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異世界!? 神!? なんで!?  作者: 藤谷 葵
二巻(初稿版)
130/135

10話

 屋敷に辿り着くと、そのまま門をくぐり抜けようとして、足を踏み出した時点で気づいた。


(そういえば、使用人棟の出入り口を使うんだった)


 シャーリーさんに言われたことを思い出し、出した足を引っ込めて、裏口に回る。

 使用人棟の出入り口から入り、部屋へと向かい、私とメイの部屋のドアを開ける。


「ただいま~」


 そう言った途端に、私の身体は硬直し、持っていた荷物をドサッと落とした。

 部屋の中には床に倒れたメイちゃんがいる。


「メ、メイちゃん?」


 私は不安を抱えつつ、メイちゃんに近づく。すると吐血した痕がある。


「メイちゃん! メイちゃん!」


 私はメイちゃんの身体を揺さぶる。するとメイちゃんは薄っすらと目を開けた。だが、かろうじて開いた目はまた閉じた。

 慌てて誰かを呼びに行こうと思ったが、まだメイドたちは仕事をしている時間。この屋敷のことを何も知らない。人を呼んでいる時間はない。


(私が助けないと)


 とりあえず、メイちゃんの腕を掴み、脈を測ってみる。脈はある。何が起きているんだ? どうしたらいいんだろう?

 私はパニックになっている。頭の中で、豚さんの死がフラッシュバックする。

 「落ち着いて考えるんだ」と自分に言い聞かせて、どうするべきかを考える。


(そうだ! 鑑定スキルで何か分かるか!?)


 メイちゃんを鑑定してみる。するとメイちゃんのステータス画面に『毒状態』と表示されていた。

 毒? なんで? 私がいない間に、誰かに毒を盛られた?

 そう考えていたが、違う可能性を思い出した。スラム街の住民は川の水を毎日のように飲んでいる。例え『微毒』と言えども、飲み続ければ毒の濃度も増していく。


(私がもっと早く対応していれば……いや、今は後悔している場合じゃない! メイちゃんを助ける方法を考えないと)


 私は自分が猛毒の川に入った時のことを、思い出す。スキル創造で毒無効スキルを作った。それならメイちゃんにも毒無効のスキルを作れば……。

 神用ステータス画面にあるものは、『女神の姿』になったときに使えと言われている。緊急事態だが、それでも今の状態で使ってはいけないのだろうか?

 私は部屋のドアを閉めて、鍵もかける。そして、女神エレメリスの姿になった。既に昏睡状態になっているから、メイちゃんには、ばれないであろう。

 早速、スキル創造で、メイちゃんに毒無効のスキルを作成することを試みる。しかし、その試みは期待に反した。スキルを他人に与えることはできないようだ。


(スキルが与えられないなら……魔法?)


 魔法創造を使い、自分自身に回復魔法を作ってみる。これは成功した。早速回復魔法をかけてみる。だが、容態は変わらない。


(なんで!)


 魔法が違うのか? あと似たような魔法は? 時間との戦いに焦りつつも、自分に落ち着いて考えるように言い聞かせる。


(治癒魔法!?)


 名前的に回復魔法に似てはいるが、治癒という意味では、毒を治せそうである。早速、治癒魔法を作成した。

 そして、メイちゃんに治癒魔法をかける。すると、苦しんでいた息が荒かったメイちゃんの呼吸が、穏やかになった。

 私は再び鑑定をしてみる。『毒状態』は消えていた。

 私がほっとしていると、メイちゃんの声が聞こえた。


「め……女神様?」


 メイちゃんの目が薄っすらと開いている。だが、その目はすぐに閉じて、体力を使い果たしたせいか、また気を失った。

 私は慌てて女神の姿から、人間の姿に戻る。そして、一生懸命、メイちゃんを担ぎ上げ、ベッドの上に寝かせた。

 ベッドに寝かせたメイちゃんの容態を確認する。すやすやと寝ており、もう大丈夫そうだ。

 私は床に落とした自分の荷物を拾い上げ、タンスの引き出しにしまう。

 メイちゃんの危機を脱したため、冷静さを取り直した私は、スラム街の住人が気になった。


(川の状態は今、どうなっているのだろう?)


 いてもたってもいられなくなり、使用人棟を飛び出して、街の川を見に行った。

 川で鑑定スキルを使ってみるが、もう毒状態はない。だが、スラム街の住人は、メイちゃんと同じように、既に毒に侵されている人々が多いはず。

 女神として、このまま放置できる案件ではない。今、手を打たないと、スラム街の住人は、次々と死んでいくかもしれない。

 私は人気のない所を探す。だが、なかなか見つからない。やむを得ず、建物と建物の間の薄暗い場所を探した。

 見つけると、辺りの人目を確認しつつ、その薄暗い通りに入っていく。そして、女神の姿になった。同時に一気に加速して、黒雲の上まで急上昇した。

 スラム街の上まで飛んでいき、黒雲の下まで高度を下げる。スラム街の住人を鑑定してみる。すると全員が『毒状態』となっている。

 上空から、下界の人たちに、一人一人に治癒魔法をかけていく。だが、人数が多すぎる。範囲魔法とかないのか?

 前世の記憶を辿る。確かファンタジーには、範囲魔法があったはず。範囲治癒魔法も作れるか?

 早速、実行してみる。範囲治癒魔法は作成できた。私はすぐに範囲治癒魔法を使用した。

 すると私からスラム街全体に、光が降り注ぐ。


(なんだこれは!? 範囲魔法って光っちゃうの?)


 きらきらとした光の粒が降り注ぐ。それはスラム街の人々の身体に触れると、雪が体温で溶けるかのように、消えていく。


(……過ぎてしまったことは仕方がない……とりあえず鑑定で確認をしよう)


 私は肩を落としつつ、鑑定で確認してみる。すると、スラム街の人々は、『毒状態』ではなくなった。

 私は安心して先ほどの、建物の陰まで一気に逃げるように飛び去った。

いつも読んで頂きありがとうございます。


メイちゃんが毒状態になっていた!

作者もテンパり、やらかしました!

サオリが毒状態になったときは、浄化魔法で毒を解除し、そして、毒無効スキル。

だが、メイちゃんとスラム街の住人には、治癒魔法。

ど……どちらの魔法でも効くのかな?(苦しい言い訳)


応援や感想を頂けると嬉しいです。今後の作品を書く励みとなります。

サオリの今後の活躍を、応援よろしくお願いします。

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