表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/10

EP8 決戦

「静かだな」

 タファは思わず呟いた。事実、城内は外の喧騒が嘘のように静まり返っていた。

「同胞たちよ、油断するな」

 ウィリアムは後ろに続く者たちに呼びかける。彼は言いようもない不安を感じていた。腹の底で何かが気をつけろと叫んでいた。彼にはこの感覚に覚えがあった。もっと言えば、この不安はある意味想定の内であった。彼は、奴の姿をまだ見ていない。

 刹那、城内を照らす火がすべて消えた。ウィリアムは反射的に飛びのき、そこから流れるように盾を構えた。暗闇の中、盾を構える手に衝撃を感じた。その衝撃だけで、彼には状況が把握できた。いや、できてしまったというべきか。彼はこれを知っていた。再び火が灯った時、彼の目の前には予想通りの光景が広がっていた。転がる同胞たちの死体、そしてその真ん中に立つ、黒装束の老人。集落で起きたことの完全再現であった。

ウィリアムの視界の端に、タファの姿が映った。あの時同じ攻撃を受けながら生き残った者、正確には生かされた者だけが、老人の攻撃に反応できたのである。この老人が革命における最大の障害となることはウィリアムの想定の内に入っていた。彼を倒すための訓練を、同胞たちと行っていた。だが、それらは全て無駄だった。老人は静かにウィリアムを見据えている。瞬間、老人は跳躍した。時間にしてわずか一秒に満たない跳躍が、ウィリアムには酷く鈍く感じられた。老人の刃の先には、タファがいた。ウィリアムは全身の筋肉を漲らせ、駆けた。

タファは痺れたように動けずにいた。眼前の老人がスラムを襲った者と同一人物であることは明らかであった。だが、それは彼にとってあまりに認めがたい事実であった。故に、反応が遅れた。ほんの一瞬の瞬き。その間に、彼の者の刃はタファの鼻先にまで迫っていた。いや、迫っていたようだった。背中に衝撃を感じてようやく、タファは己の体が宙を舞っていたことに気づいた。先ほどまで彼がいた場所には、仮面の男が立っていた。いや、今は仮面を着けてはいない。強烈な突きにはじかれた仮面は、タファがそうであったように、虚空で弧を描いた。

自分が突き飛ばした相手に一瞥もくれることなく、ウィリアムは老人の刃を盾で弾き飛ばした。そしていざ敵を斬りつけんとしたその時、臍のあたりに大砲の球を受けたような痛みを感じた。それが何だったのかに気づくことなく、彼の意識は闇に呑まれた。

ウィリアムを拳の一撃で昏倒させた老人は、悠然と歩みを進め、刃を取り戻した。

「マクルム!」

老人は振り返る。その視線の先には、タファがウィリアムを庇うように立っていた。

「坊」

と老人は呼びかける。タファの顔が刹那、幼き頃のそれに戻った。

「死ね」

無慈悲かつシンプルな命令を老人はタファに告げた。そして、音もなく彼に近づき、刃を突き出した。タファはそれを曲刀でいなす。

―なぜだ

繰り出される連撃を、タファはひたすら防ぐ。

―なぜあなたがそちら側にいる

老人の表情からは喜も、哀も、怒も、楽も、いずれも読み取れない。

―蟻の戦士たるあなたが!

 老人ことマクルムはかつて蟻の一族の戦闘部隊を率いていた。「結束の蟻」の名が示す通り、彼の一族は集団兵法を得意としていた。中でもタファが知る当時の「蟻」達は、徹底した一枚岩っぷりで評判だった。彼らを一枚岩たらしめていたのが、族長であるマクルムであった。タファの知るマクルムは感情をよく表に出す男だった。懐の大きい男だった。異なる一族のタファですら、「坊」と呼び、可愛がっていた。しかし、今彼の眼前に入るマクルムはそれとは全く違う男に見えた。凍て付くような瞳に、かつてのような温かさは微塵も感じられなかった。ただ、目元の笑い皺だけが、あの頃の面影を残していた。

