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青海と笙人が自分の元に来るというのは、【可月】にとっても想定外だった。ミカエルと共にルシファーを倒してから別々の場に合流するか、信樹の元に向かうかのどちらかだと思っていたからだ。


「……これがクソゲーってやつか」


他とはだいぶ距離を取られ、あちらへ戻るには時間がかかる。その上、この二人を倒さなければ戻ることは間違いなく不可能だ。


「久しぶりに腹を割って話せるなあ」

「話は聞いてあげるわよ。一発ぶん殴ったあとにね」

「お前たち相手は疲れるから嫌なんだ」


青海が能力で重力をかけると同時に、【可月】は青海ではなく笙人に向かって行く。二人がいるのならば司令塔であり、青海が好きに動ける理由である笙人を潰すのが最も合理的だ。


「昔からそうだ。お前たちは近遠分けているのはいいが、それを理解している相手には弱すぎる」


笙人を蹴りで飛ばし、青海に向かって持っていた銃を撃つ。笙人は受け身を取り、青海も能力でとっさに銃弾を弾く。


「これが研究職とか、信じられるかっての」

「引きこもりがいつ身体鍛えてたんだか」


青海の能力で移動に制限をかけ、笙人の能力で妨害をする。それでも【可月】はものともせず、能力を使う素振りを見せずに二人を相手取る。


「俺に当てるなら冬影やあのガキだったな。お前らじゃ勝てねぇよ」

「あの二人にあんたはそれこそキツいでしょうが」

「能力の相性はいいだろ。俺としてはお前らでありがたいがな」

「もう隠す気なしか」


隠す必要がないだろうと【可月】はフードを脱ぐ。

右目を眼帯で隠している、一年ほど前、死亡したとされていた男。

東遙翔。無愛が軍を抜ける理由にもなった人物であり、青海たちが百年以上も生き続けることができた理由。


「懐かしいなあ。昔はよくこうしてお前らボコしてたか」

「いつの頃の話だよ」

「お前らが五つ辺りだな」


遙翔は能力を使い、武器を複数出し、二人へ攻撃をしかける。青海が近距離、笙人が遠距離だとすれば、遙翔は中距離を得意とする。かつて、共に軍で人を守ろうと約束した幼い子どもたちは、今はこうしてそれぞれ別の立場で動いている。


「全部吐いてもらうわよ」

「それをすると【信月】に殺されるから遠慮する。ただでさえ目を付けられてるからな」

「どんだけ地形残っかねぇ」


青海の能力と遙翔の能力がぶつかる。

青海の【反重力】は、物体にかかる重力の方向を変化させるもの。それを押し返すように遙翔が能力で重力を操れば、重力のぶつかり合いが発生し、少し近づいただけでも重力によって押し潰される。


「ったく、毎回思うが、俺いるか?」


周りの木々が倒れ、今にも押し潰されそうというのに、そこにいる笙人。青海と百年以上共にいるからか、そういったことには常人よりも慣れているためか、それともたまたまなのか。






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