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ISO〜運動音痴でもいいですか?〜  作者: 安
はじめてのVRと運動音痴
6/30

ep6

一か月お待たせしました!

やっぱり全然書く時間がありません。

やっぱり一か月毎更新にしないと放置、失踪になりそうなので…。

お手数ですが見捨てないでください(笑


総合8000PV

ユニーク2000PV

ブクマ100件

突破ありがとうございます!!

これからも運動音痴をよろしくお願いします!

少し太陽が傾いているがまだまだ明るいおやつ時、私は『始まりの街フィレイツ』――――通称第一の街の東に位置する『初心者の平原』に来ていた。

ミルの実探しと樹液のせいでまたまた予定を大幅に超えてしまっている。


「こっちに来るのは初めてだなぁ~。確かふーちゃんは角の生えてない兎を狙えって言ってたっけ」


本当は弓の命中精度がもう少し高くなってから狩りをするつもりだったけど、お金は必要だし仕方ない。


「それにふーちゃんには大体一撃でやれるって聞いたし、一撃入れれば良いだけなら何とかなるよね」


初めての単独(ソロ)狩りに若干緊張気味ではあるが、ISO内での美味しいご飯のため、私に妥協は許されない。

角のない兎――――ラビットを探して草原を捜索する。

キョロキョロと見渡していると、50メートルくらい先に向こうを向いて草を食んでいる兎を見つけた。

しかし、ドジッ子ではない私は焦って攻撃なんてしないのです!

なぜならあの兎が角なしか角ありか兎が向こうを向いている今、わからないから。

もしも角ありだとすると攻撃した瞬間私を敵と認識して攻撃してくる。

私は50メートルの距離を歩いて兎の前面に回り込む。

この『初心者の草原』には基本的にノンアクティブモンスターしかいないから、こうやって兎に近づいても攻撃されないし、逃げられない。

基本的にといったのは夜になるとウルフというアクティブモンスターが出現するため。因みにウルフは結構強いらしい。

この手のゲームではウルフとかは初心者用の雑魚モンスターらしいけど、このISOでは初心者が狩りに行くと十中八九返り討ちにされるらしい。

どこの世界でも肉食獣は強いってことかな。

そんな幼馴染二人にご教授いただいた情報を思い出しながら兎に近づいていると、ようやく兎の前面に回り込めた。

…角ありです。次行きましょう。

やっぱり角ありにちょっかいを出すのはもっと自分のレベルが上がってから。

あの角で体当たりされたら絶対貫かれそう。超怖い。

このISOでは一応グロ描写には制限がかかっている。と言うか、かかってなかったら私はやらない。

だから本当に貫かれるとかいうことはないけど、その代り貫通という状態があってそれにかかると鎧の耐久値が大幅に下がったり、失血という状態異常が誘発されたりして結構厄介。

