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僕の隣の座席はドラゴンです。  作者: 遠藤戦争
第二部「日常の侵食。」
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プロローグ「日常の侵食。」

『非日常』と『非日常』は引き合う物なのかもしれない。

俺、佐藤真人は、ゴールデンウィークの間に、

どういった訳か魔界に住んでいるというドラゴンと「契約」なるものを交わし、

『能力』という物を手に入れて、他の魔物と魔王の権限を懸けて戦うという、

『非日常』の世界へと足を踏み入れたのである。

もしかしたら入れた日常生活の中に内在する『非日常』に対して、

同じ立場に立った自分が気付けるようになった、というのが正しいのかもしれないが。

引き合う、といった俺の表現をとある漫画、特殊な実体を持った能力を操り戦う漫画ではそのことを、

「運命の赤い糸」と表現をしていた。この表現は言い得て妙なのかもしれない。


「事件……ねぇ。」


5月14日。曇り。龍野と村田と赤石と赤石の妹と一緒に帰宅中、俺はぼやいていた。

近頃、この私立龍成学校郡の付近で事件が発生している。

具体的に言うと、龍野がここに転校してきてから、である。

中等部の生徒が連続で行方不明になっており、今朝の集会の報告で昨日で、

ゴールデンウィークの初日からもう四人目だそうだ。

学校の周囲は常にパトカーが徘徊しており、教員が生徒の帰宅指導を行っている。

警察はというと確実な事件と認めることのできる証拠を発見することができていない。


「タイミング的に、絶対龍野ちゃん絡みだと思うんですよね……」


村田が呟く。俺達の不安は二つである。

一つはこれが『魔物』絡みなのでは無いのかと言う事。

そうなってしまった場合、また戦闘を行う可能性ができる。

五十嵐の時はかろうじて勝つ事が出来たが、次戦う時は勝てると言う保証は無い。

それに他の人間も巻き込んでしまっているのは非常にまずい。


「大丈夫ですか、京子さん?」

「大丈夫です、というか年下に敬語使わないで下さいよ。」


もう一つの不安は赤石の妹、赤石京子の事である。

先程言った行方不明の生徒は全て、京子のクラスから出ているのだ。

京子のクラスの全員は、次は我が身なのではないのかという不安で、

全員が酷く怖がっており、かなりの数が不登校にもなっている。

ちなみに龍野の年齢は人間換算すると実は俺の一つ上だという事が発覚した。予想外。


ここで大分話を変えて俺の友人を一人紹介しよう。

赤石彰宏。小学生時代から今の今までクラスが一緒という、

俺と驚異の腐れ縁を持つ男である。現在、龍成高等学校二年生。部活は無所属。

得意科目は数学で身長は167cmで痩せており、中性的な顔つきをしている。

だがそんなことよりも何より話すべきは、友人である赤石彰宏には『有言実行』という信条がある。

赤石は自分で言ったことを『必ず』行う。聞いてみるとそれは当然のことのように聞こえるだろう。

だが、『冗談を含め自分の言った事を生まれてから二回しか破っていない』、

という人間はそうそう居ないのではないのだろうか。

ましてや、その二回の内一回は『祖父の死を止める』などといった物である。

つまり赤石とはそういう人間なのである。また赤石は、あの時の『非日常』に少し触れた人間でもある。


そんな赤石はみんなの話を聞いて、こう言ったのだった。


「……ふむ。やはりこれはいかんな。」

「シスコンとして放ってはおけなへブッ」


鳩尾にいいストレートが入った。呼吸が出来ない。こういう時に役に立たない自分の武道の腕を恨む。


「『有言実行。この事件を解決する。』」


赤石はそう言ったのだ。


「……なっ、赤っごふっげふっ。おまっ、それは危けごふっげふっ。」

「佐藤。僕に考えがある。お前の協力が必要だ。」

「そ、そんなこと出来るわけゲブッ」


蹲ってる所を蹴られた。酷い。こいつ友人じゃないわやっぱ。


「頼む。(ゲシッ)この通りだ。(ゲシッ)協力してくれ。(ゲシッ)」

「なんて通りだこの馬鹿!?」


赤石の蹴りは一向に収まらない。とはいう物のこの蹴りは全く痛くない。

恐らくこいつも焦っているのであろう。俺だって知人をこんなことに巻き込みたくはない。

俺達で何とかしなければ。




冒頭でも言ったが、『非日常』と『非日常』は引き合う物なのかもしれない。

これは引き合わされた、『非日常』のお話である。



僕の隣の座席はドラゴンです。

第二部 「日常の侵食。」

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