 尋ねたいことは山ほどあった。しかし、マクルムの猛攻が問いを許さなかった。タファにとって永劫とも思えた戦いの時間は、実際は三分にも満たなかったであろう。その時は訪れた。ウィリアムが感じたそれより、はるかに鋭い痛みがタファの腹に突き刺さった。

 タファを刺したその瞬間、マクルムの意識は次の標的であるウィリアムへと向いた。それでも、彼はタファの唇が動いたのを見逃さなかった。サ、ラ、バ。タファが己を貫く刃を握りしめていることにマクルムが気付くのと、ウィリアムの放った矢がマクルムの頭を射抜いたのはほとんど同時であった。まるで枯れ木が朽ちるようにマクルムは崩れた。

タファは知らない。マクルムがレコンキスタで部下をすべて失ったことを。タファは知らない。敵の手に落ちたマクルムが、復讐に全てを捧げんと誓ったことを。その思いが彼を狂気へ誘ったことを。タファは知らない。セプトリスの民を一人残らず殺すことでしか彼は満たされなくなったことを。その為にはかつての同胞の血にすら染まる覚悟をしていたことを。タファは知らない。知らぬまま、意識を手放した。

 

 ウィリアムは玉座の間の扉を押した。目の前には闇が大口を開けている。先ほど調達した松明を彼は前方にかざした。足元から伸びる赤い絨毯をウィリアムは踏みしめる。いくら歩いても慣れない感触だと彼は思った。この玉座の間を抜ければ王族のプライベートスペースに至る。そこへ行き、王を殺害するのが今の彼の役目だった。しかし、これだけ騒いだのだ。王はとっくにこの城を脱出しているかもしれない。それでもいいと彼は思った。王の殺害はあくまでプロセスの一つに過ぎない。最終目的は政権の奪取である。王城を押さえ、そこに新政権を樹立してしまえば革命は成ったと言える。既に市井の民から王家への信頼は地に落ちている。「誰かが何かをしてくれる」のを待っている者が国民の大半である。何らかの勢力が逃げた王を担いで革命軍に反旗を翻す可能性はない、とウィリアムは踏んでいた。国外にも、外交で恨みを買っていた王に手を貸す者はいないだろう。むしろ、王の命をとることで、非道な一団という印象を与え、国内に無用な反発を生むことを彼は恐れた。ならば、王には逃げて貰った方がいい。王を殺したくて堪らない砂漠の民の恨みを買う恐れはある。しかし、新政権を盤石なものにするには、国外より国内への印象操作が重要だとウィリアムは考えていた。

 先ほどのマクルムの攻撃然り、今宵のことについてウィリアムは様々な予想を立てていた(その予想が役に立ったかは別として)。しかし、今松明の明かりに照らされている光景は、あまりにも予想外だった。鼻を突く鉄の臭いを感じながら、ウィリアムは玉座を見上げていた。赤い絨毯を紅く染める鮮血。その主は、玉座に腰かけるセプトリス国王その人であった。

 暗君。無能。暴虐の王。いかなる痛罵を受けようとも玉座にすがり続けた一生を象徴するかの如き死に様を、その男は晒していた。ウィリアムは王を、否、その先に広がる闇を見据えていた。

