50.
「前回は質より量だったけど、今回は逆だよ」
街を一望できる展望台。そこに無愛はいた。正確には無愛だけではなく、無愛に付き従う者たちが数名。
「それぞれの能力の弱点を突けるのを宛がう」
前回史に接触した目的は二つ。一つは史の勧誘もしくは能力の強奪。もう一つは、青海たちの戦力の確認。
前者は影夜たちが接触したことにより諦め、後者は把握ができた。二十は放ったがいとも簡単に影夜と慧斗に討伐され、青海と笙人が来た際にはそれよりも少し強くしてあったメノウを宛がうも討伐。勝てると思っていなかったが、充分な成果があった。
「まずは最大戦力たる青海を落とす」
過去の経験からも、青海は脅威だった。とある能力による半不死身の状態で災厄と恐れられた無愛を笙人と二人で幾度も追い詰めた。勝敗がつかなかったのはメノウの乱入が主な理由だが、メノウがいなければ、無愛が負けていた場面もある。
「【月】の二人ではないのですか」
「影夜と慧斗も脅威だけど、一番は青海だよ。躊躇いなく来るし、私の攻撃パターンを熟知してる」
影夜と慧斗はまだ躊躇いが見える。だが青海はかつて死闘を繰り広げていたからか、躊躇いがない。この程度では死なないと、無愛を高く評価しているからだろう。
「それじゃあ、予定通りに」
展望台に残ったのは無愛と一人のみ。他は計画のために各地へと散開した。
「上手く行くでしょうか」
「今回は痛み分けだろうね」
笑いながらそう言う無愛に、では何故やるのかと聞けば、必要だからと答える。
無愛の考えに反対するワケではない。彼らが無愛に付き従うのは目的のためであり、その最短最善を選ぶには無愛が必要だったからだ。現に、彼らは今まで軍に悟られずに行動していた。無愛が姿を現すことすら、計画のうちだった。
「それに、お前の弟を見ておきたい」
無愛がそう言うと、少し嫌そうにする。
人の空想とも言えるソレに左右され生まれた存在であり、設定とも言えるもの。メノウには血縁関係などなく、兄弟ではないが、兄弟であるとも言える。
【傲慢のルシファー】。かつて大天使長とされ、神に尽くし、神へ叛逆し堕天したとされる七大悪魔の一人。
「アレをこちら側に?」
「それもできたらだね」
「一度決めたらテコでも動きませんよ」
「それは残念」
他愛もない話をしていると、街から悲鳴があがる。散開した仲間が作戦を始めたのだろう。
「君は行く?」
「あなたは目を離すとすぐにどこかへ行ってしまわれるでしょう」
「信用ないなぁ」
笑って街を見ていると、上から突然攻撃され、無愛は【崩壊】で消し、ルシファーは動くまでもないと何もしない。
「そこにいてくださいね」
「お前に守れるのか?」
「神話の戦い今ここに~って感じだね」
空を舞い、ルシファーを睨む存在。
「お前では私には勝てませんよ、ミカエル」
「殺ってやるよクソ天使」




