18.
影夜たち入隊から二ヶ月。メノウの動きに異常はなく、平和な日々が続いている。
「妙だな」
「妙ね」
メノウの出現はいつかは分からない。そのため、この状況はあまり変わりはないが、
「ここまで現れないのはおかしいわ」
「よくあることじゃないですか」
「前まではね。でも、この子たちがいるのにメノウの出現頻度が変わらない」
「無愛たちがいることが関係あるんですか?」
紗奈たちが首を傾げるのは当然である。
メノウは人のいるいないで出現するワケではなく、気まぐれのように現れ、破壊の限りを尽くす存在だ。誰かがいるから、などで変わるハズがない。
「あぁ、お前らは知らないんだったな」
「この子たち……というか、無愛が現れるとよくメノウが出てきてたのよ」
それは決して、無愛がメノウを操っているワケではなく、逆に狙われている証拠でもある。
「よく、戦ってる、最中、乱入、されたよね」
「あんたばっかり狙うから驚いたわよ」
メノウは優先して何かを壊す、襲うということをしない。にも関わらず、メノウたちは無愛ばかりを狙っていた。それ故に、軍は【月】をメノウ側でも、人間側でもない第三勢力として見ていた。
「それはまたなんで」
「本能的に危険と判断して襲いかかったか。あるいは別の何かがあったのか…」
その理由を知っているであろう影夜に言う気などなく、無愛は自分が狙われている理由をなんとなくしか知らない。
「何か知らないのか?」
「たぶん、あそこの、実験」
「あそこって、研究所か?」
「ん。あそこは、メノウの、実験、してた。そのための、実験台で、身寄りのない、子どもが、選ばれた」
それが無愛たち。そう聞かされている。
「じゃあ、二人は」
「捨てられた、んだと、思う」
「さすがにゴミとは言え、殺してるとは思えませんからね」
「あなた、無愛以外にはほんっとに当たり強いね」
「興味がありませんので」
慧斗が無愛に興味を持った理由が少しズレていることもあり、今後慧斗が無愛以外に興味を示すことはほぼないだろう。
「あんたはなんで【月】に?」
「メノウを殺しているところを見ましてね。そのあと、死骸を放置したりすることなく、供養しているところに惹かれたんですよ」
メノウの死骸は軍の方で処理される。大抵は専用の焼却場に持っていかれ、燃やされる。
「供養って…あんた、メノウの死体埋めてたの?」
「ん。土に、埋めれば、そのうち、分解されて、栄養に、なるから」
「死体隠すのに楽だしな」
「絶対それが理由だろ」
メノウを殺すのは軍の者か【月】のみ。
軍が殺った場合は処理される。されていないということは、【月】がそこで活動したという証拠になる。
「まぁ、俺らにも慈悲はあるからな。弔いくらいはする」
「慈悲がある奴は平気で殺さないと思うけど」
「先に攻撃したきたのはそっちだろ」




