32.
投稿できてませんでしたすみません!
「軍の医務施設?」
「あぁ。百年前からいるのが一人いる」
「あなた方の姿が全盛と変わらぬ理由ですか」
青海と影夜が詠斗へ報告しているとき、無愛と慧斗は笙人に施設の案内をされていた。
何故今まで教えなかったのかと聞かれれば、忘れていたのと、【月】も疲弊するというのをついこの前知ったためである。前から疲れた様子は見せていたが、そこまでではなかったのも理由の一つだ。
「それで、さっきから、焦げ臭いのは、何」
「………まぁ、ちょっと思考がぶっ飛んでるのがいるからな」
施設に近づくに連れ、何故か焦げ臭くなり、悲鳴も聞こえる。
「…マッドサイエンティスト」
「天才となんちゃらは紙一重ってやつだ」
「馬鹿と天才では?」
「狂人と、天才は、紙一重」
施設の前に着いたが、誰も入ろうとしない。
「………帰りますか。場所も分かりましたし」
「それも、あり」
二人が踵を返し、帰ろうとしたとき、タイミングが良いのか悪いのか、扉が開いた。
「真ん前に来ておいて挨拶なしかい? 新人さんたち」
「挨拶されたいなら爆発させるな。ここはお前の研究室じゃないんだぞ」
扉から出てきたのは三十代前半に見える男性。
ピアスなどをしており、本当に医療施設かと疑問に思う。
「この医療施設の責任者の東遙翔だ。よろしく。あんたらが【月】であってるか?」
「【死月の災厄】、天月無愛」
「【慧月】の慧斗です。よろしく」
初手から争いにならなくてよかったと安心する笙人を他所に、会話が進んでいく。
「あなたのおかげでずいぶんと面倒なのが長生きしてますね」
「俺は好きなことだけしてるんだよ。【月】に研究を評価されるなんて光栄だ」
「どうやって、やったの」
「俺の能力は人体に影響できるから、それでな。詳しいことは企業秘密だ」
話が進むにつれ、互いにどんな人物なのか分かってきたのか、相手に悟られないように、自分がほしい情報を引き出すように駆け引きが始まっていた。
「【死月の災厄】は俺の憧れでな。ぜひ今度二人だけで話をしよう」
「………あなたの、研究には、興味ある」
「姫、いいんですか?」
「このくらい、平気」
心配そうにする慧斗に大丈夫だと言うが、影夜が許可するのかという問題がある。
「大丈夫、でしょ」
「叱られますよ?」
「さすがに、ないでしょ。もう、子どもでも、ないし」
二十四時間ずっと側にいるからといって、それを両者が望んでいるのかと聞かれればそれは違う。
少なくとも無愛は、影夜に迷惑をできる限りかけないようにと考えているのだ。
「姫、一応確認を取りましょう」
「無断はさすがにまずいだろ」
「私の、ことなのに?」
何故と聞いてくる無愛に、二人は頭を抱えた。
無愛が勝手に約束を取り付けその相手は男。目の前で容認したとなれば雷が自分たちに落ちるのは分かりきっている。
「【月】のお話でしたら彼もいた方がいいかと思いますし」
「……確かに?」
「ですから、日程を一度確認してましょう」
「ん、じゃあ、それで」
「一年やっててまだやるか…」
ちゃんと押したはずなんですけどね……。




