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60.




ルシファーは分かる。ミカエルの天敵とも言える天使はあのときにもいた。しかし、ラファエルと呼ばれる人物については見ていない。


「あなたの情報はどこまで信じていいの」

「基本的に信じてもらえると嬉しいわね」

「頼んでた他の奴らは」

「大半が連絡つかないわね。【腐月】は確認しに行ったら静観するって言ってたし、【永月】と【星月】は相変わらずどこへやら」


【月】を集めることはほぼ不可能。となれば現状()の戦力で無愛たちを今後も相手していかなければならない。

何が目的かも不明の無愛たちがどう動くかも予測不可能な状況で戦力も削がれた。あちらも痛手を負ったものの、影夜たちが不利なのは変わらない。


「花宮…だったか。あんたはどうするんだ」

「中立よ。【月】同士の殺し合いはご法度だし、私はあくまでも王の御娘に仕える臣下だもの」

「王?」

「私が言えるのはそこまで。頑張りなさい」


慧斗の様子を見て帰ると言う一樹を影夜が送ることになり、二人は慧斗の元へ向かう。


「ずいぶんとまぁ、酷いやられようね」


さすがにやりすぎだろう、とは思うもののある種の生存競争なため妥当と言えば妥当であり、殺さないだけ優しい方なのだろう。


「他の奴ら、生きてないんだろ」

「……えぇ、みんな死んだわ」


青海たちの前で言うのは、さすがに憚られた。多くの【月】は無関係であり、直接関わった者たちは分かれている現状。【月】のことは【月】だけでするのが当たり前だ。


「最初はメノウの失踪は信樹が戦力集めでやってたもんだと思ってた」

「けれど、実際は違った。あいつは無愛のために基盤を整え、既にいくつもの能力を無愛に献上させてる」


影夜と無愛が複数の能力を持つように、一樹や信樹もまた、複数の能力を持つ。

一樹であれば【勇気】と【植物】。【勇気】は天使としての力の源とも言え、司るものが【植物】である。


「【信仰】と【献上】が厄介ね」


信樹の能力は【信仰】と【献上】。【信仰】で人を集め、人々から能力を【献上】させ回収し、無愛に【献上】する。複数の能力に耐えることのできる無愛相手だからこそできることだ。


「残ってるのは」

「さっき言った三人とあんたたちだけ。悠悟はこの前(からだ)を見つけたわ」


【月】殺しの犯人、目的不明の無愛たち、メノウ失踪の犯人。この三つを同時進行でとなると、かなりの時間が必要となる。


「気をつけなさいよ。敵は案外すぐ近くにいるかもしれないのだから」

「肝に銘じておく。すまないな」

「あなたも、少しは休憩なさい」


軽く影夜の頭を撫で、子どもを見守るような目を向ける。影夜は子どもじゃないと拗ねるが、どうせ聞かないかと、諦めたようにため息をついたのだった。






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