10.
青海たちが戦闘態勢を取ったのを見ると、【遊月】はケラケラと笑いだした。
「うそうそ。ジョーダン」
「………あんたねぇ」
「我らが姫君が生かすと決めた人間を殺すほど僕は愚かじゃないさ」
僕が殺されちゃうからね、と冗談なのか、本気なのか分からない声で言う。
「それで? 二人は何を目指すの?」
「そりゃもちろん」
「決まってる、よね」
かつての【月】が望んだモノ。【死月】と【闇月】が導きだしたモノとはまた違う。
「「種族の選別」」
人間を生かすか、メノウを生かすか。
「かつて、あのヒトが、導きだした、種の、競争」
「………あのとき、それは無理と判断したんじゃないのかい?」
メノウの味方をするとすれば、世界は滅亡する。メノウに知識を持つモノは多くなく、人間が消えれば、メノウたちは共食いを始め、やがて種族は消え、荒廃する。けれど、
「人間が生き続ければ、メノウは永遠と生まれ続ける」
「そう。だからこそ、アレが使える」
「………無茶だ」
「それでも、やらないと、終わらない」
その能力を持つモノがおらず、断念した作戦。
「無愛の能力【空間】で、メノウたちを閉じ込める」
「それと、同じく、メノウの、生まれる、モノを、消滅させ、発生、しないように、する」
新たな世界を生み出すことができる能力。
「【空間】はただ座標を繋ぐだけって」
「そ。だからあるだろ?」
人間のいない場所。
「別の星のメノウを送ってしまえばいい」
「無茶よ! 座標が分からないのにそんなこと」
「俺の【暗闇】は宇宙でも使える。つまり」
「あんたの能力で宇宙を移動。生物のいない場所にメノウを転送する」
バカげた発想。けれど、
「やれることはやる」
「そのために、まずは、あそこを、落とす」
メノウ研究所。
倒したメノウの死体を元に、メノウの生態系などを調べている。
「あそこは、越えてはならない、域を越えた」
「あいつらに慈悲はない」
「趣味の悪い人形を作り、外へと放つ虫ケラたち」
メノウの死体からDNAなどを採取し、動物に投与。生物を新たに造り出す。
「あそこは生命を玩具同然とし、自分たちの享楽のためだけにメノウを生みだし続けている」
「かつて、起きた、一つの、研究所の、爆発」
百年前。【死月】が現れる、数年ほど前の出来事だ。
「あそこに、いる、他の、ヒトを、解放する」
かつて【死月】と【闇月】がいた施設。二人が人間と敵対することになった場所。
「お前らの知人も、あそこの奴らが殺してるのがいるぞ」
「あいつらは、人の命すら、簡単に、奪う」
そうして、殺したモノの死体を弄り、玩具とする。
「「これ以上、無駄な死を生むわけにはいかない」」
次回、研究所に乗り込む、かな。
「いや、お前は分からないとダメだろ」
今回短いしどうしよ……。




