77.
メノウはブツブツと何かを呟き、もはや不要だと詠斗の身体から出てくる。胴体の長い虫のような姿。だというのに、身体には人間の手や鳥の翼、魚の尾など様々な生命体の身体の一部があり、不気味という他ない形をしていた。
雄叫びを上げるメノウに、理性が宿っているのかすら分からない。ただ、無愛に明確な敵意を向け、水を生み出し攻撃してくる。
「おいおい、周りはお構いなし?」
全員が避けると、水が当たった部分は腐敗していき、悪臭を放ち始める。今まで寄生してきたものの力を使える。厄介なことこの上ない。
「手出し厳禁だからね」
無愛は前に出て、短剣を手に持つ。昔から様々な武器を使うが、短剣を使うことは稀。メノウ相手となればなおさらだ。
無愛は雄叫びを上げるメノウに躊躇なく向かっていき、周りにある人間の手などの邪魔なものを斬っていく。
「意外と硬いな。硬化系の能力もあるのか」
そう言いながらも、無愛は何度も同じ箇所を斬りつけていく。短剣では無理だろうと思えるが、能力により強化しているのか、難なく削り取っていく。
「理性なき獣は討伐されるだけ。分かってるだろうに、本能ってのは嫌だね。結局私たちは欲の塊なんだ。どうしたって抗うことはできない」
メノウの動きが鈍くなり、無愛は懐に入り込み、心臓部を貫く。メノウの内臓が飛び散り、血の雨が降る。無愛は血を拭い、影夜たちの方へと駆け寄る。
「一樹、土に埋めておいて。白夜は念のため、周りに飛び散った内臓を壊しておいて」
「……こんな、呆気なく」
「いや、このままだといつかまた復活する。根源が絶ててない」
メノウの根源。それは人間の心であり、欲である。故に根源を絶つことは不可能であり、永遠とメノウは人間の平和を脅かし続ける。
「共存は……」
「人間はこれまでメノウを脅威としてきてる。軍のトップである詠斗も意識が戻るか分からない。歩み寄るのは無理だよ。【死月】は永遠と人に恐れられるしね」
どれだけ人のために動こうとも、それは無愛に何も与えない。与えるとしても、それは孤独であり、拒絶されるという事実のみだ。
明けましておめでとうございます!今年もよろしくお願いします。