「姿を見せよ」

沈黙。

「そこにいるのはわかっている」

間、そして溜息。

「なぜわかった?」

玉座の陰、松明の明かりの届かないところから声が返ってきた。

「貴様より気配を消すことに数段優れた者と見えたばかりでな」

ほう、と陰の中の男は息を漏らす。

「マクルムを破ったか」

「それがあの老人の名であるなら、そうだ」

その者の落胆はウィリアムにまで伝わってきた。

「蟻は蟻らしく群れていればよかったものを・・」

「蟻?あれも砂漠の民だったのか?」

ウィリアムは心底意外そうな声を出した。

「そうだ。蟻の一族の戦闘部隊を統べる者、そしてその部隊唯一の生き残りだ」

唯一。では、スラムを襲った時の部下は、セプトリス人か?しかし今はそんなことより問うべきことがある。

「そのような男を貴様がいかにして篭絡したか聞きたいものだな・・リングス」

ウィリアムは玉座の陰の男、王の寵臣であったはずの男に声をかけた。

 再び溜息を漏らした後、依然として姿を見せぬ男、リングスは口を開いた。

「篭絡とは随分人聞きが悪いな」

間髪入れずにウィリアムは言葉をかける

「砂漠の民は王室を憎んで止まぬはず。その筆頭とも言える男を、執政官である貴様が使役するとは・・なにかカラクリがあると考えて当然だろう」

しばしの沈黙。小さく息を吸うような音の後、リングスの震える声が聞こえた。

「全ては復讐のため」

「復讐だと?」

ウィリアムはあくまで平静を崩さない。

「我が真の名はミドウ。ハミュラの民が生き残りよ」

ウィリアムは一切表情を崩さずにリングス、否、ミドウの告白を聞き続ける。

「私はレコンキスタ以前からセプトリス人を騙って王に仕えていた。閉鎖的なハミュラの民と、セプトリスとを結びつけ、オル・ハミュラを一層発展させるためにな。だが!セプトリスは利のためにハミュラの民を滅ぼした」

ウィリアムの耳に鈍い音が聞こえた。ミドウが玉座を叩いたのであろう。今夜、フォート家の隠し部屋で机を叩いたウィリアムのように。

「レコンキスタが終結したあの日から私の目的は変わった。復讐だ。セプトリスを滅ぼす、そのためには地位が必要だ。私は出世のため、憎しみを隠して王に仕え続けた。マクルムに出会ったのもその頃だ。敵軍将の尋問という名目でな。私の企みを聞き、噴き上がる憎悪に共感した彼奴は我が手足となることを約束した。彼奴もまた、復讐に命を捧げる覚悟だったのだ・・・そうだ、我々の目的はセプトリス滅亡。故に、セプトリスとハミュラの民を和解させんとするロウは私にとって排除対象だった。ロウと組んでいた『狼の子』も当初は殺すつもりだった。だが、アレの目を見て考え直したのだ。アレノ目に宿るセプトリスへの憎悪の火種は、私やマクルムが持つ業火に変わる可能性があった。故に、焚き付けてやったのよ」

「タファを『屠殺人』にしたのは貴様か」

沈黙を守り続けたウィリアムがここで初めて口を開いた。その声には他者の感情を弄ぶ者への怒りが込められていた。

「私はただアレの宿命を引き出したに過ぎん」

「詭弁だな」

ウィリアムは射るような視線を闇の中へ投げかけていた。

「タファは本来憎悪に身を任せるような男ではない、それと戦う男だ。宿命というなら、セプトリスと砂漠の民をつなぐのが彼のそれだ。」

漆黒に染まった玉座の間にミドウの嘲笑が響く。

「革命軍とやらのことか?それこそ詭弁よ。共和制とやらが平和を生み出すとでも思っているのか?『国民の総意』とやらが選出した代表者は王の如く振舞うのだ。己が利のために民から搾取し、殺戮する。貴様らセプトリス人はそれに従うのみ。考えることなどせぬ。考えても動こうとはせぬ。再び政権が変わるまでそれが続くのだ。セプトリス人、愚かな羊どもよ。羊飼いが変わったところで貴様らの愚かさは変わらぬ。ならば私が、烏の一族の生き残りたるこの私が貴様らの群れに引導を渡してくれよう。」

