63.
投稿忘れてました。すみません!
無愛たちとの接触から約一ヶ月。あれから無愛たちの動く気配はなく、メノウの出現も見られていない。
「踏み込み甘い」
現在は軍の訓練場で史の稽古をしているものの、史は身体を鍛えていたというワケでもないため、体力づくりも平行して行っている。
「……これ、キツく、ないですか」
「いや、俺に言われても……。考案は青海だし、俺メノウだからそこら辺分かんねぇし」
体力づくりに関しては自分の運動不足であり、足を引っ張らないためにも最低限青海たちに追いつけるようにならなければいけないのは分かる。だが史は切実に思う。お願いだから戦闘訓練の相手を変えてくれ、と。
戦闘慣れなんてしているはずもない自分の相手が何故、部隊の中でトップクラスであり、【月】の一人である影夜なのか、疑問でしかない。青海に何か考えがあるのか、はたまた近くにいたからという適当な理由なのかは不明だが、交代してくれと言える勇気もない。
「史の能力はどこまで通用するか分からんから体術と適当な獲物って思ったが」
「人間は、そんな無茶苦茶できる、身体、持ってないです!」
影夜からすれば青海も笙人もやっていたから誰でもできるだろうという認識だが、そもそもであの二人がおかしいため、史は普通。まず百年以上生きている対メノウのスペシャリストである二人と数ヵ月前まで一般人であった史を同列視すること自体が間違っている。
「影夜、あんまり史いじめないの」
「じゃあお前らがやってやれよ」
「私そんなに得意じゃない」
雫たちは二人の様子を眺めているだけ。実際、戦闘で前に出るのは基本的に青海と影夜であり、ほとんどは後衛。基礎的なことは全員できるものの、教えたことが実戦に使えるかと聞かれれば分からない。史は理由は不明だが狙われているため、後衛ではあるが力をつけてもらわなくては困る。
「尊はできんだろ!」
「俺もそんなにやんねぇよ。あと名前やめろっつってんだろ!」
「……冬影さんって、なんで名前呼び嫌がるんですか?」
史は二人が喧嘩を始めるため雫たちの方へと避難し聞いてみる。尊と言う名前は別に男の人でもいるため、いいのではないかと思うが。
「本人は女みたいだからって言ってたけど、元々尊って言うのは、あいつのお姉ちゃんの名前なのよ」
「冬影さんのお姉さん?」
「あいつが産まれる少し前に亡くなったらしくてね。両親は尊さんが亡くなったのが耐えきれなくて、あいつに同じ名前を付けて、尊さんの真似をさせたの」
男でありながら女のようなことをさせられてきた。幸い服装などは姉がスカートを苦手としていたためにスカートを履かされることはなかったが、それでも尊からすれば嫌悪しかない。
「だから嫌なんでしょうね。自分じゃなくて、姉を呼ばれて、求められてるみたいで」




