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20.




青海たちの静止を振り切った五人は現在、


「多いな」

「多いですね」

「めんど…」


軍の敷地内に出現したメノウを上空から見ていた。


「冬影の能力、便利だな」

「対象に触れないとだけどな」


冬影尊、能力【逆転】。

触れたモノや自身に事実とは異なる事象を強制的に引き起こす。

五人が浮かんでいるのは、「重力によって地面に立つ」という事象を逆転させ、「空に滞在する」という現象を引き起こしているためである。


「で、どうするの?」


出現したメノウは植物型と虫型。


「音葉の【変速】で速度はどのくらいいじれる」

「四段階で分けられる。けど、対象の反動がかなりあるよ」


黒瀬音葉、能力【変速】。

触れたモノや自身の速度を変えることのできる能力。普段はモノの速度を変えるため反動はないが、対象が人物である場合、解除後に変速による反動が現れる。


「なら、音葉の能力を慧斗に付与しろ」

「だから、反動すごいよ?」

「問題ない」

「大丈夫。慧斗は、強いから」


説明になっていないが、二人が信頼しているということは、それだけ実力があるのだろう。


「てか、気づかれないんだね」

「これが慧斗の【能力】だよ」

「気配を消すとかそういうの?」

「もっと、すごいよ」


新谷慧斗。


「我ら愚かなる者へ知を、力を与えし存在よ。我は汝らが罪。汝らの依り代なり」


能力【憑依】。


「【戦の神(アレス)】」


神と祀られる存在の力を自身に付与し、その力を武器へと変換する。


「あなた方には能力を使うまでもありませんが、我らが姫君からの願いですので」


出現した槍を一突き。それだけで、前方にいたメノウが数体消滅する。


「………これ、私の能力、いらなくない?」

「慧斗の能力……というか、能力で出現する武器全部だが、少し問題があってだな」

「かなり、重いんだよね。あれ」


神の武器を扱う。それだけでも常人ならざる力が必要であり、持ち上げるだけでも更に力が必要。慧斗は軽々と持ってはいるが、動きながらとなるとそうもいかない。それを音葉の【変速】で最大まで速度を上げ、攻撃が遅くなるのをカバーする。


「【変速】」


重さや必要な力が変わったワケではない。けれども、


「終わり、かな」


音葉の付与した【変速】はあくまで第一段階。だというのに、慧斗は重さを感じないと言わんばかりに、簡単にメノウ全てを消した。


「この程度ですか。拍子抜けですね」

「………いや、これ、強すぎだよ」

「このレベルがゴロゴロといるのか。【月】は」






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