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塗り絵
幼少時
家に姿がない
となるといつも我は近所のブランコを漕いでいたそうな
一人で
苦手とされる
ごっこ遊びはよくしていたようで
二歳上の姉の真似をしていた
成長するに従い
「不器用だ不器用だなんてこった」
と言われるようになるが
最初に露見したのは
塗り絵だった
枠を縁取り間を塗るということができない
線がガタガガになる
そもそも色鉛筆の持ち方がよくわからない
困ったときの姉頼み
いくら真似ようとしても
無駄だった
美しく塗られた姉の塗り絵
我専用にと母が買ってくれた塗り絵
比較対象が悪かったのであろうか
姉は器用であった
我の塗り絵
無残な有様
幼心に
全然楽しめなかった
なんせ汚いのである
美しくない
「白い空間を色で塗ればよい」
と教わり
懸命に塗りつぶしたものの
はみ出る
色むらが出る
残り何ページもあるのに
塗り絵帳は
真っ白なまま
「なんでそんなに飽きっぽいの」
叱られたが
もしかするとあれが最初に味わった
挫折だったのかもしれない