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異世界!? 神!? なんで!?  作者: 藤谷 葵
一巻(初稿版)
8/181

6話

「ただいまぁ~」

「どうしたんですか? その恰好は?」


 ミシアさんは目を見開いて驚きつつ、質問してくる。


「あ、雨に急に降られちゃって……」

「雨? 雨なんてこの辺で降っていませんよ? どこまで行ってきたんです?」

「湖!」


 私はミシアさんの問いで、出来立ての湖を思い出し、嬉しくなって伝えた。

 ミシアさんの反応はというと……。


「この辺に湖なんてありませんよ?」


 呆れ気味に言われてしまった。


「ホントだよ!」

「はいはい、それよりも濡れた服を着替えましょうね」


 そう言うとミシアさんは、私の髪の毛をボロ布で拭いた。そして、着替えを用意してくれた。


「この服、誰かのじゃないの? いいの?」


 私は申し訳なさげに聞いてみる。まあ聞いて誰かのだと言われても、私の服はただいまずぶ濡れ中なので、借りるしかないのだが……。


「孤児たちのみんなの服は共用よ。服を新しく用意する余裕がないですからね」


 誰のものでもないことに、ちょっと罪悪感が薄れた。


「それよりミシアさん! 本当に湖あるんだって。お魚いるんだって」

「はいはい、そんなことよりも、風邪をひかないようにしてくださいね」


 体調の心配をしてくれるのは嬉しいが、湖を信じて貰えるともっと嬉しい。


(も~、ホントなのに、どうしたら信じてくれるかな?)


 考えているうちに夕食の時間になった。今日は質素な硬いパンのみ。昨日の歓迎会だけ、特別にスープがあったのだろう。

 そして、就寝になりミシアさんの隣で、夜に目が覚めた私は、暗い天井を見つめつつ考える。


(誰か一緒に行ってくれる子いないかな? あ、でも働ける子は働いているのか。いや、休みの日もあるはず)


 私は考えているうちに眠りについた。

 翌朝になり、ぼーっとしつつも朝食を食べる。もちろん硬いパン。

 朝食を終えると、お手伝いの子たちは出かけて行った。

 私もミシアさんに出かけてくると伝えて、湖に向かった。

 そして湖を眺めつつ辺りを見渡す。


(なんか物足りないな……?)


 そしてふと気づいた。足りないものを! 木だ!

 湖の周りを囲むように木が生えていたり、森があったりするとかっこいい気がする。

 早速、私は木を生み出すスキルの作成を試みる。しかしやはり上手くいかない。どうやら私は神様でありながら、生命の誕生をさせることはできないようだ。神様見習いみたいなものだから?

 私は昨日と同じように、森の精霊を作ってみる。それは上手くいった。


「初めまして女神様」

「初めまして。よろしくね」


 挨拶もそこそこに、森の精霊である小さな女の子に、早速お願いをしてみる。


「ねえ、湖の周りに木を生やせる?」

「やってみます」


 森の精霊が祈るような感じで何かをしている。すると目の前の土がもこもこと動き出し、ポンと何かの植物の芽が出た。


「ふぅ~、これが精一杯ですね」

「え~」


 森の精霊の女の子は、いい仕事したという感じで額を腕で拭った。頑張ってくれたのはいいけど、これじゃあ足りないよ……。

 どうしようかと悩む。ウルちゃんはもう湖をすっかり作り上げ、水草なども生えている。ウルちゃんを思い出し、私は気づいた。


(名前か!)


 名前を付ければ、能力が高まるはず。早速名前を考えることにした。


「フォル! 貴女の名前はフォルちゃん」


 すると、蔓が地面から生えてきて、フォルちゃんの全身に巻きついた。しばらくすると、それがはらりと取れる。フォルちゃんも少女の姿になっていた。


(よし! これならいけるはず!)


 ウルちゃんが名前を付けた途端に凄いことをしたので、名前がついたフォルちゃんも凄いことをすると確信しつつ、もう一度フォルちゃんにお願いをしてみる。


「フォルちゃん、もう一回やってみてくれない?」

「わかりました」


 またフォルちゃんは祈り始める。すると、湖の周辺から、木の苗たちが出てきたと思ったら、それらは凄い勢いで大きな木となった。


「おお!」


 私は成功したことに嬉しくなった。調子にのってさらにお願いをする。


「ねえ、湖の隣に森を作って。食べられる木の実とかができる木とか」

「かしこまりました。では……」


 そうお願いすると、湖の木から繋がっていくように、大きな森ができあがった。

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