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妊婦アスペルガー  作者:
大人
20/31

存在していた

中学の国語の授業中

教科書を読んで愕然とした


(このひと、もう亡くなっているのに文章が残ってる!)

文豪の作品だった


羨ましくてたまらなかった


我は小学校に入学してからというもの

受診しても

原因不明の病に次から次へとかかっていた

命に別状はないものの

おそろしかった


(お父さんもお母さんも言わないけれど、大人になるまで生きられないんだろうな。こんなに原因がわからない病気になってばかりで……)

勝手に思い込み

不安を抱えていた


だから、我はここにいた

存在したという確かなものが欲しかった


小説家に憧れた

今思えば画家も

電化製品も

身の回りにあるものは

誰かが発明してくれたもので

作って創ってくれたものだ


だがそのとき身近なのは

小説だった


(小説家になりたい)


学校で配られる原稿用紙

少しずつ溜めて

鉛筆で文章を書いては消し

書いては消し


今はパソコンで執筆している


昔ほど切実ではない

この場所があるから

誰かが読んでくれているから


もし1時間後に

己の人生が終わっても

ここの場所はしばらくは残るだろう


もしかしたら友が見つけてくれるかも

主人も、家族も読んでくれるかもしれない

そして思い出してくれるだろうか


ほんの少しでいいから

忘れないでいてほしい


(存在していたのに、いなかったことになるのはいやだ!!)

という悲壮感から解放された


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