「クソが……! 殺してやるッ……!」


 零れ落ちた恨み節は稚拙だった。

 しかし言葉の上等さを問う余力はない。


 ただ全力で、俺は叫んだ――。

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