表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ISO〜運動音痴でもいいですか?〜  作者: 安
はじめてのVRと運動音痴
15/30

ep15

一ヶ月ぶりです。

昨年は読者の皆様には大変お世話になりました。

本年もご贔屓のほどよろしくお願い致します。

明けましておめでとうございます。

今日も今日とてISOにログインする。

約束の日まではあと一週間あるし、この一週間は自分のアビリティの熟練度上げに費やすつもりだ。

とりあえず前に行ったセーフティエリアまで行こう。

平原はノンアクティブのモンスターしかポップしないし、森に入れば影がある分闇魔法の【ダーク】の出番だ。セーフティエリアまでの道順を記憶の中で確認しつつ、市場で生産に使えそうな素材を購入していく。


「取り敢えず当面の目標としてはラビットを一撃で倒せるようになることかなー」


昼間はこのISOも平和で良いね。

今回の目的は森でのアビリティ上げなのでラビットよりはヒットポイントの少ない夜の森のモンスターを狩る予定だ。私のアビリティは【弓:6】【闇属性魔法:3】【観察:3】【細工:4】【料理:4】【調合:6】【視覚拡張:4】【魔力:4】【魔力制御:2】となっている。未だに9つしか私のアビリティは無いけど、今日はようやく最後の1つを取ろうと思う。

最後の初期アビリティは…その名も【集中】。

ちなみに説明はこんな感じだった。


【集中】

人類の限界まで挑戦するアビリティ。

スタミナを消費することによって集中状態へと入ることができる。

クリティカル率等にプラス補正。

使用中に動くとスタミナの消費が通常の3倍になる。

集中の消費スタミナ、維持可能時間、精度は習熟度に依存。


移動中に使った時のデメリットが結構大きいけどクリティカル率にプラス補正が入るのは大きい。特に弓みたいな点攻撃は攻撃場所によってモンスターに与えることができるダメージ量がかなり変わってくる。

そういう意味でも【集中】は良い選択をしたと思う。

今の私にはあのプロモーションビデオみたいに逆さ吊りにされながら弓を相手の目にピンポイントで当てるなんて芸当は不可能だ。

木々から木々へと飛び移りながら相手の弱点をピンポイントで狙い撃つあの弓兵。それが私の目標だ。現時点での自分と比べちゃダメなのだ。


平原を何事もなく突っ切り、森に入る。


「【ダーク】」


影のある場所での隠密の確率を上げてくれる闇属性魔法の初期魔法の1つだ。

こういうちょっとしたところでも魔法を使っていくことによって私の魔法系のアビリティレベルも上がるはず。れーくんとかふーちゃんとかアビリティ見せてもらったけど、レベルが私の比じゃないくらい高かったからね。というか私のアビリティを見て「低い!!」って言ってたし。そんなことないよね?君たちの周りのレベルが高すぎるだけだよね?そういうことにしておくのだ。

その後も何回か【ダーク】を重ねがけしつつ前のセーフティエリアを目指す。


「何回見てもこの景色は綺麗だな…」


普段は見に行け無いような景色も、このISOなら見ることができる。本来の想定された遊び方じゃないかもしれ無いけど、私は結構こういう景色を見るのを楽しんでいる。旅行気分だ。


さて、今の私には一秒たりとも無駄にできる時間がない。もっとこの景色を楽しんでいたいけど仕方がない。しばらくはここを拠点にして昼は採集&調合、夜は戦闘でアビリティレベルをなるべく上げていかないと。それに今の私には戦闘面、生産面で目標がある。何事も目標を設定すれば頑張れるのだ。


「戦闘はラビットを倒せるようになる。あわよくばホーンラビットも倒せるようになれると嬉しい。生産は薬草から作るポーションを飲めるレベルまで味を引き上げること」


やっぱり目標とか一日の予定とかは声に出すことでより明確になる気がする。モチベーションの問題かもしれ無い。


「よーしきりきり採集するぞー」


薬草とかが群生しやすい場所なんかは自然に2人から情報を得てある。


「まずは普通のポーションの制作からだよね」


何事もまずは基本から。基礎ができてこその応用なのです。

と言うわけでまずは普通の劇まずポーションでお馴染みの普通のポーションの材料である、緑癒草を手にれよう。


「2人が言うには森の木々の間、木漏れ日が差す場所って言ってたけど…」


鬱蒼と茂っているらしいこの森の奥地ならあまり見つから無いかもしれ無いけど、そこは初心者でも安全に採集できるようにこういう森の浅いところに群生地ができやすいようになってるんだね。

木漏れ日の差すいい感じの場所を探しつつ、ミルのみも集めていく。やっぱりミルのみはレアアイテムみたいであまり見かけることがない。勿論移動中は【ダーク】を常時発動させている。普段から多用することで効果時間を把握するのと、アビリティレベルを上げることができる。

私のメインウェポンが弓っていうあまり魔力を必要とし無い武器っていうのも魔法を日常的に使えるメリットがあるのだろう。

戦闘で使わないからやっぱり後衛よりかは効率が悪いみたいだけど。

色々と思考をしつつ緑癒草を求めて歩いていく。流石に三千里は歩かないけど、ステータス画面に表示される時計が出発してから30分ほどを示す頃。


「木漏れ日木漏れ日…。あ!あれかも!」


漸く木漏れ日が差し込む木々の切れ目を発見することができた。

近くに行くと、成る程確かにヨモギのような草が群生している。これが多分緑癒草なんだろう。早速聞いていた通り草を根元から切り取る。採取用のナイフはないので私の場合包丁だ。

