43.
人間とメノウを区別するには、大きく分けて三つ方法がある。
一つ目は簡単だが、形。メノウには異形が多く、一目で分かるほど。
二つ目は身体能力。稀に人間に擬態するメノウもいるが、人間と違うかなりの身体能力を有しており、過去に数度、生徒として潜り込んだメノウがその身体能力の異常性を疑われ、本性を現し生徒を襲ったことがある。幸い、その場にいた教師たちが倒せる程度のメノウであり、被害は重軽傷者二十名ほどで済んだ。
そして、残る三つ目は、目の色。人間とは思えないような赤い瞳。もしくは、
「……赤」
本来白であるはずの強膜。それが赤、もしくは黒であれば、それはメノウであるとされている。
「…………お前、まさか」
「意外とね。一度やってしまえば簡単なんだ」
「……生き物を、人間を食らったのですか」
白が赤や黒に染まる。それは罪を犯した存在の証。
「一度したことを自制する力は生命は持ち合わせてなどいない」
メノウは、人を食らい、ときには同胞すらをも食らう。
「悲しいね。もはや人を殺そうが何も思わない」
「自分が何してるか分かってるのか!?」
「私は正気だよ影夜」
子どもはフードを取り、前髪をかき上げた。
はっきりと見えた子どもの瞳は深紅色に輝いている。
「【月】が全て覆い隠されるとき、我らが王は復活する」
「………【月】が死ぬって言いたいのかよ」
「それはどうだろうねぇ」
無機質な目を三人に向ける子ども。
「いい加減戻ってこい、無愛」
「『大人しく捕まって死ね』の間違いでしょ。軍人さん」
子ども──無愛は一瞬で三人の側に近寄り、影夜と慧斗に目もくれず、史に持っていた短剣を刺そうとした。
「!!」
けれどそれは叶わず、無愛は持っていた短剣をあと数センチというところで落とした。
「………今日はいい日だねぇ。懐かしい顔によく会う」
「私たちからしたら最悪の日よ」
無愛は両手を上げて三人から距離を取り、三人の後ろで無愛に銃を向けている男女──二人の上司である笙人と青海に目をやった。
「遅い」
「位置情報だけ送ってきた奴が文句を言うな」
「まだ殺り合うつもりはないんだけどなぁ」
青海と笙人は百年間その姿を変えずにいたが、その力の持ち主の死により、一年前よりも僅かにだが成長していた。
「久しぶりの成長楽しんでる?」
「楽しむものでもないだろ」
「確かに~」
「無愛、あんた何してたの」
「何をしているのか」ではなく「何をしていたのか」を聞く辺り、二人は無愛がしたことはまだ聞かされていないのだろう。
「適当に協力者求めてフラフラしてたよ」
「あらそう。ずいぶんと気味の悪いのメノウたちね」




