字
我は不器用である
最近よく使われる性格に於いてではなく
手先がという意味で
「お前、字きったねーな!」
3年生の時に男子生徒に言われて衝撃を受けた
そうか字、汚いのか
それから周りの字と比較を始めた
確かに。男子でも我ほど下手な者は少なかった
教師の話を聞きながら
ノートに文字を書くのは
困難だった
速さについていけない
気を抜くと消されてしまう
学生時代は授業中は
いつも戦いだった
両親に頼み込んで筆ペンを通信で始めた
教材を真っ黒になるまでやりこんだ
毎日毎日練習した
大学生になっても続けていた
美しい文字への憧れがあった
学生時代のアルバイト中
「綺麗な字を書きそうなのにね……」と男性社員にため息をつかれた
深く傷ついた
毎年の年賀状も、手紙を書くときも
恥ずかしくなる
あれだけやってこれか……と
しかし診断を受けて調べて
驚いた
字が汚い人が多いではないか
そうか……そうか
我だけではないのだな
字というのは、学生時代
毎日目にする
なんでこんなに己はダメなのだろう
他の人のように美しい字が書けないのだろう
と否定し続けた
やってもやってもダメなことはあるのだ
報われる努力ばかりではない
少しマシになる程度だ
でも、諦めないで
マシになるまで続けた経験は無駄ではなかった
同じように字が汚くて苦しんだ人がいた
それを知ったとき、己を許せた
診断がもっと早ければここまで否定して
己を追い込んだりしなかったのに!
過去を振り返り、こう考えることは多い
つい考えてしまうのだ
せめて人並みになりたい
この欲求によって
今の性格が出来上がったのだと思うと
複雑である
どうあっても過去は変えられない
字は、人によって美しい字を書けるスピードが違うそうだ
時間に追われる必要がなくなり
書くペースを変えてみた
人に見られて記入する場合でもだ
ペースを守っていいのだ
かなり変化が見られた
もし字について誰かが悩んでいたら
スピードについて一言告げてみてほしい