19.
青海たち三人が言い合いを始めたため、少し離れたところで話を再開した。
「【月】って、別に共通の目的があるワケでもないんだよな?」
「うん。なんとなく、やってたら、集まって、【月】って、言うように、なった」
「本当にいつの間にって感じってことか」
本格的に【月】と呼ぶようになったのは、【死月の災厄】として無愛が知られたときだろう。
「その【死月】も自分じゃないんでしょ?」
「メノウとの、交戦中、見つかった」
「でもなんで【死月】? もっとなんかなかったのかな」
「『生命を死へと導く月からの使者』という意味合いを込めて【死月】と呼ぶようになったという噂もありますよ」
【災厄】は、『メノウだけではなく、人へ危害を加える可能性がある』『【死月】は災害を引き起こし、人々を虐殺する』などの噂が広まり、そう呼ばれるようになった。
「つまり、全部あんたたちを危険視した奴らの嘘ってことね」
「まぁ、別に、嘘でも、ない」
無愛も影夜も、邪魔する者は誰であろうと殺すがやり方だった。敵対するのであれば、容赦なく殺すのだから、危険であることに違いはない。
「物騒だな」
「それ、そっち、言えない」
「やってやられを繰り返してますから、どっちもどっちですね」
無愛たちもやってはいたが、軍の方もかなり好戦的だった。そう【月】は捉えている。
「話戻すけどさぁ、最近本当に被害ないよね」
「嵐の、前の、静けさ」
「あんたが言うと本当にそうなりそうね」
「それ、フラグじゃ…」
「…………軍って、面倒、ばっか、起こすね」
「ですねぇ」
窓の外を見る無愛と慧斗。そして、その言葉で喧嘩をやめた三人。
「飛行型か?」
「……いえ」
「距離は?」
「……すぐ、そこ」
無愛の言葉と轟音が重なる。
「軍の敷地内に出現!?」
「急ぐぞ」
青海たちはもちろん扉の方へ。無愛と影夜、慧斗は窓の方へ。
「………あんたたち、まさか」
「時短だ時短」
「ショート、カット」
「では、お先に」
そう言って窓から飛び降りる三人に頭を抱える。
「…………あんのバカども」
「俺も先行くんで」
「こら!!」
元々移動を面倒と感じていた尊と面白そうだからという理由で真似をして音葉が窓から飛び降りていった。
「………どうします?」
「…とりあえず、急ぐわよ。あの五人。一番何するか分からないメンバーなんだから」
【月】の三人は言わずもがな。
音葉は普段は大人しいものの、自由人なため悩みの種。尊はこの中では好戦的なため、こういうことも稀にだがやる。最近は二人とも大人しかったのだが、
「あの三人と組ませるのは止した方がいいな」
「まず、あの三人を組ませたくないのだけど」




