27.
場所は変わり、影夜たちは重い空気の中いた。
「メノウの、細胞の割合?」
「正確には、そのパーセンテージみたいなもんで、01ならメノウの細胞は十パー……一割程度。反対から読むんだ」
「じゃああんたは08だから」
「八割がメノウだ」
人間の姿に限りなく近い存在。
「………待って。無愛は? あの子は」
「あの研究所の完成品。全てメノウ細胞で造られた人造のメノウだ」
あの研究所は、メノウの死体から細胞を取り、それを人に移植するという実験を繰り返していた。その仮定でメノウの一部を人間に移植することが可能と分かり、孤児の子どもを買い、移植して拒絶反応などを確認していた。
「そうして、メノウ細胞へ耐性を持つ子どもを研究所で育て、そいつらに子を産ませた」
「その人たちの産む子を実験台にするために?」
「それもある」
子を産ませるとは言っても、子をそのまま胎内で育てるワケではない。
「受精卵を回収してそれ自体に細胞を入れたんだ」
親の耐性を持つ子どもならば問題ないと考えた結果だったのだろう。
「それでできたのが01」
成功し、更に細胞の量を増やして行っていく。それを繰り返し、05が産まれてしばらくだった。
「あるメノウが研究所の奴らに捕まった」
「死体じゃなくて、生きたままってこと?」
「そいつは知性があった。殺すのは惜しいと、そいつらが生け捕りにしたんだ」
知性があるメノウは前代未聞であった。だからこそ、研究所の者たちはそのメノウの細胞を入れることにした。更に強力な、従順な道具を造るために。
「結果的に、上手くいってしまった。造った奴らが産んだ子どもはただでさえメノウとして産まれる確率が高い。それを更にいじれば、当然奴らの望む存在は産まれていく」
けれども、問題もあった。産まれてくる子どもの大半は人の形ではなかった。
「失敗作を殺し、成功作に無理やり食わせ、そいつらの力の強化をしていった」
そして、何回も繰り返していき、
「メノウの細胞が約八割でありながら、人間の姿、人間と同等の知性を持つ。それでいてメノウの力を持つ俺が産まれた」
多くの存在の配合。それ故に、影夜は産まれながらにして能力を複数所持していた。
「俺ができて、喜んだあいつらは俺の血液などを採取しデータを分析。それによって、メノウのそれぞれ別の細胞が複数あることによって、より強力で、それでいて配分を正しくすれば人の形となることが分かった」
そして行った最終実験。
今までの成功作たちの細胞、知性あるメノウの細胞などを混ぜ、それを受精卵へ取り込ませた。
「受精卵は変化を起こさず、失敗した。そう思われた」
けれども、現実というのは残酷だった。
受精卵はあるとき急激に変化を始め、成長していった。時間は他よりもかかったが、それでもその者たちの期待を背負い誕生した赤子。
「それが無愛。【死月の災厄】だ」