ミドウが語り終えるまで、ウィリアムはひたすら口を閉ざしていた。しかし、最後の言葉を聞くに及んで、彼は重く閉ざした口を開いた。

「烏の、一族か」

張り詰めた静寂が二人の間に漂った。

「それがどうした?」

ウィリアムは僅かに目を伏せていた。

「ようやくわかった、この違和感の正体が」

彼は目を上げ、闇の中のミドウを睥睨した。

「リングス、いや、ミドウよ。貴様は嘘ばかりだ。」

今回はミドウが沈黙を保つ番だった。

「私は砂漠の民の助力を仰ぐにあたり、いくつものスラムを訪れた。そのさなかで聞いた話がある。」

ウィリアムは一歩踏み出した。

「百年前、烏の一族は族長争いによって一人残らず滅びた、という話だ」

闇から返ってくる声はない。

「砂漠の民でもごく一部しか知らぬことらしいがな」

ウィリアムは更に歩を進める。

「ミドウ、貴様は何者だ?」

沈黙。松明が燃える音がやけに大きく感じられた。

「私は・・」

ミドウはそう言いかけて口をつぐんだ。ウィリアムは玉座だけを見つめ、言った。

「答えろ!」

なおも前進するウィリアムの足に激痛が走る。思わず足元を見たウィリアムの耳に、雷鳴とまがうほどの轟音が届いた。そして、彼は全身の力が抜けていくのを感じながら、赤い絨毯に倒れ伏した。今や地面からわずかばかり上にある彼の眼は、最後に玉座の陰から出てきた者の顔を捉えた。その顔は、彼が毎日見ている顔、すなわち、ウィリアム=フォートの顔であった。