因みに失血は毒と同じでHPが徐々に減っていく。毒と違って状態異常のレベルはないけど、毒と違って解毒薬で治る、みたいな特効薬はない。

どっちが厄介とか一概には言えないね。


一回目の探索では兎が角ありだったけど、500Yものお金を稼ぐためには角なしの兎を少なくとも25匹狩らないといけない。

角ありの方が一匹の値段は高いけど、さっきも言ったとおり私にはまだ無理。

だから私はなるべく早く角なしを見つけないといけない。


それから捜索すること10分、ようやく角なしの兎を発見した。


「き、緊張する」


何を隠そうこれが初めて。


「大丈夫、相手は一撃。私でもやれる、やれるはず」


自分をそう鼓舞して早速弓を構えて矢を番える。

相手との距離は10メートル。この距離なら私の弓のアーツ【長距離射撃】で攻撃が届くはず。

私は心を落ち着かせてしっかり狙いを定める。

心臓が今にも暴れだしそうなほど大きくなっている。これは中学受験の合格発表以来かもしれない。


「【長距離射撃】っ!!」


アーツを使用した証の赤色の光が弓全体を包み放たれた矢は一直線にラビットに向かっていき――――――そのまま吸い込まれるように胴体に刺さった。

ラビットのHPバーはぐんぐん減っていき――――――そのまま8割HPを削ったところで減少が止まった。


「えっ!?」


一撃で削りきれるという確信を持っていた私はまさかの事態を呑み込めなかった。


「な、なんで…あっ!」


気づくとすでに目の前にまで迫ってきていたラビットの姿があった。

そして私は最弱と言われるラビット一匹にボコボコにされて死に戻った。






◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

「うぅ…最弱のmobだから一撃でいけるって聞いてたのに」


私は第一の街の噴水広場に転送されていた。

痛覚とかは現実と違って殆ど感じないけどやっぱりちょっと痛い。


「む~嘘つかれた!ふーちゃんに文句言ってやる!」


そうして私は私をだました犯人のふーちゃんの名前をフレンドリストから探し―――と言ってもフレンドリストにはいまだに2人しかいないけど――――電話をかけようとして、できなかった。

フレンドリストのふーちゃんの欄のところには『現在外出中』と書かれた文字が。


「ふーちゃん留守か…」


ISOでは戦闘中などにコール機能によって集中できなくなることを避けるために、仮に出ているときはこういう風にフレンドリストでほかの人に知らせることができる。

この文字は自由に決めることができるのでその人の性格が出るけど、ふーちゃんはとても簡潔でまさにふーちゃんって感じだ。

その機能はいいと思う。本当にいいと思う、けど


「今はふーちゃんに文句言いたかったのに」


でも今コール機能がふーちゃんに対して使えないなら仕方がない。


「はぁ…代わりにれーくんにコールしよ」


そして文句言おう。れーくんにはいい迷惑だと思うけど、あの人のいい幼馴染には私の犠牲になってもらおう。


フレンドリストのれーくんの欄には何も書かれていないことを確認して、私はれーくんにコールした。


『もしも~し。どうした?』


れーくんはきっかり3コール後に出てくれた。

リアルでも電話すると3コール後に出てくれる。3コールで出ないときは後で駆け直すらしい。変なポリシー。


「れーくん聞いてよ!さっきふーちゃんに効率のいいお金の稼ぎ方教わったら、薬草毟りするよりラビット狩った方がいいって言われたんだよ!」


『お、おう。まぁそうだわな。それで?』


「角ありには勝てないだろうから角なしを狩って、一攫千金しようと思ったの」


『一攫千金は無理だろ…』


「例えだよ!たとえ!それでさっき角なしをようやく見つけて戦ったの!」


『わ、悪かったよ。ふーんなるほど。なんか落ちが読めそうなんだけど、それで?』


「負けた!」


『や、やっぱり…』


「ラビットって一撃で倒せるってふーちゃんに聞いてたからまだ弓の扱い上手くないけど挑んだのに!」


そこまで言うとれー君はふむ、と言って少し考えてるみたいだ。


『あー多分だけど答え聞く?』


「え、答え?」


答って何んだろうと頭にハテナマークを浮かべた私にれー君は教えてくれた。


『多分それは初期能力の差だわな』


「あっ!」


『もう気づいたと思うけど、このISOは各々の運動神経の違いとか筋肉の付き方とかによって初期ステータスが違うのは分かってるよな?』


「うん」


『その差自体はISOの動きに慣れて来れば徐々にほかの人と同じになるけど、今はまだサービス始まったばっかりであんまり動いてないはーちゃんは多分、初期ステータスのまんまだったんだろ』


「つまり…」


『まー単刀直入に言えばリアルで運動神経が悪いからSTR値が足りなくてラビットに勝てなかったんだろ』


「うぅ…」


れー君はそこまで説明して爆笑し始めた。

くそう、ここまで来ても私の邪魔をするのか、リアルの運動神経よ。


『く~腹いて。しっかしそんな話クフッ聞いたことないけどククッ』


「一々笑わないでよ!」


『いやごめんごめん。でもさ、今思ったんだけど、』


「何?また私を馬鹿にする気?」


『いや流石に違うって!いや確かに薬草毟ってそのまま売るよりラビット狩った方が高いけど、はーちゃん半分は生産職なんだからさ、ポーション作って売ったら?あとは木彫りのクマとか?』


「いや木彫りのクマって意味わかんないし」


そうやって返事をしつつも私の目からは鱗が落ちていた。



次回は2015/06/13更新予定です。

お気づきかもしれませんが毎月第二土曜日更新です。

誤字脱字等あればお願いします。

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