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ISO〜運動音痴でもいいですか?〜  作者: 安
はじめてのVRと運動音痴
7/30

ep7

お待たせいたしました!

もしよければ評価してってください。

れー君にバカにされつついい案をもらったので馬鹿にされた分はチャラにしてあげた。

そして私は今、第一の街の南側の商店通りに来ている。

この商店通りというの名前は俗称で本当は運営が頑張って考えた長いカタカナの名前があるらしいけど、長いからみんな覚えずに商店通りで通じるらしい。

最近ではNPCに対しても通じるらしい。

話がそれたけど今の私は自作のポーションを買ってくれる良心的な人を目下探し中だ。

あの後れー君は私一人だと誰にでもホイホイついていきそうで心配だから買ってくれる人を探そうかと言ってくれたけど、そのあと狩りのお誘いがあったみたいでそっちを優先してもらった。

流石の私も誰にでもついていくわけないとこの機会に証明して、そしていい商店の人を紹介してびっくりさせてやろうというわけだ。

コールを切る前に何度も確認されたし。

そういうわけで今は一人商店通りをぶらついている。

道の両脇には様々な露店が立ち並んでいる。この露店を開くのにも10000Yも掛かるアイテムが必要で私には何故こんなに大量の露店が立ち並んでいるのか訳が分からない。

おそらくここにいる人たちのほとんどはβテスターか、この世界に住んでいるNPCたちだろう。

ここではNPCの人のAIはとても高度らしく普通の人と話しているのと同じだそうだ。

つまり、私は別にプレイヤーじゃなくても良心的な人ならNPCでもいいと思っている。

このISOをやっている人の中にはNPCを全然認めようとしない人もいるみたいだけど。


「おーいそこの嬢ちゃん」


考えごとをしながら歩いていると後ろから声をかけられた。


「私ですか?」


「ああそうだよ」


私に声をかけてくれたのは、身長は私から見るとまぁまぁ高い、フードを目深に被った男性(声から男性と分かった)がいた。


「なんでしょうか?」


誰にでもホイホイ付いていかないといった手前、相手がどんな人を見極めなくてはいけない。それに加えてこの人は服装から見て怪しすぎる。第一印象から信じられない。

でももう歩き疲れてきたので、早々と自分のポーションを売ってしまいたいという気持ちもある。


「あーそんな警戒しないでくれよ。俺は鉄、鍛冶屋をやってるもんだ」


私のちょっと警戒している声に気づいたのかその鉄さんは苦笑いしつつ小声で話しかけてきた。自分の正体を知られない、みたいなロールをしている人かもしれない。


「あ、ごめんなさい。そんなつもりじゃ…。私はハルです」


「いやまぁVRって現実に近いところあるし、そうやって男性が話しかけてきたら警戒はした方がいいと思うよ」


「はぁ…ありがとうございます?」


「ああ。それでなんでハルちゃんを呼び止めたかなんだけど、ハルちゃんはパッと見なめられそうな外見してるから、この辺の露店で何かするなら詳しい人がいた方がいいと思って。よかったら案内しようか?」


