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56.




「あの二人でやるんだ」


影夜と戦っている無愛は慧斗と信樹だけで離れていくため驚いた。てっきり無愛を影夜一人で相手し、その間に三人を同時に討伐する流れだと思っていたからだ。先ほど二人だけ来たのは【月】のみでの戦闘を望みなのかと思ったが、二人が離れていったのを見るにそういうワケでもないようだ。


「慧斗が勝てると思う?」

「勝てるかどうかじゃなくて、勝つしかねぇだろ」

「わぁ、カッコいーね」


互いに戦力を削ることができるのが最善ではあるが、力が拮抗しているこの状況では難しい。綻びがあるとすれば、


「ミカエルが勝てると思う?」

「さぁな。俺はあいつらの強さを知らねぇからなんとも言えん」


あの二人の実力は未知数であるため完全な予想にしかならない。しかし、ミカエルとルシファー、双方がメノウとして互角であることは明らかだろう。


「【傲慢】が勝つか【正義】が勝つか……」


メノウとしての力をどこまで引き出せるかが勝敗のカギとなる。目的のためならば手段を選ばないルシファーと、目的があろうと他を優先するミカエル。


「優しすぎるね」


その優しさは、ときに自分に牙を向く。


「昔の無愛と青海みてぇだな」

「うわ、言われたらそう見える…」


かつて【死月】として青海と対峙したとき、無愛は周りのことなど気にせずに戦っていた。対して青海は周りへの被害をできる限り最小限にしながら戦っていた。類は友を呼ぶとはこのことなのだろうな、と無愛は苦笑する。

ミカエルが青海たちと共に動くのは影夜の説得によるものなのだろう。それでも、やはり似た節はある。


「まぁ、関係ないか」

「っぶね」


話の途中だが容赦なく無愛が攻撃してくるのを寸でのところで避ける。さすがと言うべきか、二人とも互いに何をするのか分かっているようで避けて攻撃してを繰り返している。


「そろそろ終わりにしよっかぁ」

「あ?」

「信樹が帰ってくる」


その言葉は慧斗の敗北を意味する。

隙を突かれたのか、もしくは何かで動揺しているときにやられたのか。どちらにせよ、慧斗の負けはかなりの痛手だ。


「にしても、なんで慧斗が……」


確かにあの二人は戦闘には向いていないが、実力はほぼ互角。彼らの違いと言えば、


「……そういうことかっ」


一部の【月】のみが知っている力。それを使ったのだ。慧斗が反応するにも、あれは次元が違う。能力で見れたとしても、防ぐことはほぼ不可能だ。


無愛が影夜に向けて攻撃しようと近づいた瞬間、


「……は?」


無愛の右肩が消し飛んだ。






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