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14.




データを移行し終えた影夜たちは軍本部へメノウ研究所のことについての報告のため、戻ってきていた。


「このあとの会議で話なさいよ」

「わーってる。必要なのはもうまとめてるから心配すんな」

「ん、眠い……」

「寝てて良いぞ」


寝るなと言いたいが、無愛は軍に来てから影夜の近くにいて寝てるか食べてるか資料を読んでいるかくらいしかしておらず、起きてろと言ってもすぐに寝るため諦めている。


「寝て食うしかやらないな」

「無愛は基本こんなだ」


端から見ればただの仲の良い兄妹。それがかつて、軍と戦ったあの【死月の災厄】だと、誰が思うのか。


「冬影と同じね」

「同じにしないでもらっても?」

「あんたオフのとき酷いでしょ」

「仕事はちゃんとしてるし、お前にだけは言われたかない」

「それどういう意味」

「そんまま」


部屋で口論をし始める冬影と紗菜。


「人の部屋で喧嘩するなよ」

「そろそろ会議なんだけど…」

「置いてこう」

「起こさないのか?」

「寝起きは機嫌が悪いのに誰が相手するんだよ」


無愛は睡眠を邪魔されるのを嫌がる。誰でも嫌なのだろうが、無愛の場合周囲のモノを手当たり次第投げてくるため手に負えない。


「………え、置いてく?」

「しかないだろ」

「あっちで暴れられても困るからな」

「書き置き残しておけば良いでしょ」


「会議に行く。起きたら来い」と端的に紙に書き、部屋を出て会議室へ向かう。


「……知ってるのがいても反応しないように」

「わーってる」


扉を開けると、一斉に視線が集まる。

学生の身でありながら軍に入った新人に注目が集まるのは当然だろう。


「一人か?」

「体調を崩してます」


青海が答えようとする前に、影夜が答える。

さすがに寝てしまっていて起こせませんでした、とは言えないため何かしら言い訳はするが。


「そうか…」

「構いませんよね。そういう契約ですから」


無愛は病弱という設定。それは今もしっかりと続いており、体調不良は仕方がないということになっている。


「今回は単なる顔合わせだ。体調が良くなれば回らせろ」


予想していたこととは異なる言葉に少し驚く。


「…ありがとうございます」


何故研究所のことを聞かないのかは不明だが、青海たちにとっては都合が良い。単なる顔合わせというのは本当らしく、会議らしい会議は行わなかった。


「お前たちは残れ」


上司の命令に逆らえるワケもなく、青海たちは解散となった後も部屋に残る。そして何故か、


「ん? あぁ、私も残れと言われておりますので、お気になさらず」


糸目の男が残っているものの、既に伝えられていたらしい。


「それで、我々を残した意図はなんでしょうか」

「……その前に」


上司…軍の最高司令官であり、青海たちと同じく、昔から生きている人物、東雲詠斗。


「久しぶりだな影夜。【闇月の災厄】と呼ぶべきか?」

「……なるほど。そういうことか」


驚く青海たちとは違い、少し笑っている影夜と、顔色一つ変えず、話を聞いている男。






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