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出立に向けて 後半部ifルート

深夜のテンションで書き続け意識が朦朧とした中、気づいたら出来てしまったものです。

「出立に向けて」を書いている時に、後半部が本来のプロットとは違うものになってしまいました。

サブタイ「新しい絆」でも同じ事をやらかし、大幅に加筆修正したので、これが二回目となります。自身の戒めのためにも投稿します。

こんなんちゃうやんという方はお手数ですが、ブラウザバックをお願い致します。申し訳ありません。

ちなみ本来の後半部は、「輪舞曲」の冒頭に移りました。


なんもかんも金髪巨乳エルフが悪い。

「それじゃあもうリビングの電気消すからな、おやすみ」


「「おやすみー」」


 あの衝撃的な事実を知ってから、それからどうやって家に帰り、夕飯を食べ、身体を拭いたのか曖昧だ。


 ターシャさんに明日の明け方、向かえに行くと話したのはなんとなく覚えているが。


 とりあえず、寝ようと照明の電気を落としてタオルケット羽織る。


 ・・・・・・


 紋章を使いすぎたせいだろうか、昨日ほどではないが少し頭痛が気になって眠れない。


 明日からの旅に備えてきちんと眠っておかなければ、魔物の襲撃などがあった時に即応できないのに。


 しかし、焦れば焦るほど眠気が遠ざかっていく。


 一旦起きようと瞼を開くと、目の前にはこちらをジッと見つめる緑色の双眸があった。


「ひぃぃぃぃぃぃい!」


「ひゃああああああ!」


 ん?これは確か昨晩も同じ事があったはず。


 思わずため息を付き、月明かりを手がかりに、目の前の人物の手を掴み、自分の横へと座らせる。


「あのなぁ亜奈。昨日の今日だぞ、また朝っぱらからエルミアの説教を受けたいのか。今日の頭痛は我慢出来るぐらいだからウンディーネはいらないぞ。明日に備えてちゃんと部屋で眠れって」


「えっ頭痛ってなによそれ?聞いてないわよ私」


 あれ?妹じゃない・・・という事は必然的にもう一人の同居人に絞られるわけで。


「すいません人違いでした。お帰りはあちらのドアからお願いします。あと俺がソファーに引き込んだっていうのは、亜奈には内緒にして下さい。後生ですから。」


 突如、頭の後ろに手が当てられ彼女に引き寄せられる。そしてその豊満な胸に顔を埋めてしまった、反射的に彼女の肩に両手を当て脱出しようとするがガッチリとホールドされ全く動かせない。


「母なる水の精霊よ、我らに慈悲を、痛めし肉体に癒やしの雫を・・・」


 その言葉と同時に頭痛が引いていくのを感じる。・・・良し治った。早くここから抜けださねば。頭を左右に動かし少しでも隙間を作ろうと奮闘する。


「ちょっと動かないでよ。普段は人の胸をイヤらしい目つきで見る癖に、こういう時だけは嫌がるのね。ほんとあなたってば不思議」


「確かに大きな胸は好きだが、それだって時と場所を選んでるつもりだ。今はその・・・まずいだろ?」


「何が?」


「だ、だからその場の雰囲気で流されるって事だよ。昨日と今日で何度か危ない時があっただろ。とにかく今は不味い離れてくれ」


 しかし、相変わらず手が緩む気配がない。


「うーん。私もいきなりそういう関係になるつもりはないんだけど、我慢できない?」


「男の性欲甘くみるなよ。俺は紳士だからいいが、普通の男なら既にガブッといってるぞ」


「ならもう少し我慢してよ。私だって我慢してるんだから」


「はっ?この状況でおまえ何言ってんの?誤解されるような発言はマジでやめろって。普通の男ならコロッと騙されるぞ」


 ギュッとさらに抱きしめられる。マズイマズイマズイこのままじゃ――


「ねぇ何をそんなに怖がってるの?」


 その言葉に頭が真っ白になる。


「な、なにを言ってるんだ。俺が何を怖がるっていうんだよ。こんな美味しいシチュエーションで」


「ほら、怖がってる。私の気持ちになんとなく気づいてる癖に、毎回はぐらかそうとするよね。そして多分あなたも――」


「違う!そんな訳ないだろ。まだ会って二日しか経ってないんだぞ、有り得ない。それに俺は妹と日本に帰らないといけないんだ」


 頭がゆっくりと撫でられる。なんでそんな事をするんだ!なんでこんな事に安らいでいる自分がいるんだ!


