ep1
初投稿です。
カメ更新です。
今は骨組み自体は一章までありますが
3話までしか書いてません。
1ヶ月に1ペースくらいでお願いしたいです。
デスゲームになったりしません。ほのぼのです
2015/04/11家族構成を修正
「こ、今度こそ!」
真剣な光を目に宿しつつ、華──水野華は呟いた。
水野華。17歳の高校2年生である。身長は152㎝で、愛嬌のある顔をして長い髪を後ろで結んでいる。
成績は優秀で男子からも人気がある。───そんなことに彼女は気付いていないが。
そんな彼女にも苦手なことがある。
そう、運動である。
◇◇◇◇◇◇◇◇
季節は春。
そして華はいつになくやる気に満ち溢れた顔をしていた。
この時期にある運動行事と言えば、もちろん体力テストである。
───体力テスト。
毎年春に行われる男子のステータス作りイベントであるが、華は3か月前から体力テストの競技の対策をしていた。
周りから見れば身長の低い女の子が走ったり、跳んだり、投げたりする光景は微笑ましいものであったに違いなかったが、本人はいたって真面目であった。
そしてその成果を発表する日がとうとう来たのだった。
最初の種目はハンドボール投げ。
華は一度深呼吸をして、投げた。
華なりに全力を尽くしたボールは綺麗な放物線を描き、7m地点に落下した。
今までの最高記録の5mを越える大記録(華にとっては)だったが、今回の目標はでっかく10mである。
そしてもう一度順番を待ち、冒頭の状況になるのだった。
目の前にはハンドボール。
華はハンドボールを持ち、円の中にはいると深呼吸をしてタイミングを待った。
そして笛が鳴ると同時に振りかぶり、下半身の力と捻りを上半身の力に変換し、ボールを投擲した。
─────と同時に勢い余った華の体も前につんのめって転けてしまった。
そしてボールは9m地点に落下したが、円から体が出てしまっているのでファールとなった。
華はその結果に愕然としヨロヨロと起き上がると肩を落としながら別の競技へと向かっていった。
その哀愁漂う背中に、先生を含む学校の皆は小さくエールを送った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「はぁー」
季節は変わって夏。
春に測定した体力テストの結果が返ってきた日である。
結局結果は去年より記録は向上したものの、ひとつとして目標を越えることは叶わなかった。
「そんな溜め息ばっかりついてると幸せが逃げちゃうよー」
不意に後ろから頬っぺたを摘ままれてしまった。
「ふーちゃん!驚くから音もなく近寄るのはやめてよ!」
「い、いや普通に近づいたのにはなっちが全然気づいてくれないから…」
華に抱きついて頬ををつねったふーちゃんと呼ばれた少女――――木田風奈は華と幼馴染の女子で華と違い172cmの女子にしてはの高身長とショートヘアの黒髪を結び、頭は口が裂けてもいいとは言えないが逆に運動神経がいい。
肌も焼けていてまさに健康的美少女であるといえる。
「それで~?体力テストどうだった?」
少し意地悪な笑みを浮かべて風奈は聞いてくる。
「うっ」
案の定言葉に詰まってしまった華に風奈はため息をつく
「まぁ目標の達成はできなかったみたいだけど、新記録は色々出たみたいだしよかったんじゃないの?」
「うーんまあそうなんだけど…」
「じゃあいいじゃない!」
「うん…」
「あ、そうだ!」
「どうしたの?」
急に何か思いついきましたという顔の風奈。
昔から何かしら無茶ぶりをしてきた風奈に華は急激に嫌な予感が体中に駆け抜けた。
「な、何かな?」
華は自分の顔が引き攣るのを感じた。
「はーちゃんは自分の体で自由自在に動き回りたくない?」
「え?どういうこと?」
その分風奈の言うことに困惑してしまった。
「まー詳しいことは後で話すよ!今日久々に家きなよ」
意味深な笑顔を残した風奈はそう言うと、嬉しそうに帰りの支度を始めた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
所変わって風奈の家。
「最近発売されるVRのゲームって知ってる?」
「うん。なんだっけ?いんふぁなんとかオンラインって名前だっけ?すごい大人気で全然手に入れられないらしいねー」
「そう!それよ!Infinite・Stories・Online、ISOね」
Infinite・Stories・Online―――通称ISOはVR技術が確立されてから初めて商品化されたVRMMOである。
βテストでは圧倒的な自由度と綺麗なグラフィック、五感までもが再現されていてとても好評価を受けていた作品である。
プレイヤーはアビリティと呼ばれる能力を自分好みに取得、カスタマイズし自由気ままに遊ぶことができる。
まさにInfinite―――無限である。
勿論ゲーマーは発売日前から長蛇の列を作り、一種の社会現象とまでなっているゲームである。