だってナイフって安いのでも700Yはするんだよ。そんなにお金がないのです。


「どれどれ…?」


じっと緑癒草を見ているとARウィンドウが表示される。


【緑癒草】

傷を治す薬効成分を含む薬草。

かなり苦い。


「うーん。かなり苦いっていうのは公式での設定なのか…」


ここで苦味について何も書かれていなければどうにかすれば苦味を抑えられるかなぁという目処が立ったかもしれないのに…。


「取り敢えず目的のものは採集できたし、セーフティエリアまで帰ろーっと」







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

緑癒草の群生地から20分ほどでセーフティエリアまで帰ってこれた。

探索しながらだとやっぱり時間がかかりやすいみたい。

まだ陽は十分高い。つまり調合の研究の時間だ。インベントリから初心者用の道具を出していく。

フラスコ、魔導ランプ、温度計…etc。何度見ても化学の実験装置みたいで私の好奇心をどんどん煽っていく。

料理を始めたのだって、確かに両親が忙しかったっていうのもあるけど、私の場合は何か化学の実験のようなところが気に入ってそこから料理にはまったという経緯がある。


「まずはやっぱり基礎レシピからだよね」


初心者調合セットに付属している【レシピ本:初級】に書いてあるレシピ通りまずは作ってみる。


「えーっと…?細かくすり潰して煮出して濾す?漠然としてるなぁ」


これはこれでレシピを想像する楽しみがあるからいいと言えばいいのかもしれないけど、レシピ本ではないと思う。

不満は持ちつつきっかり手は動かしていく。

包丁でまずは緑癒草をみじん切りにして乳鉢に入れて丁寧にすり潰していく。…いくら丁寧にやったところであの劇薬みたいな味になってしまうんだけど。

すり潰し終わったら、既に傷に効きそうな匂いを発している薬草の成れの果てを鍋に移してお湯とともに煮出していく。その時温度をお茶を入れる時の温度に保つのを忘れない。特に何があるというわけでもなくて単に気持ちの問題だけどね。


「あ、そうだ。【集中】」


ふとした思いつきで新しいアビリティの【集中】を使ってみる。確か説明文がクリティカル等って書いてあったから多分こういう調合作業にも使えるはず。

唱えた瞬間、体が一瞬黄色く輝いて急に目が冴えてきた。と言ってもなんかこう、集中状態?みたいな感じで言葉にしづらい。

これもアビリティレベル上げと思って集中状態で調合を続けていく。


薬草を煮出し終わったら丁寧に混ざっている薬草を取り除いていく。この時葉をお湯の中に入れっぱなしにしておくと苦味が増すという都市伝説があるらしい…らしいなのはお察しだ。

ある程度冷えたところでビンに注いで…完成!

早速どのくらいの出来になったかを確認しないと…


【初級ポーション】

初級のポーション。

回復量はあまり多くないが、初心者にはピッタリ。

かなり苦い。

体力を8%回復する。


「ふつうだ」


今回は既存のレシピ通りの手順で作ってみたからここには何も期待していない。でも回復量が若干多いみたい。これは多分【集中】が効いてるんだろう。

でも、今回私が挑戦したいのは『緑癒草を使った効果の高いポーション』…ではなくて『緑癒草を使った味の悪くないポーション』なのだ。つまり…


「肝心なのは味…」


比較対象の市販のポーションもしっかり確保済み。でもあの味の強烈さの所為で味見した後に比べることができるかどうかちょっと不安だ。


「ゲーム内で毒を飲んでも死ぬことはないから大丈夫のはず…」


市販のポーションの栓を抜くと同時にあの時の記憶が蘇ってくる。


「でもあの時はあんまり味に集中できなかったし…」


味見に入ってきで十分だ。舌の上に慎重にビンを傾けて一滴だけ垂らす。


「っ!!ぐうぅ…」


その瞬間に舌の上を暴れまわり口の中を蹂躙するほどの苦味をみせるポーション。さすがは都市伝説だ。

しかしここは我慢!しっかりと味わ和ないとダメだ。


「う、うーん…とにかく苦いなぁ。というか他の味がしない…?これは薬効成分が苦味なのか苦味が強すぎて他の味がわからないのか分かんないなぁ」


これでもリアルでは料理をする乙女なのですが、全くわからない。


「取り敢えず自作の方に行こうかな」


今度はさっき粗熱をとった自作のポーションを構える。せめてさっきのやつより苦味が強くありませんように…


「っ!!あああああああ!やっばりにがいいいいぃぃ」


クゥ…。これを一本飲んだ鉄さんは本当にすごい人だ。苦くてもここで改善点を見つけていかなければ私のこの苦しみは一体何だったのかということになってしまう。どうやってもそれは避けないと!

次回2月第2土曜日朝6時


誤字脱字、こんな話がこの作品で読みたい!等ありましたら感想でお教えいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