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40.




(まだこの犯人捕まってないのか)


とある駅の掲示板に掲載されている一年ほど前、軍を崩壊させようとしたテロリストとして凶悪犯罪者となった天月無愛。


軍もバカではない。事件以来、必死に捜索に当たっているが犯人は捕まっていない。


「犯人はなんでこんなことしたんだか…」


掲示板を見てそう呟いた青年──薬深(やくみ)(ふみ)は目を逸らして歩こうとすると、自分の隣にフードを深く被り、自分と同じように掲示板を見ている子どもを見つけた。


「…………お兄さんは、この犯人、どう思う」

「……どうって言われても」


話しかけられるとも思っていなかったため、挙動不審になってしまったが、史は思ったことを素直に言うことにした。


「この年で軍に入れるような人材なのに、なんでだろうなって」

「……そっか」

「君はどうなの……って」


少し目を逸らしていた間に、子どもはいなくなっていた。


「なんだったんだ?」


史は不思議に思いながらも歩き始める。

十一月と寒い時期なのもあり、多くの人が防寒着を着ながら街を闊歩している。


(そういやあの子、裸足じゃなかったか?)


よくは見えなかったが、虐待されているようには見えなかったため、そういう能力なのだろうと史は考えるのを止めた。


他人のことをいくら考えようが、結局は名前も知らぬ他人。今後会うかも分からない相手のことに頭を悩ませても仕方がない。


(……なんか、後をついてこられてる?)


遠くから史の後ろを歩いている影。

気のせいかもしれないが、史が少し足を早めればあちらも早める。


まずいと思った史は走り出すが、あちらも逃がすまいと走り出す。


(なんなんだあいつ!!)


なんとか撒いた史がゆっくりと歩き始めると、人にぶつかった。


「……はぁ。ようやく見つけました」


その人物は、先ほどまで史を追いかけてきていた人物と似た格好をしていた。


「こちら慧斗。接触者を見つけました」


耳元に手を当て、何かにそう話す人物から逃げようとするが、逃がさないと肩に手を置かれ、逃げられなくされた。

ただ手を置かれただけならば逃げられるはずなのだが、何故か史の身体は動かない。


「……さて、待たせてしまい申し訳ありません」

「………あんたは」

「新谷慧斗、軍の者です」

「軍の人が俺に何の用ですか?」


背丈は史よりもやや低めであり、顔立ちなどはまだ学生に見え、自分よりも年下でありながら軍に属しているとはすごいなと感心している史に、その人物……慧斗はおかしなことを聞いてきた。


「あなた、先ほど駅の掲示板の前で誰と会話していました?」






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