華はゲームはあまりやるほうではないが、それほどまでに社会を巻き込んで連日報道されているゲームということで名前くらいは知っていた。
「それがどうかしたの?」
「実は私、βテストに受かっててさ、それでひとつと~懸賞で出してみたらひとつ当たったんだよね」
「うわぁふーちゃん運良すぎ」
初めてのVR系ゲームのMMOということでβテストに受かるのもそもそも天文学的な数字であるのに華の目の前の親友はさらに懸賞でひとつあてたという。
無駄な運の良さである。
「それでさ、ひとつはーちゃんに譲ってあげようと思って」
「でもお高いんでしょう?」
「そんなくだらないこと言ってないでさ。VRゲームってやったことないかもしんないけどゲームのアシストを受けれるから、普段の日常ではできないような動きもできたりするんだよ」
「それって…」
「運動音痴がゲームの中では治る!」
運動音痴が治る――――華にとってはそれがゲームの中限定であろうともなんであろうとそれが治るのであれば縋りたかった。
地味に身長の低さと運動音痴はコンプレックスなのである。
何しろ幼馴染は女子にしてはずば抜けて背の高いモデル体型であり、なおかつ運動もできるというのだからコンプレックスにならないほうがおかしいのである。
「やる!!」
「じゃあはいこれ。事前情報はインターネットで調べれば出てくると思うし、正式稼働は一週間後の正午だから遅れずにログインしてね。私のプレーヤーネームは風だからログインしたらその広場で探してね」
「わかった!一週間後ってことは夏休みが始まる日だね」
「そういうこと。じゃあまた一週間後」
「うん!」
「あ、そうだ!事前にキャラクターの登録はできるから今日中にやっておいたほうがいいと思うよ」
「キャラクターの登録?」
「VRゲームって二次元の世界に自分の分身を作ってそれを動かす感じだから顔とか身長とかいろいろ自由に設定できるんだよ」
「へぇー結構ハイテクなんだね」
「まーそういうことね」
風奈は苦笑しつつもアドバイスいしてくれた。
「身長は感覚が変わるから変えないほうがいいね。あと顔も変えるのは自由だけど、あまりにもカスタマイズするとやっぱり顔には違和感が出てきちゃうからやるなら瞳の色とか髪の色とか髪型とかじゃないかな」
丁寧に教えてくれる風奈に華はほーほーと相槌を打ちながらメモを取っている。
真面目である。
そして一通り風奈からレクチャーを受けた華は、ホクホク顔で家へと帰った。
◇◇◇◇◇◇◇◇
風奈と随分長く話し込んでしまった華が家に着いたのは20時を少し過ぎたころだった。
といっても風奈と華の家は近く―――――というか三つ向こうなだけなのだが。
華は共働きでほとんど家に帰らない両親の代わりに夕飯を作ると華にしては速攻でかきこみ、二階の自分の部屋へと上がっていった。
ちなみに華には大学2年生になる姉がいるが県外に行っているために全然家には帰ってこない。
正式稼働が待ちきれない華は部屋でまずは情報を集めようとβテスト時の攻略サイトを開くべく、パソコンを起動させた。
―――――一時間後―――――
「す、すごい…」
華は攻略サイトもある程度見終わり、今度はISOの公式サイトでPVを見ているところだった。
そのPVはさらに華の心を釘付けにした。
軽い装備で敵を翻弄しつつ敵と戦う軽装備の剣士や敵の攻撃をものともせずに敵をは屠る騎士、弓兵、魔術師etc…。
自分が実際にこんな動きができると思うと楽しみで楽しみで仕方のない華だった。
「そ、そうだ。ふーちゃんがいってたキャラクター設定をしないと…」
華はそう言うと、今日風奈にもらったばかりのVRギアを箱から取出し、ゲームをセットして電源を入れた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ようこそISOの世界へ。正式稼働前の事前登録を行いますか?」
ログインしてさっそく現れたのは天使の輪が頭の上に浮き、背中から羽が生えた、まさしく天使であった。
「は、はい!お願いします」
NPCだのAIだのがよく分からない華は目の前の天使風の女の人が現実の世界の人なのか、コンピューターに制御された存在であるのか、見分けもついていない。
そんな華の言葉に天使は少し微笑むと、登録情報の入力ウィンドウを出して華に見せた。
華は初めてのVRでの文字入力に四苦八苦しながら自分の情報を入力していった。
プレイヤーネームは『ハル』。
華という名前から花→桜→春→ハルという何とも安直なネーミングである。
そして粗方登録が終わり、自分のキャラクターの見た目を設定するときも華は風奈に言われた通りあまり顔を変えずに、髪の毛の色を銀、髪型を運動するときの髪型にし、瞳の色を青にした。
そして目の前に現れた自分の分身の出来に満足すると、一週間後を楽しみにしてログアウトした。
ゲーム内でこんなイベントがあったら!とか
誤字脱字があればお願いします