 「異国で開発段階にある武器だ。確か、銃、といったか」

ウィリアムの顔をした男は、物言わぬ骸に対し語り掛けた。

「まさか烏の一族が滅んでいたとはな。そればかりは予想外、予想外」

「彼」はかねてからの計画を実行すべく、ウィリアムの死体に近づいた。「彼」の名は、カール=リングスでも、ミドウでもない。本名、カール=パラジェント、代々セプトリス王家の影武者を務めてきた一家の現当主である。その任務故、パラジェント家の存在や構成員は一族の者と王家のもの以外には明かされていない。代々の当主は執政官や秘書など、王の近くに仕える職務を表の使命としてきた。無論、偽名を名乗って。影に日向に王を守る、それがパラジェント家の宿命であった。カールはその宿命に抗わんとした唯一の当主である。彼は王のそばに仕えながら、その野心を膨らませていった。影武者ではなく、己が王にならんとしたのである。パラジェント家の変装技術は一流である。王を殺し、成り代わっても、周りの者に見破ることは不可能であろう。しかし、パラジェント家の者なら話は別である。パラジェント家の者は王の身体的特徴から本人も気づかぬ癖に至るまで熟知している。現当主のカールですら、城内至る所で「表」の職務に就くパラジェント家の者の目をかいくぐることは無理難題にもほどがあった。もし王を殺したことがばれれば、一族の掟によりカールは秘密裏に抹殺され、別の者が影武者としてセプトリス王家の存続に務めることになる。したがって、カールは内に秘めた野心を持て余していた。そんな折、王が後宮に溺れて国富を使い果たす。彼にとってこれは僥倖であった。外部の力によってセプトリス王家を崩そうと考えたのである。最初は、砂漠の民にセプトリスを征服させるつもりであった。そして砂漠の民の長になり替わろうと考えたのである。しかし、砂漠の民はカールの予想に反して脆かった。戦争の初期段階で砂漠の民が完敗することは明らかになってしまった。だが、カールはこの機を逃すつもりなど毛頭なかった。次にカールは長引く戦争により、国内で王家への不満が出始めたことに目を付けた。外部から崩すのが無理なら、内部から。カールはクーデターを引き起こそうと考えた。彼は王にすら一歩も引かずに意見するロウに目を付けた。ロウを利用し、クーデターを起こそうとしたのである。ロウについて調査をする最中、マクルムに出会った。自らの一存で動かせる兵を欲したカールはマクルムの復讐心を掻き立て、私兵とした。王にはマクルムの素性を隠し、王直属の暗殺部隊と騙ることで認めさせた。また、「烏の一族のミドウ」を名乗ることで、マクルムに同士と思わせることに成功した。ウィリアムに語ったようなエピソードを彼はマクルムにも語った。マクルムが彼の嘘を見抜けなかったことは、幸運であり、必然であった。烏の一族が滅びた時、四仙獣の一つがよりによって内部崩壊で滅びたことは砂漠の民全体にとっても不名誉だと当時の族長たちは考えたのである。故に、烏の民の滅亡は代々の族長にのみ伝えられることとなった。故に、戦闘部隊の隊長に過ぎなかったマクルムに、この嘘を見破ることは不可能だったのである。あるいはマクルムが胸襟を開いてタファと話していれば、玉座の間でカールと対峙したのはウィリアム一人ではなかったかもしれない。復讐という本来の目的を忘れ、冷徹な殺人鬼となっていた彼がウィリアムらと手を組んだかは疑問であるが。ともあれ、思いのままに動く強力な駒を、それも王公認で手に入れたカールは更に計画を進める。人事・情報を操作し、ロウが王家への不信感と砂漠の民への同情を抱くように仕向けた。しかし、ここでまた誤算が生じる。ロウは上手く事を運びすぎた。ロウは砂漠の民でも穏健派のタファたちと接触し、彼らをかけ橋としてセプトリスと砂漠の民を和解させようと奔走し始めた。そこにカールの望む動乱はなかった。だが、カールにとって幸いなことにロウは後継者、エドワードを育てて始めていた。カールはロウを切り、エドワードを利用しようとする。次は自分の手元に置き、より監視を強めようと画策していた。その矢先にエドワードはあろうことか残党狩りに従軍し、戦死してしまう。絶望しかけるカールだが、フォート家からウィリアムがロウとともに集落へ向かったという報告が届く。カールはこれを最後のチャンスととらえ、慎重に策を練る。まず、ウィリアムの目の前で砂漠の民やロウを「王直属の暗殺部隊」に殺戮させ、王家への不信感を植え付けた。その後、地位を高めてやり、王家の暗部を見せつけた。そして、情報を操作し、「革命」という概念を抱くよう仕向けた。あとはウィリアムが実際に革命を引き起こすのを待つのみとなった。マクルムを使い、ウィリアムだけを手中に収めれば、あとは王と彼を殺し、ウィリアムになり替わるだけだ。マクルムが倒れ、万全の状態のウィリアムと対峙する羽目になったのは計算外だった。万一に備えて設置していた罠に気づかれぬよう、注意を惹き続けるのは思いのほか神経を使った。そして今、カールはウィリアムの衣服を剥いでいる。衣服を交換し、死体を焼けば、もう誰もウィリアムが死んだことには気づかない。王の仇を取りそうなものは全て処刑してしまえばいい。ミドウとしてセプトリスの殺戮を批判したカールだったが、その頭には彼が批判したもの以上の地獄絵図が展開されていた。だが、それがなんだというのか。為政者の裁量一つで右にも左にも動くのが国というものだ。愚かな国民を誤魔化すことなど、羊飼いが羊を管理する程度のことだ。日陰者のパラジェント家がついに表に出る。ウィリアムを焼く炎のきらめきが、カールの門出を祝福しているように見えた。「革命者ウィリアム」としての装いを完璧に整えたカールは、玉座の間の扉に手をかけた。カールは扉を開け放つ。そして、突然彼を照らした明かりに思わず目を細めた。良好とは言えない視界に入った無機質な輝きを見た時には手遅れだった。カールの新たな人生を迎えたのは祝福のファンファーレなどではなく、無数の弓が矢を放つ音であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