「ほんとですか!?じゃあお願いします!」


私陥落。なめられそうな外見っていうのはちょっと腑に落ちないけど、この商店通りに詳しい人に案内してもらった方がいいに決まってる。

これは別に知らない人にホイホイついていくわけでもないし、かなり合理的な判断だ。

と自分に説明して鉄さんに案内を頼んだ。


「それでハルちゃんは何を買いに来たの?」


「あ、いえ買いに来た訳ではなくて、売り来たんです」


「売りに?ハルちゃんは弓持ってるけど生産職なのかい?」


「ええ。半分くらいだけですけど」


「なるほど難儀なことするね。俺もβテストでは鍛冶で作った自分の剣とかのテストを外でやってたけど、それじゃ生産系のレベルの上り悪かったからな。今は鍛冶一本だな」


「そうなんですか。でもなんか格好良くないですか?自分の生産で使う素材を自分で取りに行くって」


「ハハハ。確かにそうかもね。それでハルちゃんは何を売りに行きたいの?」


「えーっと自作のポーションを…」


「ポーションか。ちょっと実物を見せてもらってもいいかな」


鉄さんにそう言われたので、私はストレージから自作のミルの実から作ったポーションを差し出す。


「ありがと…う?ハルちゃんこれがポーション?」


「え、あ、そうですけど、何かおかしかったですか?」


私のポーションを見て眉をひそめる鉄さんに私も不安になる。


「いや、普通のポーションって緑色だからさ。でもこれは薄桃色だろ?パッと見ポーションには見えなかったからね」


「ああそれは――――「ストップ」えっ?」


「ダメだよ生産職が自分の商品の作り方とか素材を簡単に教えちゃ」


「そうなんですか…気を付けます。でもそれは一応名称もポーションになってましたよ」


そういうと鉄さんはとりあえず生産職をやるうえで知っておいた方がいいことを色々とレクチャーしてくれた。ため息交じりで。

私は悪くないと思いたい。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

鉄さんと肩を並べて歩くこと10分。私たちは服の絵の看板が掛かっている露店の前に来ていた。


「ルルル工房?」


「おーい」


服の絵が描かれているのに、という不思議そうな顔の私をしり目に鉄さんは迷わずに店主の人に声をかける。


「いらっしゃーい!ってあれ?鉄さん、どしたの~?」


元気よく迎えてくれたのは女性。私よりも背が高くて褐色の肌に青色の髪を編みこんでいる。そして…起伏のある体つきをしている。

なんか身長が高くて胸もあるって天は二物を与えずっていうのが嘘に思えてきた。

そのあと鉄さんに気づいて不思議そうな顔をしていた。


「お前確か服だけじゃなくて色んなアイテム置いてるだろ?だからこの子のアイテムも買ってやってほしいと思ってな」


「ふーん。あ、そこの子ね。私はルー。裁縫師よ」


「あ、わ、私はハルです!」


「おー元気のいい子だね。パッと見16歳未満?ってことは鉄さんが保護者してる子?」


実はこのISOは16歳未満は一人でログインできないようになっている。

なんでもリアルに近いVRの世界で子供がトラブルに合わないようにするためらしいのだけれど。


「いや、俺が保護者やってる子じゃねーよ。そもそも子供居ないし」


「私だって子供居ないけど保護者やってるわよ。しかも友達の弟!」


「それはお前がお人よ――――「私、17です!」」


「「…」」


「えっ…?」


まさか私、ルーさんは何となくそういう感じがしたからわかるけど鉄さんにまでも16歳未満だと思われてたの!?





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

今現在私達は宿の一室に来ている。なぜかは分からないけど鉄さんは人前でフードを外すのがいやらしく、宿の一室を借りて商談をすることにしたのだ。

なので現在鉄さんはフードを取っている。フードを取った鉄さんはなんだか気難しそうな顔をしていた。腕は細マッチョって感じだったけど、顔だけで職人感があふれている。


「いや…なんかすまんな」


「いえ、別に鉄さんのせいじゃないですし。私が小さいのが悪いんですし」


確かに私はまぁ背が低い方だけど!そんな童顔ってわけじゃないでしょ!胸もふーちゃんと違ってCあるのに…(ふーちゃんは言わなくても分かると思う)

そう思ってルーさんの方を見る、が、目を逸らされた。


「ま、まぁそんなに落ち込まないで!今日は何か用があってきたんじゃないの?」


「そ、そうだったな!さぁハルちゃん!君のポーションを見せてやってくれ!」


「話逸らすならそんな露骨にしないで下さいよ…。それに鉄さんなんかキャラ変わってますよ」


「そうですよ鉄さん。鍛冶屋のロール崩れてますから。あ、ハルちゃんは商品こっちに出してもらっていい?」


「あ、いいですよ」


ルーさんに言われて私も始めの用を思い出し、早速ミルの実産ポーションを並べていく。


「これが…ポーション?」


私のポーションを見てルーさんの目が丸くなっている。

さっき鉄さんの反応を見ていたから結構予想できた。


「一応作った後のウィンドウを見たときにはポーションという表記でしたよ」


「うーんそうみたいね。特別な名前がついているわけでもないし。しいて言えば若干回復量が高いくらいね」


「あ、そ、そのポーションは飲むことができるので、え、えーと、普通のポーションに比べて結構回復量が高くなるとお、思います」


「飲めるポーション?」


「あ、は、はい。結構美味しいんですよ」


「ポーションが飲める?確かに飲めば回復量は結構高くなるがポーションって飲めるように作られた奴じゃないだろ?」


「鉄さんはβの時体張ってどのくらい回復量違うか実験してたもんね。誰もポーションが不味過ぎて実験に協力しなかったのよ。それでも自分のロールで培った人物像を壊すのを嫌がって私が調べたことにしてくれって頼みに来たもんね」


