61.
「じゃあ、私は行くところあるから」
影夜に一樹を送らせると、青海は外へ出る準備を始める。
「どこ行くんです?」
「知り合いのところ。一発殴ってくるから」
青海の言葉に、一般人にそれはまずい、と言う者やまた面倒なことに巻き込まれてるのからと言う者もいる。本来止めるべきであろう笙人に至っては、自分の分もやってこいと言う始末だ。
青海は軍基地からさほど遠くない街にある一つのカフェに入っていく。店員には二人だと伝え、席を用意してもらい、待っている人物が来たら案内してほしいと頼む。
「……ここ、やっぱりいいわねぇ」
「お前が俺を呼ばなきゃ完璧だったよ」
長時間待つことを予想していたのだが、目的の人物はあっさりと姿を現した。青海はこの人物と待ち合わせをしていたワケではなく、この人物がよく来ていたこの店で捕まえて話を聞いてやろうと踏んでいたのだ。
「常連だから店員さんもすぐに分かったみたいね」
「しばらくは控えねぇとだな」
青海と腐れ縁とも言える人物は諦めて席に着き、会話を聞かれるのは互いにまずいだろうと能力で周囲に音が漏れないようにする。
「これで話せるだろ」
「……便利な能力」
「お前も便利だろうが」
ここまで便利じゃないと少し拗ねた様子の青海にため息をつく。
「それで、わざわざなんだ」
「約一年音信不通だったのがいたんだから、会いに来るでしょ」
何が聞きたいのかは分かっている。何を答えるかも分かっている。それでも、立場上聞かなければならない。
「……何してたの」
「知っての通りだ」
短くそう答え、会話を続けようとしない人物に今度は青海がため息をつく。
「あんたねぇ……」
「お前は俺のことより自分のとこの心配しろ」
「ちょっと!」
特に何かを頼むでもなく、青海と少しだけ言葉を交わして店を出る。少し表を歩き、懐かしんでいると、今日はよく会うなと本日二度目のため息をつく。
「……青海は」
「店にいる」
少し離れた位置にいてついてくる笙人に、何故なら場所が分かったのかと聞けば、ある程度予想できると返される。
「せめて隠す努力をしろよ」
「自分のルーティンを把握されてるとか思わないだろ」
「俺らにあそこ教えたのお前だろ。ボケたか?」
確かに笙人たちにあの店を教えたのはこの人物だ。昔仲がよく、そのときにオススメだと教えたのだ。
「……なんで二人して覚えてるんだよ」
「あそこ青海も行くから」
「そうだ。こいつクソ過保護だ……」
昔を知る者からすれば、戦闘向けではない能力者である笙人が青海についていき軍に入ったとなると、過保護と言うのは当然と言えば当然だろう。実際は異なるのかもしれないが、事情を知らない者たちからすればそう見える。
「ちゃんと守れよ」
「……お前が言うな」




