74.
「てか、話してたの?」
「んなワケあるか。あいつらのやり方で答え出したんだろ」
当たり前のように言葉を交わし、次に備える無愛と影夜。史たちのすぐそばにも、守るかのように信樹たちがいた。
「どうなって……」
「答え合わせって言ってたろ。正直、俺もまだ疑ってはいるが」
「しれっと会話に混ざるのやめてください」
「青海のとこの女性陣は怖いねぇ」
どこか気楽そうな遙翔だが、視線はしっかりとある人物の方に向いていた。
「……どういうつもりだ」
「言ったろう。答え合わせだよ」
肩を押さえ、血が流れるのを止めようとする詠斗と、詠斗を睨み警戒する無愛。
「そもそもね。本当にお前が詠斗なら私たちを軍に入れるはずがないんだよ」
「本当に……?」
「【死月】たちの話じゃ、あいつは長官じゃないんだとさ」
正確には、詠斗の身体を乗っ取ったナニカ。それも、かなり長い年月を生きた存在だろうと予測している。
「メノウの知能持ちである条件はおそらく三つ。私たちのように意図的に造られたモノ。生まれた後に信仰や恐怖の受け皿となったモノ。多くの知的生命体を喰らい、その力を吸収したモノ」
「お前は三番目。一樹に各地の植物の記憶読み取ってもらってようやく見つけたよ」
「メノウの中でも珍しい寄生型。それも、乗っ取った身体の記憶や能力を得られる。どうりで見つからないワケだよねぇ」
おかげでこんな芝居をする羽目になったと無愛はため息をつく。誰がどれだけ必死になっていようが、そもそもで土俵が違うのだ。答えを分かっており、それにたどり着くための道筋を作っていた無愛たち相手に全力で挑もうとも、無駄に付き合うつもりなどなく、逃げられてしまう。
「よくもまぁ、【月】を潰してくれたねぇ」
「メノウ失踪事件。東遙翔の殺害未遂。【月】の殺害。この短期間でよくやったとは思うが」
「相手が悪かったね。詠斗を乗っ取ったのも悪手。能力を使いこなせてないみたいだし、私たちにもバレたしね」
実際にメノウは詠斗の能力を一切使っていない。周囲に不自然がられることもなかった。だと言うのに、無愛は初めから分かっていたかのような口ぶりだ。
「詠斗の本名ってさ。天月なんだよ。私たちと同じ」
詠斗は青海たち同様無愛が【死月の災厄】と呼ばれていたときから。そのもっと前から、生きていた。自身の能力を駆使し、生きながらえるてきた。
「人が勝手に私のことを【死月】と呼んでいたからそれが定着してたけど、元々【月】って名前は詠斗から取ったんだよ」
かつて無愛たちがこの森で集まり、活動し始めたときに迷い込み、出逢った青年。
「詠斗は【月】ではない。けれど、私たちとて生き物だ。メノウだろうと、人であろうと、恩を受けたことは忘れない。お前は我々【月】の怒りを買ったワケだが、覚悟はできているよな」
投稿し始めてから約一年半以上。ようやく大詰め(?)ですね(とても遅い)。さすがに100話は越えないだろうと思いますが、どうですかね(計画性なんてないよ)。




