みたされるとき
満たされるとき
それ以外のものが要らなくなる
それだけあれば生きられるのだ
他は必要なくなってしまうほど
創作は特にそう
かきたい気持ち
だしたい想いををすべて
そこに注ぎ込むから
生きることは創作と同じ
1か0か
どちらか片方が全てで
完全に満たされていればいい
片方は全く無くてもいい
中途半端よりもいいと
そう思っていた
あの人と一緒に居た時はそうだった
あの人がしたようにだ
あの人がしていた
心に響いた絵も小説も書かなくなったように
あの頃の自分自身も
書くことも描くこともしなくなっていた
生きていれば一緒に居ることだけで
満たされることもある
相手がいて自分がいて
生きる歩みを描いてゆけばいいと
そう信じていた
ボタンの掛け違いのように
二人で描いていたものが壊れて
いつか
一人の空虚なときのうちから起き上がって
それから
独りで描くこと書くことを始めようと思った
自分の手に収まるものは小さくて
残したいものはこぼれ落ちるばかり
今までの道行きを振り返り
足りない孤独をそう感じていた
描くことは好きだったけれど
今はそれも横に置いて物語を書いている
書くことは楽しくて苦しくて
時には怒りに満たされたこころが
書きたいはずの心を押しやって
溢れる感情のために書く気持ちが追いやられ
いつかの空虚のときを感じたりもするけれど
書くことが
書くことこそが
書きたい気持ちで満たされているときが
この上も無く総てが満たされる時であると
そう感じていることに
そう信じていることに気づく
何かを書くだけで
綴られた物語を読むだけで
総てが満たされる
そんな気持ちになる至福の時がとても好きだ
この天空の下に
物語とその世界と自分自身
それは孤独だけれど
とても満たされている
世界を綴り
世界を見つめるとき
胸の内は響きに満たされて
輝いている
文字だけの世界を
その隙間を想像で埋めるとき
新たな世界を創造するかのごとき
わが心の満たされるとき
そうして至福に満たされるときを夢みて
こうして文字を書きつづける
満たされていたときの欠片を胸の奥に
そっと握りしめながら
自らの何かを綴るときの
心の満たされるときの如く
綴る世界を心の輝きで満たすように