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異世界!? 神!? なんで!?  作者: 藤谷 葵
一巻(初稿版)
9/181

7話

 私は森の中を確認することにした。

 だが、空の黒雲のせいで、森がどんよりと暗い感じになっている。ちょっと怖い。


「ね、ねえ、フォルちゃん。森の中を案内してくれない?」

「はい、女神様」


 フォルちゃんと二人で、森の中に入っていく。女神の威厳として、『怖いから一緒に来て欲しい』とは言わない。

 歩きつつ、ふと思う。

 あれ? 湖の周りも木が生えて繋がっているし、ある意味、森の中に湖があるのか? と思ったけど、これからの森の冒険が楽しみなので、些細なことは放っておく。

 森の中に入ると、僅かな木漏れ日がある。空が黒雲に覆われているせいか、本当にわずかではあるが……。

 歩いていると、フォルちゃんが話しかけてきた。


「これどうぞ」


 フォルちゃんが森の中をふわふわと飛び回り、もいできてくれた赤い小さな木の実の房。房から一粒取って、口に放り込んでみる。


「甘くておいしい~」


 ほっぺたがとろけおちそうだ。この世界に来て僅かだが、甘いものを食べていない。いや、前世も合わせたら、少なくとも五年くらいは甘味を口にしていない。私はガツガツとその房についていた赤い木の実を食べつくした。


「ふぅ~、美味しかった」

 

 これを孤児院の子たちにも、食べさせてあげたい。そう思った私は、フォルちゃんにお願いをする。

 

「ねえ、フォルちゃん。この木の実を持って帰りたい!」

「わかりました。集めてきますね」


 すると、フォルちゃんが次々と持って来てくれる。両手では持ちきれなくなって、どうしようかと迷う。孤児院の子たちやミシアさんにあげる分も考えると、もっと欲しい。

 そこで私はスカートの裾を掴んで、受け皿にした。


「フォルちゃん、ここに入れて」

「はい」


 次々と集まる木の実。だんだんと重くなってきた。


「フォルちゃん、スト~ップ。もう持てないよ」


 クスクスと笑うフォルちゃん。私もその笑顔につられて笑う。

 フォルちゃんにお礼を言って、ミシアさんの元に戻った。


「ただいまぁ~」

「あら? サオリ、今日は帰りが早いわね……ってどうしたの? その沢山の木の実は?」

「昨日話した湖の所にある森で、木の実を取ってきたんだよ。これで信じてくれる?」

「え、ええ、大の大人でも、探せなかった森を見つけたのはわかったわ。湖もあるのね?」

「うん、魚も泳いでいるよ!」


 私はミシアさんが信じてくれたことを嬉しく思った。だが次に出てきた言葉で、嫌な気分になった。


「じゃあ、確認をしたら、村の人達にも話しましょう」

「え~、なんで村の人達に話すの? みんな私がこの村に来たとき、誰も助けてくれなかったのに」

「それはね、みんな心に余裕がなかったからなのよ。私が村のみんなに代わって謝るわ。ごめんなさいね」


 ミシアさんは優しすぎる。村人が悪いのに、なんでミシアさんが代わりに、私に謝るのか分からない。

 ともかく、働いている子たちがみんなお休みの時に、孤児院のみんなで出かけることになった。

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