「やっぱり。いつかは離れないといけない。だから自分の気持ちに嘘をつき続ける。でもね、私ってばそういうのって嫌なんだ」


「じゃあどうするんだよ。気持ちに正直になったところで待っているのはバッドエンドだ。お互い幸せになんてなれない」


「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。未来はまだ決まってないよ。もしかすると私もそっちの世界にいけるかもしれないし」


 ――「世界は矛盾を許さない。別の世界の因果に括られた君はこの世界から異物であると認識されている」


 奥歯を噛み締める。そして震えるように息を吐き出す。


「そんなの不可能だ。世界は矛盾を許さない。俺と亜奈はあちらの世界出身だから帰っても弾き出される事はない。でもエルミアは違う。この世界の因果に括られたままだと、あちらの世界から存在そのものを否定される。それに召喚陣を使った正規転送ルートでも、ちゃんとあちらの世界に適応できるか怪しいんだ。亜奈という例もある」


「うーん、難しい話はよく分からないけどさーそれなら私達でなんとかしようよ」


「へっ?」


「だから今のままだとバッドエンドしかないないんでしょ、それなら私達の力でハッピーエンドにしましょう」


 ギューと頭を押さえつけられ、その豊かな胸に溺れてしまいそうになる。プハッと顔を上げ息を吸うと彼女の甘い良い香りがした。そうして彼女の視線と交差する。今だけは目を合わせたくなかったのに。でも、このまま彼女をずっと見つめていたい。なんて矛盾。


「ごめん、困らせちゃったね。でもこれが私の生き方なの。これって決めたら一直線、絶対に後悔なんてしてやらない。だって私自身が決めた事だから」


 それは、あの時一人で駆けていった彼女の後ろ姿そのもの。自分もそう有りたいと願った。自分自身を決して裏切らない、そんな彼女の生き様に惹きつけられた。


「でもその心が折れたのが三つ目のオーガとの戦い。もう無理だと思った。なんで私はここに来てしまったんだろうって。なんで見ず知らずの銀髪エルフの子と人族の子を助けようとしたんだろうって」


「・・・」


「その折れた心を、私の生き方を肯定してくれたのがあなただったの。片手で剣を構える姿は不格好で足で震えてた。でもそんなあなたの後ろ姿に恋をした。死に逝くあなたの姿をみて胸が張り裂けそうだった。あなたと見つめ合って恋心を再確認した。あなたから目を逸らされて胸が苦しかった。あなたと抱き合って永遠を願った。そして今、私はあなたを愛してる」


「・・・」


「ねぇ、あなたは私をどう思ってるの?」


「気づいたら恋焦がれてた。俺達を救おうと一人で駆けていったエルミアの後ろ姿に憧れた。いつ好きになったのかなんて分からない」


 背中に手を回され強く抱きしめられる。


「やっぱり。それじゃあ両思いだね私達」


「ああ、そうだな。だけど――」


 唇が塞がれた。彼女の甘い香りが鼻孔をくすぐる。ああこれは麻薬だ。一度知ってしまったらきっと手放せなくなる。決して離さないようにと彼女の背中に手を回し抱きしめる。


 唇が離れようとすると、どちらともなく合わせなおす。ああ、ずっとこうしていたい。


 それだけでは飽きたらず、更に求めるように舌を絡め合う。舌を吸い合ったり、唇を舐めたりとお互いの口を貪欲なまでに蹂躙する。


 見つめ合いながら名残惜しそうに同時に離れる。唇からツーと唾液が伸ばされ月夜の照らされる。自分達の息が荒いのが分かる。


 エルミアの瞳はトロンとしており、その息の荒さも相まってまるで発情しているかのようだった。


 彼女の手が自分の手を捕らえ、その豊満な胸へと押しやられる。下着を付けてないのか、柔らかな胸の感触がダイレクトに手のひらに伝わり、その胸はいやらしく形を変える。


 ドクンドクンっと早鐘のように鳴っている心臓の音が、手のひら越しに伝わってくる。


「普通だと人族と亜人種の間に子供はできないんだけど・・・異世界人であるあなたとなら、赤ちゃんが出来るかもしれないね。ううん、きっと出来る」


 いけない。このままで一線を超えてしまう。それだけは駄目だ。


「エルミア、ストップだ。このままだとお互いに後悔する事になる」


「どうして?そんなにアンナちゃんの事が気になるの?」


「ああ、そうだ。俺は妹と一緒に日本に帰るって決めたんだ。だからこの世界で、取り返しの付かない絆を作るような真似、無責任には出来ない」


「それじゃあ私にその絆だけでも頂戴、きっと大切にするから。それに妹って言っても、今は人族とエルフでもう血の繋がりなんてないんでしょ。それなら私も譲歩するよ。あなたを独り占めしようだなんて思わないし。――それで、アンナちゃんはどうするの?あなたもいい加減に入ってきたら?」


 その言葉に慌ててリビングのドアへと顔を向ける。


 そこには両手でピンク色の毛布を固く握りしめ、エルミアを睨みつけている妹がいた。

続かない

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