鉄さんが心底信じられない、ルーさんがとても面白そうな顔をしてると思ったらそういうことだったのか。

というか普段鉄さんはどんなキャラをロールしているのだろうか。

鍛冶屋だって言ってたしふーちゃんに聞いてみたら分かるかな。


「確かにあれは想像を絶する不味さでしたよね。分かります」


「えっハルちゃんあれ飲んだの?」


あれに対しては私も運営に言いたいことがあるんだよね。

あれほど不味くする必要がどこにあったか、って。


「私は友達からあれは不味すぎて飲むのはやめておいた方がいいって言われたんですけど、気になっちゃって。飲んじゃいました」


「「…」」


そんなに驚かなくても…。確かにあれはかなりすごかったけど。


「…ハルちゃんのこれは飲めるんだよな?」


沈黙を破ったのは鉄さんだった。


「飲めます。私は最初にそのポーションを作ったので噂と違うなーと思ったので」


「鉄さんまさか!?」


ルーさんが大げさに反応して私も鉄さんが何をしようとしているか分かってしまった。

…私のは普通に美味しいから大丈夫なんだけど。


「俺に試飲をさせてくれ。勿論お金は払う。」


「確かに飲めるって言われても普通は信じないからね。かくいう私も信じきれてないし」


「いいですよ。でも本当に不味くないんで、そんなに覚悟を決めるようなことじゃ…」


そう言って私は鉄さんにミルの実産のポーションと、ポーションの値段の50Yを交換する。

確かにあの激マズポーションを飲んだ後だとポーションという飲み物自体が信用できなくなりそうだから鉄さんの気持ちもわかるんだけど。

私も飲んだしね。なんであの時の私は好奇心であんな不味いと言われているものを飲んだのか、あの時の私を殴りたくなる。


「よし…逝くぞ!」


そう言って一気に瓶をあおる鉄さん。

―――まさかあの激マズポーションもそうやって飲んだのだろうか。

だとすると鉄さんはかなり残酷なものを見たはずだ。

ちなみに私はそこまで一気に飲んでない。流石に怖かったし。


「う…」


「「う?」」


「うまい!」


「だから言ったじゃないですか。美味しいって」


「確かにこれはポーション界に革命を起こすな。俺は鍛冶屋だから関係ないけど」


予想通りというか事実通り、鉄さんは美味しいと言ってくれた。


「で、どうだ、ルー。このポーションはいくらになる?」


そういえば今日は私のポーションの販売に来たんだっけ。

途中で鉄さんがはしゃぎ過ぎて何しに来たか忘れてしまっていた。


「んーそうね。振り掛けても若干だけど普通のポーションより回復量高いし。まあそれは価格に影響しないか…。でも飲めることによる回復量の増加はあるし―――」


ルーさんは結構真剣な感じで考え始めた。

結果私のポーションは60Yで販売されることになった。

因みに普通のポーションは50Yだから20%アップだ。

と言っても私の儲け分は30Y。ルーさんも儲けを出さないといけないしね。

つまり500/30=18.3333…ということで19個売れば私の目標金額に到達することになる。

でもミルの実って結構見つけようとしても見つからないから私の手持ちは今12個。

量産体制は全然整ってない。まぁ私としては研究!とか言って色々やるのもいいけど、元々の目的は動き回ることなんだから、そんなに気にしなくてもいいかもしれない。

とりあえず私は手持ち分の12個を売却した。

これでさっきのと合わせて410Y。これでようやく無一文を脱却したのでその辺の露店で何かおいしいものを食べたい。

でも何か買うとまた500Yが遠のいてしまう。

うーむこれは悩みどころですね。


次回は2015/07/11 6:00予定です。


活動報告のほうで私のお勧めの小説書いてますのでよければどうぞ。

そして逆にもしよければ私にお勧めの小説あれば教えてください。


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