全てが腐ってる
エルダ(一)がこっちの世界に来てから一週間が経った
その間エルダは色々なことを図書館で知った、まずエルダがいるこの魔王城だが、この世界魔王は一人ではないということ、ここはこの世界の真ん中で、中央、西、東、北、南、と大まかに分けると5つの勢力図となっている、そしてエルダがいるここは中央である
それで北だが、ここは雪や氷の魔法を使う魔王がおりその厳しい環境から並みの魔物、人間は住むことができず、比較的強い魔物が住んでいる魔物の土地である
次に東、ここは人間、魔物どちらも過ごしやすい環境で一回魔物と人間で大きな戦争が起きた、その結果は何とか人間側の勝ちで、人間が土地を治めている
それで西、ここは珍しく人間と魔物が互いに共存して生きている、王も人間と魔王の2人体制で互いに均衡を保っているらしい
そして南、ここは魔物人間どちらかが治めているわけでもなく互いにこの土地を得ようと日々紛争が起きている
最後にここ中央、元魔王が治めていた地で一様人間も共存しているが、人間に対しての法が厳しい、今回勇者が現れたのもこの法が原因だろう
エルダ (それにしても、何だよこの法…)
その法には主に人間に対し重税をかけ、魔物は優遇されているそんな国だった
エルダ (この法律で人間の税を軽くして、魔物にも税をかけたいが…多分反発するだろうな、うーん、正直この国がどうなっても知らないが…横にアルとシルがいるからな…それらしい行動しなければ)
エルダ「シル」
シル「どうなさいました?」
エルダ「この法律で魔物にも税をかけたいんだが」
シル「何を言っておりますのじゃ」
エルダ「え?」
シル「この国に住む魔物は人間を嫌っておるのを忘れましたか?そんなことをしますと国中の魔物が暴徒とかしますよ」
エルダ「ふむ…だが現在この国は収益が足らないな…」
アル「なら、人間の税を重くしたらいいんですよ」
エルダ「それはそれで人間が暴徒と化すだろう」
アル「人間程度なら半日あれば私が全て鎮圧できますよ」
エルダ「そうだったな」
エルダ (くそ、面倒くさい!何でこんなことしなきゃならないんだ!!)
??「魔王!!出てこい!!」
エルダ「?勇者か?」
シル「いえ、水晶によるとここより数百キロ離れたキールの里にいますぞ」
エルダ「?じゃあこの声は?」
アル「大方、法に反対な人間でしょう、私が連れてきます」
そしてアルは部屋から出て行き
ドサ
その人間を鎖で縛り連れて来た
男「はぁ…はぁ…くそ!!」
エルダ「それで余に何か用か?」
男「お前のせいで!!」
エルダ「?」
男「お前のせいで俺の家族は!!」
エルダ「何があったのだ?」
男「お前が作った奴隷制の所為で俺の家族は全員いなくなったんだよ!!!!」
エルダ (…………この国は奴隷制まで採用してたのか…)
男「断言してやる、勇者様が絶対この国を壊す!その時にこの国の魔物が絶望に堕ちるのをな!!」
エルダ「………」
スッ
俺は席を立ちその男の所まで歩く
シル「魔王様!?」
エルダ (…………どうやら帰る前にやることがありそうだな政治は分からないが)
エルダ「すまなかった!!」
俺は土下座してその男に詫びる
アル「魔王様人間の戯言な…」
エルダ「黙ってろ…」
ゾワ、ビク!
アル「は、はい」
俺は何か言おうとしたアルを威圧して止める
エルダ「余が必ずこの国を作り直す、西の国のように、共存できるようにする、それまで待っといてくれ!!必ずお主の魂の叫び無駄にはしない!!」
男「…本当か?」
エルダ「あぁ、約束する」
男「だったらもう、大丈夫だ未練はない、なぁ魔王様絶対変えてくれよ」
スパン
エルダ「!?」
その瞬間首がはねられ鮮血が飛び散る、俺は何が起こったか分からず固まっていた
シル「仕込み用の魔術…このものの魔力からしてこの者が作ったわけじゃないじゃろうな、元から玉砕覚悟で来ておったようじゃな」
状況が確認できた時には俺は涙を流していた
エルダ (…何で?何でこいつは死んだんだ?玉砕覚悟?こいつは本当に死ぬしかなかったのか?魔物がこんなことをすると考えれない、とすると他の人間が…だとすると腐ってる…全てが腐ってる…何でこいつをこうまでして)
俺の中を無数の考えが飛び交うしかし、答えは出なかった、だが自分のやることははっきりと決まった
エルダ (この国を作り直す!!)