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異世界!? 神!? なんで!?  作者: 藤谷 葵
一巻(初稿版)
7/181

5話

 翌日も、ミシアさんに断りを入れて湖を作りに行った。

 

「今日こそは湖を完成させて、お魚を泳がせる!」


 私は昨夜の歓迎会で、みんなにお返しをしたいと必死であった。

 湖につき早速、水を注ぐ作業を始める。


「水魔法!」


 陽が真上に来る頃に、やっと湖ができあがった。


「やったぁ~!」


 私は大の字に地面に寝転がった。清々しい達成感を味わう。そしてわくわくしつつ、作業を再開。

 次はいよいよお魚を……あれ?

 スキル創造で、魚の創造スキルを作ろうとしても作れない。じゃあ、生物の創造スキル? そう思い、名称などを変えて色々試すも、どうやら魚どころか生命を誕生させることができないようだ。


(う~ん?)


 私は悩んだ。その結果、精霊創造スキルを作り、精霊がお魚を作ってくれることを期待した。

 不安気にスキルを作成してみたものの、精霊創造スキルは制作できた。試しに水の精霊を作ってみる。可愛い女の子の姿だった。

 その子は湖の上に立っていて、ぱちりと目を開く。


「こんにちは、女神様」


 女神様と言われて、なんか気恥ずかしい反面、自分が偉くなった気分になる。


「こんにちは、え~っと、お名前はなにちゃん?」

「精霊に名前なんてありませんよ」


 名前ないのか……私は名前を付けてあげたくて考える。


「ウル! 貴女の名前はウルちゃん!」


 私がウルちゃんと呼んだ幼女は、嬉しそうに笑顔になる。すると突然ウルちゃんの足元の水が舞い上がり、ウルちゃんの身体を包み込む。顔に飛んで来る水飛沫を手で守る。


「な、なに!? ウルちゃん、どうしたの?」


 しばらくすると、その水はおさまった。ウルちゃんを見ると、幼女から少女という成長をしていた。何がどうなった?


「名前をありがとうございます。女神様」

「ウルちゃんが大きくなった! なにごと?」

「名前をつけて頂いたので、成長したのです。いわゆるネームドという存在になりました」

「ネームド?」


 分からない言葉が出てきた。ファンタジー世界特有の言葉?

 

「はい、精霊や魔物に名前を付けると、ネームドと呼ばれるようになります。ネームドは名前がない精霊や魔物よりも、能力が高くなります」

「おお!」


 私は能力が高くなるということに、目を輝かせた。これならお魚を作ってくれるかもしれない。

 そこで私はお願いしてみた。


「ねえ、ウルちゃん。この湖にお魚とかを住ませたいんだけど、食べたりするために。お魚作れる?」

「作れませんけど、事情は分かりました。では、この湖に魚を住まわせますね」


 そう言うと、ウルちゃんは両手を天にかざした。魚を作れないのにどうやるの?

 疑問に思っていると、モクモクと空の黒い雲が、他の空からやってきた別の黒い雲と湖の上でくっつき、突然の大雨が降り出した。

 私はずぶ濡れになりつつ、何が起きたのかと狼狽える。


「な、なに? 急に大雨?」


 突然私の頭に何かがバチンと当たる。私はその衝撃による痛みを手で抑えつつ、そのまま両手で頭を守り、その場にしゃがみこんだ。

 しゃがんだまま、その頭に当たった物体を見つめる。目の前でお魚がぴちぴちと動いている。

 不可解な出来事に、ウルちゃんに問いかける。

 

「ウルちゃん? ウルちゃん? これなにが起きてるの?」


 ウルちゃんに聞こうにも、声より大雨の音の方が大きくて、ウルちゃんまで届いていないようだ。

 しばらくしたら、大雨はやんだ。

 私はずぶ濡れになりつつ立ち上がる。髪や服からポタポタと水が滴り落ちる。


「あの~、ウルちゃんなにしたの?」

「魚の引っ越しです。よその湖から少し分けて頂きました」


 超常現象に戸惑う。まさか魚が空から降ってくるとは……。


「後の管理は任せて下さい」

「うん、よく分かんないけど、今後はこの湖をよろしくね」


 私はずぶ濡れの身体のまま、くしゃみをしつつ孤児院へと帰って行った。

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― 新着の感想 ―
2周目です。 精霊創造は良いですね。 任せられますから(笑)
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