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この世界は魔女を愛している
「やぁ、セル。」
死刑執行人が来たぞ。爽やかな笑顔を浮かべて私のそばに来た奴は、私の読んでいる本に目を向けると、
「それは汚らしい本だよ、セル。」
顔を顰めて、本に対して嫌悪感を抱いているように見えた。
「…どういうことですか。」
聞き捨てならなかった。我々魔女を救ってくれたと記されているこの本を侮辱されたことに。
「あまり怒らないでくれ。
これは、人を洗脳した犯罪者が書いた本なんだよ。」
なぜ、悲しそうな顔をするのだろう。
待てよ…。そんなはずないよな。
「そういえば、名前は。」
一応、一応…。
「リーシャント・シリアナスだ。」
著作者…リー。
この死刑執行人の名は、リーシャント・シリアナス。
私の知る死刑執行人の名は、リーシャント・エナカリス。
「リーシャント…さん。貴方は、誰なんですか?」
世界に同じ人間なんてものは存在しない。
仮に存在しているなら、片方は偽物という訳だ。
彼はニヤリと笑って答えはしなかった。
「僕は僕だ。
リーシャント・シリアナス。
さっきも言ったばかりだろう?」




