4.
「無愛」
「ん」
二人は無視して攻撃。無愛は銃で、影夜はナイフで。
「っ!」
「軍ってさ、昔っから不便だよな」
「人を、傷付けることは、禁止されてる。だからこそ、こうなる」
二人に直接攻撃は不可能。そして、モニターに映っているものの、音声までは届いていない。話し放題だ。
「百年前に存在していた【死月の災厄】。あいつは人間とメノウの共存を望んでいた」
「けれど、人間は、【月】を、拒んだ」
「メノウを完全に敵と認識し」
「あまつさえ、人間は、【月】を、人ならざる、存在と、決めつけた」
「だからこそ」
「【月】は、人間を、敵と見なし」
「同じ境遇の者たちに居場所を与えた」
かつて、とある夢を掲げながらも、叶うことなく終わってしまった【死月の災厄】。その夢は、
「【災厄】とは、【月】とは、その存在の能力」
「【死月】には、兄が、いた。兄は、必ず、【死月】の、側に」
【死月の災厄】とその兄、【闇月の災厄】の意思を継ぐ者によって、
「「かつて【月】が望んだ世界」」
創られていく。
「久しぶり、国防軍第一部隊隊長、綾野青海。副隊長、御崎笙人」
「俺は一応、はじめましてか」
「【月】創立者、天月無愛」
「同じく、【月】創立者の天月影夜だ」
奇しくも、かつて争い、殺し合った三人と、一人を支えていた者たちが揃った。
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「逃げてるだけじゃ勝てねぇぞ?」
「青海、遊べよ」
「あんたっ、ほんとに【死月の災厄】なのねっ! いつそっくり」
「お前は一体っ!」
「おいおい、ちゃんと名乗ったろ?」
青海と笙人は他の隊員を下がらせ、無愛と影夜と戦闘。
青海と笙人は全力で。無愛と影夜は遊び半分で。
四人の間にある、確かな実力の差。
「弱い。弱く、なったねぇ、青海。かなり、衰えた」
「そりゃ、一回リセットしてる俺らと違うんだ。こいつらの実年齢考えろよ」
青海たちと無愛たちが戦っていたのは約百年前。その時の青海たちの年齢が二十前半。逆に、いまだに生きていることがすごいのだ。それも、昔と同じ姿で。
「あー、いた、ね。回復要員。やっぱ、殺せば、良かった、かな」
「そしたら遊べないだろ。それに、能力も結構鍛えてる」
「随分余裕そうだなっ!」
「生徒たち見てるんじゃないのっ?」
「ちゃんと見てるよ。俺らがあらかじめ作っといたやつをな」
事前に予測していた動き、状況を流している。軍の人間が青海と笙人以外下がるのも予測済み。
「被害を最小限にするなら、無愛との戦闘経験を持つお前らだけでやるのが一番だ」
「だから、こそ、影夜が、厄介に、なる」
軍の人間が戦ったことがあるのは、【月】の中でも無愛と好戦的な者数名のみ。他の【月】、特に情報収集・武器製作に徹していた影夜の情報は現在の名前と提出してある嘘の個人情報のみ。
「知ってるか? 【月】の中でも、約数名。いるはずがないと言われた『複数能力所持者』がいる」
「「!?」」
「『存在を消された名も無き【月】』。それぞれが能力によって迫害を受けた」
【死月の災厄】も、その一人。
「何故、嫌う? 何故、妬む? 何故、軽蔑する? 我々は、同じ星の、民。共存こそが、星の望み。故に、星は我々を、生命を、造ったのに」
「やっぱさぁ、一回リセットした方が良いんだよ。メノウも、人間も」
何故争うのか? それを考えた結果、【死月】と【闇月】が導きだした答えは、
「「生き物のリセット」」
幼く、何も教えられなかったが故の、暴挙である。




